世界でマツダだけが実用化に成功したロータリーエンジンは、91年のル・マン24時間レース総合優勝を筆頭にマツダにとってかけがえのないシンボルである。
現在は2012年にマツダ RX-8が生産を終了して以来、ロータリーエンジンを搭載する市販車は販売されていないが、それでもマツダ社内ではロータリーエンジンの開発は続けられており、車好きの間ではロータリーエンジン搭載車の復活を願う声は根強かった。
マツダ RX-VISIONのコンセプトはずばり「ロータリーエンジンを搭載した究極のFRスポーツカー」である。
このコンセプトには「ロータリーエンジンでなければできないスポーツカー」という部分も含まれているようで、例えば驚くほどのノーズの低さはロータリーエンジンでなければなし得なかったものに違いない。
大柄な車に見えるマツダ RX-VISIONであるが、ボディサイズは全長4,389mm×全幅1,925mm×全高1,160mmと、コンセプトカーゆえに自由度の高い全幅はともかくとして、意外に小柄だ。2人乗りとなるキャビンはスパルタンなダッシュボードなどが特徴なっており、かつてのマツダRX-7の3代目モデルの雰囲気や思想を思い出させる。
機能面に関してはSKYACTIV-Rと呼ばれる次世代のロータリーエンジンの搭載と、FRであることくらいしか公表されていない。しかしロータリーエンジンに関しては2007年にマツダは16Xという排気量1.6リッター(税法上の扱いは2.4相当)のロータリーエンジンを技術発表しており、ロータリーエンジンの美点であるパワーやスムースさを伸ばしながら、弱点の燃費の悪さなどを克服すべく16Xに直噴化、過給機の装着、ハイブリッド化などといった手を加えてくるに違いない。
ちなみにマツダRX-VISIONのタコメーターを見ると1万回転まで目盛りが振られ、レッドゾーンは9000回転からとなっており、歴代のロータリーエンジンと同様にモーターのように「どこまでも」と感じてしまうほど超高回転域まで気持ちよく回るエンジンであることは間違いなさそうだ。
車を選ぶ際に肝心な車格が予想しにくい「RX-VISION」であるが、4,389mmという全長から考えるとかつてのマツダRX-7級、あるいはエンジンパワーによってトヨタ86やスバルBRZに近いクラスと思われる。
また20マツダブースには世界初のロータリーエンジンを搭載した量産車であるマツダコスモスポーツも展示されており、2017年はコスモスポーツが登場してから50年の記念の年となることから2017年に何らかの動きがあることは十分に考えられる。
プレスブリーフィングでマツダの小飼社長は「市販化に向けて課題は残っているが、マツダの精神である“飽くなき挑戦”の気持ちで開発する」と力強く宣言。まだ謎ばかりのマツダRX-VISIONだが、次のコンセプトカーで見せてくれそうな進化した姿や、ゆくゆくは市販化という過程を、長い目で見守りたいところだ。
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