東京モーターショー2017での楽しみのひとつは、トラック・バスの見上げるような大きな車体を間近で体感することが出来るトラック・バスメーカーの展示を見ることではないだろうか。
日常生活に不可欠なトラック・バスだが、運転手や整備を行う人以外、案外近づいて詳しく見ることも、まして運転席に座る機会はあまりないからだ。
今回の東京モーターショーでは大型車を製造する国内主要4メーカー(いすゞ、日野、三菱ふそう、UDトラックス)の他、現在日本で購入出来る海外メーカーのスカニアとボルボの合計6社が集結。巨大な東展示棟1~3ホールのうち2/5ほどの面積に数多くのトラック・バスが立ち並び、壮観な光景を見せてくれている。
小型~大型トラックをフルラインし、大型路線/高速バスも販売するトラック・バスメーカーのいすゞは、「運ぶの時代にできること」をテーマに出展。
現行販売モデルの小型トラック エルフ、中型のフォワード、大型のギガ、大型路線バス エルガの展示を中心に、次世代の物流を見越した小型EVトラックのエルフEVをワールドプレミアしたほか、過酷な悪路を走破可能な6輪駆動車の6×6、海外で生産・販売されているSUV mu-Xを参考出品した。
そして「未来の配送」を想像したデザインコンセプトカー「FD-SI」を発表、展示を行っている。こちらも世界初公開となった。
FD-SIは既存のトラック、配送の概念をゼロから打ち砕くことからコンセプト造がスタート。
デザイン陣は考えに考えぬき、まったく新しい配送車を生み出している。
固いボディの中に「出前のおかもち」のように荷物室を中釣にして荷物を走行中のショックから守るなど構造的にもこれまでにまったくない設計になっているだけでなく、荷物を入れるダンボール自体も六角形の「小脇に抱えやすい」形状の再利用を前提にしたプラスチック製のボックスにするなど、「物流の根本から」概念を覆すアイデアが盛り込まれている。
外から引き抜くことを想定したボックスの中に入れられた書籍やCD、コーヒーの包装などはすべてデザイナーが作ったオリジナルだ。そのこだわりをぜひ会場で確認してみてほしい。
いすゞと同じくフルラインナップを誇るトラック・バスメーカーのひとつ三菱ふそうは、発表になったばかりの「スーパーグレート」トラクターモデルやエアロクイーン、そして世界で唯一生産中のEVトラック「eキャンター」、大型トラックのコンセプトカー「VISION ONE(ヴィジョン・ワン)」を展示した。
ショー初日に行われたプレスカンファレンスでは、三菱ふそうトラック・バスの代表取締役社長 最高経営責任者(CEO)マーク・リストセーヤ氏が三菱ふそうの電気トラックの新ブランド「E-FUSO」の立ち上げと、今後トラック・バス全車種に電動化モデルの投入を進めていくことを発表した。
その新ブランドE-FUSOのイメージリーダーとして登場したEVトラック「ヴィジョン・ワン 」はゼロエミッションと低騒音を実現する。モーター出力は408ps(300kw)、後続可能距離は350km、最高時速80km/hと発表されているが、単なるショー用のモックアップではなく、実走行が可能な「Bサンプル」とのことだ。
こちらも日本を代表する総合トラック・バスメーカーの日野は、「もっとはたらくトラック・バス」を展示テーマとして、今年14年ぶりに新型に切り替わった大型トラックの新型プロフィア、同じく16年ぶりに刷新された中型トラック新型レンジャーの登場間もないニューモデルをメインに展示。
そして“ヒノのニトン”でおなじみの小型トラック デュトロからは、小型ハイブリッドトラックで一番の販売実績を誇るデュトロ ハイブリッド ワイドキャブの3台を市販車として展示した。
また、参考出品および限定販売車として東京都と石川県の一部(東京都墨田区、羽村市、石川県小松市)で試験運用が開始されている小型ノンステップ電気バスのポンチョEVも置かれ、コミューターバス電動化の波を感じさせた。
その他注目の展示は、ダカールラリー2014で菅原照仁ドライバーがステアリングを握り、排気量10リッター未満クラス優勝を果たした車両そのものの「日野レンジャー ダカールラリー2014参戦車」だ。実際に戦って勝ち抜いたトラックの迫力を感じることが出来る。
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