軽トラ特有の登り坂・発進時のイライラを“ターボ化”で解決! 車検対応するハイゼットトラック純正エンジンターボ化の魅力とは/但東自動車 J-tanto【Vol.4】
出足・坂道でもっとパワーが欲しい軽トラユーザーは必見!
軽トラック(軽トラ)をリフトアップ&カスタムする「サムライピックアップ」シリーズで人気のJ-tantoブランド。兵庫県の但東自動車が展開しているこちらのブランドは、軽トラのアゲ系のチューニングや加工不要の荷台キャリア「トラレール」など、軽トラに関する数々のチャレンジをし続けている。
そんなJ-tantoが、純正エンジンそのままにダイハツ ハイゼットトラックを“ターボ化”するキットを製作し、販売することとなったのでご紹介したい。
発進や坂道での非力さに困っている方、特に荷物をたくさん積載する配送業やキャンパー仕様、リフトアップし大径タイヤを履いたことでパワーが必要となったなど、パワーを求めるハイゼットトラックのユーザーは必見だ。
なぜ純正エンジンをターボ化するのか? エンジン載せ替えではデメリットあり
ハイゼットトラックには軽バンのハイゼットカーゴのようなターボモデルの設定がない。軽トラは農業や近所の配送に使われるクルマであり、速さが求められるクルマではないからだ。
ただでさえ出足が遅く、登り坂でもパワーに不満のあるユーザーが多い軽トラだが、今流行りのリフトアップカスタムを施し、大口径タイヤ&ホイールを装着すると、その非力さが気になってしまうのだ。
そのパワー不足に対して、ユーザーからも「ターボ化してパワーを上げて欲しい」というリクエストが来ており、但東自動車ではエンジン載せ替えというワンオフ技でこれまでは対応してきた。
エンジン載せ替えでは「スマートアシスト」が使用できない
ただし元々ターボ車の設定がないハイゼットトラックにターボエンジンを載せ替えるというのは、大変な作業だ。配線の互換性がない、コンピュータの設定がない、インタークーラーはおろかパイピング類もない。ほぼ全てをワンオフで作らないといけないのだ。またメーカーからはエンジン本体の供給が無いため、程度の良い中古ターボエンジンを探す必要もある。
さらに一番のネックとなるのは、エンジンを載せ替えてしまうとダイハツの予防安全機能「スマートアシスト」が使えないことだ。これは載せ替えたエンジンと純正コンピュータが通信してくれないために起こるが、スマートアシストを使用するにはターボエンジンを“載せ替える”のではなく、他の方法を考える必要があったというのだ。
そこでJ-tantoが行き着いた結論は「ハイゼットトラックに装着されている元々のエンジンを生かしつつターボ化しよう」というものだった。
ハイゼットトラックのエンジンはターボ化ができるポテンシャルを持っていた
ハイゼットシリーズに搭載されているKFエンジンは、ノンターボとターボの両方の設定があるエンジン。
このうち、ターボ設定のあるのが箱バンであるアトレー、ハイゼット カーゴ用のエンジンで、末尾の型式が“DET”。そしてハイゼットトラック用にはノンターボの“VE”が設定されている。
このハイゼット用のVEエンジン、ノンターボではあるが可変バルブタイミングがついており、エンジンの心臓部を収める重要部品であるシリンダーブロックもしっかりしている。
さらにダイハツ コペンにはFF横置きエンジンレイアウトで、このKF・VEのターボエンジンを搭載しているため、同じポテンシャルをつ耐久性の高いエンジンならば「なんとかなるんじゃないか?」と開発に至ったというわけだ。
車検対応で構造変更も不要。レギュラーガソリンでOKながら80psも実現可能
ここで気になるのは車検や構造変更についてだろう。だが安心してほしい、ターボを搭載しても排気量が同じ660ccでエンジン型式も変わらないから車検は全く問題なし。改造車のような構造変更の必要もない。
ハイゼットトラック純正のパワーは、カタログ数値上では46ps(MT)/53ps(AT)(実際にシャーシダイナモに載せたら実際はもっと非力なのだが・・・)。それがターボを取り付けることで、ターボ車のカタログ値64ps程度には普通に引き上げられるとのこと。
しかもレギュラーガソリン仕様のままで、ブースト圧は0.4と0.8kgf/cm2の2段階の設定。このブースト圧はボタンひとつで切り替えが可能なので、圧が高いほうならば80psも実現できるという。
ターボ化で懸念される“熱問題”も対策済み
ただし、今回のターボ化に際して唯一のネックとみられるのがエンジンの熱。軽トラはそのボディ形状ゆえボンネットが前になく、純正ラジエーターが奥に設置されているため構造的に冷えにくいと言う欠点がある。つまりパワーが上がると熱ダレしやすくヒート気味になる恐れがあるのだ。
J-tantoでは純正の樹脂アンダーカバーを外しアルミのスリット入りプレートに変更することでフレッシュエアーをラジエターなどにダイレクトに当たるよう開発している。
最高速を狙ったチューニング仕様では無いが、このあたりの熱対策はやはり重要なので、オーナーのほうでも水温計やブースト計、油温計などを追加して愛車のコンディション確認には努めて欲しいところだ。
メリットだらけ! ハイゼットトラック ターボ化の特徴まとめ
・出足が良くなる(発進時が軽快に)
・上り坂をグイグイと登ってくれる
・レギュラーガソリン使用
・燃費が良くなる(ガンガン回さない限り)
ちなみに、ハイゼットトラックのような軽トラは、元々低中速重視のギア比。パワーが上がってもそのまま最高速は上がらないことは覚えておいてほしい。
またハイオクセッティングにして、ピストンやコンロッドを変更、ハイコンプ仕様にすれば、さらなるモアパワー化は可能。しかし、生活実用域を快適にするのが狙いであれば、そこまでの必要はないだろう。
ターボ化に掛かる費用はエンジン載せ替えとほぼ同じ80万円程度
ハイゼットトラックのターボ化に掛かる費用は、ターボキット+サブコンピュータ(HKS F-CON iS)+データセッティング代などを含め、総額80万程度を考えているとのこと。
サイド出しの専用マフラーもオプションとして用意されているが、取り付け部分の加工で純正マフラーのままでもOK。インタークーラーは純正部品の他車用を流用できるし、マフラーの触媒は新品でも中古でも各自の予算に応じて対応してもらえるとのこと。
エンジンを載せ替える場合、MTで約80万円、ATで約90万円。
純正エンジンをターボ化すればスマートアシストに対応できる上に、レギュラーガソリン仕様なのだから、ハイゼットトラックをどうしてもターボ化をしたい人にとっては大変お得ではないだろうか。
純正エンジンターボ化キットの取り付けは但東自動車・J-tanto代理店で可能
今回紹介したハイゼットトラックの純正エンジンをターボ仕様とするには、但東自動車でハイゼットの新車コンプリートを購入時にターボ化するのが一番早いが、エンジンを降ろしてJ-tantoの但東自動車に送り、ターボ用に加工&パイピングもつけて送り返してもらうこともできる。
それ以外でも、J-tantoの代理店経由でも装着は可能だから、ターボ化したい日本全国のハイゼットトラック乗りにはぜひ注目しておいて欲しいところだ。
見た目普通の軽トラ=ハイゼットトラックが、バックタービンの“プシュー!”と言うターボサウンドを響かせながら走り去る。登り坂をグイグイと加速していくハイゼットトラックなんて、こだわりの軽トラ乗りならずとも、物凄いロマンではないだろうか!
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Brand Info - J-tanto
但東自動車株式会社は、1973年自動車整備業としてその歴史をスタート。車両の下回りの防錆処理サービスやトラックの荷台のコーティングサービスなどを手掛け、2012年より軽トラックのカスタムを開始。ファッション性だけでなく、機能性も併せ持つカスタムを提供している。