日産 スカイラインは「日本の名車」の一つだ。世代交代のうちにエンジンが直列からV型に変わり、ボディサイズが大きくなったものの、スカイラインとは本来「その時代時代の最先端技術で作られたファミリーユースにも使えるセダンかつGTカー」だと考えれば、形式にVがつく以降のモデルもまごう事なきスカイラインなのではないか、と思う。
そして昭和30~40年代に生まれたビッグネームがどんどん消えていく中、未だ「スカイライン」の名が残っている事は素晴らしい事だと感じるのだ。
>>【画像40枚】数々のこだわりが詰まったスカイラインGT-R(R32)
と、前置きが長くなってしまったが、このようなスカイライン論が常に起こるという事はスカイラインがいかに多くの人々に愛されてきたか、という証明でもある。そしてスカイラインはハコスカの時代からずっとカスタムの対象でもあり続けている。カスタムカーの祭典である東京オートサロンで、スカイラインの展示がされない事は、まずないだろう。
東京オートサロン2018にも多数のスカイラインが展示されていた中、GT-R専門店「ガレージアクティブ」とR31型スカイラインに特化した(!)「R31HOUSE」という、スカイラインファンなら誰もが知っているショップが共同出展していたブースに注目したい。
ガレージアクティブは青とガンメタのBNR32(R32型スカイラインGT-R)を持ち込んだ。だがこの2台、スゴみを感じさせつつもオリジナルの姿を保つ外観からは想像がつかないようなカスタマイズが施されており、来場者をどよめかせた。
というのも、ボディがなんとフルカーボン製なのだ!交換が容易なフロントフェンダーやボンネット、ドア、トランクだけでなく、リアフェンダーやピラー、ルーフまですべてがカーボン素材のアウターパネルに置き換わっている。
しかもよく見るとオーバーフェンダーも大きく張り出している。一見したらノーマルボディに見えるほどに仕上がりは良い。カーボンボディはフルキットで350万円とのことだ。
注目は青いGT-Rの“塗装仕上げ”。青く塗られているのにカーボン繊維がうっすらと見えており、まるで青い素材で作られたパネルのように見える。塗装のコートを1層少なくしたことで、うっすら繊維が見えるようにしてあるということだった。
そしてこの青いGT-R、驚くポイントがまだたくさんある。ボンネット内の配線類は目につかないようにバルクヘッドやパネルの裏に回されていたり、ボディ強度を上げるために溶接を増やしているのにそれを感じさせない仕上がりになっていたりと、とてもコダワった仕上げになっている。
もちろんチューニングもしっかり行われており、ガンメタのGT-R(公道走行可能)は900馬力、青いGT-Rは600馬力までパワーアップされている。
R31HOUSEは2台のチューニングされたR31型スカイラインを展示した。赤×黒のMOTULカラーを纏う「R31HOUSE×MOTUL号」はドリフト参戦用に2年前から制作していたクルマだ。
RB30(RB系にあった輸出用の3リッター仕様/シングルカム)エンジンは1000馬力までチューンされ、ボディ、足回り、駆動系など全てを徹底的に仕上げた一台になっている。
「機動戦闘機参壱」と名付けられているもう一台のR31型は、スカイラインGT-R用のRB26DETTエンジンを移植してド派手なオーバーフェンダーを備える。ボディのカラーパターンは塗装ではなくフルラッピングで表現されている。
昨今海外では日本車と日本車のカスタム/チューニングが注目されて愛好家も増えており、東京オートサロン2018でも多くの外国人が来場していた。
スカイラインはごく一部のみ海外で販売された以外は基本的にドメスティックなモデルだが、海外でも絶大な人気を誇っている。
そのためスカイラインが4台並べられたこのブースにはひっきりなしに海外のスカイラインファンが訪れていたのが印象的だった。スカイラインは今や世界の名車になっているのだ。
[Text:遠藤イヅル/Photo:島村栄二]
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