トヨタ MIRAI Concept|究極のエコカーがカッコ良過ぎてシビレる!【東京モーターショー2019】

  • 筆者: 遠藤 イヅル
  • カメラマン:茂呂 幸正・トヨタ自動車
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2014年12月に発売以来、世界でおよそ1万台を販売した燃料電池車(FCV)「トヨタ MIRAI(ミライ)」が2020年末、ついにフルモデルチェンジを迎える。これに先立ち、第46回東京モーターショー2019のFUTURE EXPO会場で、「MIRAI Concept(ミライ・コンセプト)」が世界初公開される。新型MIRAIをここまで美しく変身させた理由とは。自動車ライターの遠藤 イヅル氏が徹底解説する!

目次[開く][閉じる]
  1. 2020年末モデルチェンジの新型ミライをFUTURE EXPOに出展
  2. 燃料電池車(FCV)を「新たなステージ」に上げるMIRAI Concept
  3. 伸びやかなプロポーション、ダイナミックなスタイリング
  4. 今までに無い気持ち良い走行フィール、FCVとしての性能も向上
  5. FCVの普及を目指し2020年末から発売予定

2020年末モデルチェンジの新型ミライをFUTURE EXPOに出展

ズバリ、とても驚いた。次期MIRAI(ミライ)の開発最終段階のモデルとしてヴェールを脱いだ「MIRAI Concept」が、現行型MIRAIとは大きくコンセプトを変えて登場したからだ。

MIRAIといえば2014年11月に発表された、量産車世界初の燃料電池車(FCV)だ。FCVは水素をエネルギーとし、排出ガスは一切出ない「究極のエコカー」だが、それまで高価格とシステムの小型化がネックだった。しかしトヨタはMIRAIでそれらを克服し、700万円台という驚異的な価格で市販にこぎつけた。シンボリックな初代MIRAIの外観デザインには、FCVとわかる未来的なイメージが盛り込まれているように思う。

しかし今回東京モーターショー2019でお披露目されるMIRAI Conceptでは、外観上「エコカー」「環境車」というイメージは皆無だ。ロングノーズでフロントタイヤを前方に押し出したプロポーションは、FR(後輪駆動)セダンそのもの。実はMIRAI Conceptは本当にFRレイアウトを採用している。6ライトウインドウを配したボディ後半はなだらかなルーフを持ち、現行型MIRAIの腰高な印象もまったく無い。全長約5m、全幅1.9mという堂々とした体躯、上質さを感じるデザイン処理からも、レクサス LSやトヨタ クラウンにも通じる大型高級車の雰囲気を感じさせる。同じMIRAIという名前を持つ車とは思えないほどの大変身だ。

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トヨタ/MIRAI
トヨタ MIRAIカタログを見る
新車価格:
726.1万円861万円
中古価格:
70.4万円640.5万円

燃料電池車(FCV)を「新たなステージ」に上げるMIRAI Concept

では、なぜ次期MIRAIの姿を示すMIRAI Conceptが、ここまでドラスティックにコンセプトを変えて登場したのだろうか。

実際のところ、FCVの普及は「これから」のフェーズにある。街中でMIRAIを見ると、ハイブリッドカーや電気自動車に比べ、まだ特殊な未来のクルマという印象が強い人も多いのではないだろうか。その一方で、MIRAIによってFCVという存在は大きく認知された。そこでトヨタは、FCVを「新たなステージ」に乗せ、さらに普及を進めるべく、 “エモーショナルな魅力&性能にチャレンジ”した乗用車を開発することを決めたという。MIRAI Conceptはまさにその「FCVの可能性を広げる」コンセプトから生まれたクルマだ。

伸びやかなプロポーション、ダイナミックなスタイリング

MIRAI Conceptは、現行型MIRAIに比べホイールベースは140mm、全長を85mm延長、全高も65mm下げ、さらに20インチの大径タイヤを装着。思わず振り返るような伸びやかなプロポーションと、走りを予感させるダイナミックなスタイリングを得ている。燃料電池(FC スタック)をフロア下に置く、独特な背高フォルムの現行型MIRAIとはまったく異なるフォルムを実現させるため、プラットフォームはゼロから刷新してレイアウトも変更、FCユニットも新開発されている。ただし現段階ではパッケージについての詳細は発表されていないので、続報を待つこととしよう。

「FCVだから」ではなく「このスタイリングだから選んだ」と言わせるクルマ

この魅力的なスタイリングこそ、「どのようにして燃料電池車を普及させていくか」の答えだという。FCVだから選ぶのではなく、「こんなクルマが欲しかった」から選んだのがMIRAIだった、というクルマを目指した。つまり欲しいクルマを買ったらそれがFCVだった、というイメージだ。

FCVという特別感や、奇をてらった訴求ではなく、「クルマ本来の魅力」でMIRAIが注目を集めることでFCV市場をけん引し、水素インフラも一緒に増やしていく……そのアイデアはとても興味深いと感じた。

なお、ボディカラーは現行型MIRAI の青とは異なる新規開発の「フォースブルー マルチプルレイヤーズ」を採用している。このカラーも、スポーツマインドを刺激するような“強いブルー”を追求した。

今までに無い気持ち良い走行フィール、FCVとしての性能も向上

しかもMIRAI Conceptは、走る楽しさを持つクルマづくりに徹底的にこだわり、見た目を裏切らない「思わず踏みたくなる新感覚の走り」を持っているという。TNGAプラットフォームによる上質な乗り心地、異次元の静粛性も実現したとのことだ。チーフエンジニアの田中 義和氏は「フルスイングで開発しました。このクルマは乗っていただかないとわかりません」と語った。そのフィールがどんなものなのか、今から楽しみだ。

室内はシンプルでモダン、かつ温かみのある空間を作り上げている。ドライバーを包み込むようなデザインの、12.3インチのワイドモニターを取り込んだインストルメントパネルなどにより、運転する楽しさと先進のくつろぎ感も併せ持つ。

また、水素搭載量を増加したことなどにより、FCVとしての性能も大幅に向上。航続距離も現行型比で約30%延長することを目標に開発が進んでいる。乗車定員も4名から5名に増加しているのもポイントだ。

FCVの普及を目指し2020年末から発売予定

MIRAI Conceptの市販モデルは、日本、北米、欧州などで2020年末から発売が予定されている。素朴な疑問として、普及を目指すなら流行りのSUVスタイルでも良いはずと思うのだが、FRになったのは、「走りを楽しむ」ために選択されたのだという。田中氏は、「セダンの美しいスタイリングは日本、北米、欧州でも選ばれる理由になるのでは」と話していた。

MIRAI Conceptは、FCVの世界をけん引するべく生まれた、まったく新しい価値を持ったクルマという印象を持った。現行型MIRAIが見せてくれた未来とは違う、“新しい未来”を見せてくれることを期待しよう。東京モーターショー2019でお披露目となる新型車で、特に注目を集めるモデルのひとつになるに違いない。

[筆者:遠藤 イヅル/撮影:茂呂 幸正・トヨタ自動車]

トヨタ MIRAI Concept(ミライ・コンセプト) 主要スペック

車種名

MIRAI Concept(ミライ・コンセプト)

全長×全幅×全高

4,975mm×1,885mm×1,470mm

ホイールベース

2,920mm

乗車定員

5名

駆動方式

FR(後輪駆動)

航続距離

従来型比 約30%向上

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遠藤 イヅル
筆者遠藤 イヅル

1971年生まれ。カーデザイン専門学校を卒業後、メーカー系レース部門にデザイナーとして在籍。その後会社員デザイナーとして働き、イラストレーター/ライターへ。とくに、本国では売れたのに日本ではほとんど見ることの出来ない実用車に興奮する。20年で所有した17台のうち、フランス車は11台。おふらんすかぶれ。おまけにディープな鉄ちゃん。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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