レース用ホイールと市販用ホイールに求められる共通点は「安全で安心。そしてカッコいい」こと|レイズ・ボルクレーシング【Vol.3】

レーシングドライバーから見たレイズ・ボルクレーシングの凄さとは?

レイズ、さらにボルクレーシングといえばレーシングフィールドで活躍しているジャパンメイドのホイールブランドであることは多くのモータースポーツ好きなら、すでにご承知のことだろう。

今回は、そんなボルクレーシングのホイールのご紹介…、ではなくレースの現場で戦っているレーシングドライバーのリアルな意見をいただきながら、その魅力に近づいてみたいと思う。

今回登場していただいたのは2012年にポルシェカレラカップジャパン(PCCJ)でレースデビュー、今ではスーパー耐久のST-XクラスとスーパーGTのGT300クラスに参戦している永井宏明サンにご登場いただいた。この永井サン、スーパーGTではトヨタGRスポーツ・プリウスPHV apr GT 30号車を駆るレーシングドライバーであり、同時にトヨタカローラ三重の代表取締役社長兼会長の肩書きも持つお方だ。このエリアにおける絶大な販売力と影響力のある人だけに、レーシングドライバーとしての意見と、生粋の車好きという両面からお話をいただきたいと思う。

そして、ホイールサプライヤーである株式会社レイズの執行役員であり、ボルクレーシングの企画開発部/モータースポーツDiv.のクリエイティブプロデューサーの山口浩司サンにもご登場いただき、おふたりで対談していただいた。

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トヨタディーラー代表でありながらレーシングドライバーになったきっかけは?

----S耐、GT300、テスト走行などを精力的にこなすアグレッシブな永井サン。トヨタカローラ三重の社長業とレーシングドライバーという一見ミスマッチな両輪をマルチにこなしている永井サンですが、レーシングドライバーとなったきっかけは?

「トヨタ自動車のトップ、現社長の豊田章男さんが、アルテッツァを駆り国内のミニサーキットで自らステアリングを握って走られた時に隣に同乗させていただいたのです。その時の衝撃的な体験で一気に火が付いてしまいました。」(永井サン)

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---それまでのサーキット体験としては、鈴鹿にあるTSRレーシングチームで学生の頃に2輪のレーサーとしてのレースキャリアはあったものの、4輪はATしか乗ったことが無かったという。しかし、章男社長の隣で受けた衝撃は、クルマ好きの永井さんを“レーシングドライバーにチャンレンジしたい”という確かなモノへと変えていったのだとか。

「トヨタカローラ三重で、車両販売という仕事をしながらのレース活動は、平日に仕事、休みの日にレースという生活で、時間的にはとても厳しいのですが、自分が本来やりたかったことにチャレンジさせてもらえました。長い間クルマも販売してきていますから最近のクルマの安全性が高いことも知っていましたので、自分がやるスポーツとしてこれは可能だと。そこがきっかけですね。そして、自分が体験してその楽しさがわかったので、鈴鹿サーキットの近くに店をオープンし、同時にGRガレージとしても活動しています。」(永井サン)

レース用ホイールは安全で安心でなければいけない。それは市販用も同じ

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----そんな永井サンがドライブするチームにホイールを供給しているのがレイズのボルクレーシングだ。

「ドライバーは“何もトラブルが無い”という安心感が無いと走れないんです。レースホイールに求められるベースのコンセプトは、安全であり、安心です。」(山口サン)

レースホイールというのは、タイヤを介し、ドライバーへ情報を伝える機能パーツでもある。滑りそうな時のインフォメーションもそうだ。そこに、ドライバーに如何にリアリティを持って感じてもらうかがホイールの仕事でもあるのだという。

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「レース時のサイドバイサイドでは、ホイールとホイール、ホイールとボディが接触することもあります。結果ホイールが歪むことも。状況がヒドいとリムにクラックが入ってエアが抜けたりもします。でも、ボルクレーシングではそれがほぼ無い。どんな状況になっても、ピットインしてメカニックに見てほしい、ではなく信じて走りきれる。そういう信頼関係がボルクレーシングのホイールとはできています」

「スーパーGTではボルクレーシングのホイールにずっと乗らせてもらっていますが、タイヤの進化に合わせてホイールの剛性もバージョンが変わるたびに確実に進化しています。そして進化しても重量は変わらない。それは凄いですね。ドライビングフィールが、タイヤのたわみとかも感じさせてくれ、ホイールが進化するごとにたわみも減っていく。いい方向へのフィーリングにどんどんとなっています。」(永井サン)

ホイールが完全に機能した上で初めてレースで勝つことができる

「実は、永井サンのチームに供給しているホイールはGT500用に設計したホイールなのです。300と500にそんなに差があるわけでは無いのですが、aprがチームとして設定しているホイールサイズで、GT500用に設計しオーバースペック気味に作っています。きっと気に入ってもらえるとは思っていました(笑)。」(山口サン)。

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「実は、GTドライバーにボルクレーシングの感想をいただいたことがあるのですが、『鈴鹿の1コーナーの進入時のスピードって250km/hぐらい出ます。ブレーキは当てつつも、ほぼアクセル全開で進入、2コーナー手前ぐらいからブレーキをドカンと掛けます。すると前へと荷重がかかり、2コーナーへとハンドルも切り込んでいるので普通なら外へと荷重が掛かり、インナーリムが浮いてしまう。そうすると不安になってもっとブレーキが踏みたくなる…。そういう一連のことをボルクレーシングは全部抑えてくれました』と話してくれました。これは嬉しかったですね。」(山口サン)

「S字、ダンロップ、デグナーもすごく分かりやすい、全部分かりやすいって褒めましたね。」(永井サン)

「ホイールが良くて勝てました…というのは正直無いのですが、ホイールがちゃんと仕事をしてくれたおかげでチームがそれに合わせてセッティングをし、それで勝てた、というのはあるのですよ。」(山口サン)

「いいチーム、ダンパー、制御、タイヤ… 接地面が動かないからいいインフォメーションを与えてくれる。タイヤは唐突に情報を与えてくることが、ママあるのですが、ホイールの方でそれを察知してあげるとドライビングがやりやすいんです。」(山口サン)

「モニター画面などを通じて見ると一見グリップしているように見える時も、レーシングスピードの領域において、いかにクルマがスライドしながら流れているのかというのはドライバーにしか分かりません。そういった細かな情報が得られないとドライバーはギリギリのところでアクセルを踏んで勝負ができないのです。」(山口サン)

レーシングカーはカッコ良くないとダメ。ボルクレーシングのホイールも同じ

「あと、レーシングカーって、カッコ良くないとダメなんですよ。ボルクレーシングはそこにもこだわっているのが嬉しいですね。削り出しの複雑なデザインも表現しつつ、写真映えもする。いつも凄いなと思います。世界でもこういうデザインのレーシングホイールはちょっと無いと思いますね。」(永井サン)

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「レーシングホイールのアウター側にはとてつもない負荷がかかります。でも、強度ばかりを求めたら格好良さがなくなってしまう。そこのバランスは本当に難しいですね。実は、永井さんのクルマに供給しているホイールはGT300の45台中、2台のみしか使用していない特殊なペイントを施しています。数ミクロン分だけ厚みが増してしまいますが、ハイメタリックで光輝調のシルバーに塗っています。

 レースなので、通常なら最低限の化粧でいいのですが、速さには繋がりませんがドライバーが見て“キレイ”と思うものに仕上げているのです。しかも複雑なデザインですから、ちゃんと洗うのは大変。でも、そういう“カッコいいマシンで戦いたい”というドライバーの思いをカタチにした4コートのホイール。“カッコよく走ってほしい”という我々のコダワリでもありますね。」(山口サン)

レース用ホイールもアフター用ホイールも同じところで開発しているボルクレーシング

「余談ですが、僕のプライベートカーにもレイズ製のホイールが付いています。デザインがカッコイイのももちろんですが、剛性の高さと軽さ、そしてそれが生み出す安全性がその理由ですね。」(永井サン)

「実は、今日持って来ているスープラを最初に見ていただいた時にも“コレをつけたい!”と永井サンは言ってくださって。“ちゃんとカースタイル、カーライフ、クルマ好きの人たちの延長線上にホイールを用意している”と言ってもらえたこと、あれは嬉しかった。ホイールが出来るまでに、実は14〜15ヶ月くらいの時間を要します。最近は、車両の発売前にトヨタからコンセプトモデルの画像が出て来ますが、その車両に合わせたデザイン、付けそうな人を想定して設計するため、カッコよくキマるんです。レイズは、レーシングホイールは一生懸命作っているのに、市販用のホイールはイマイチだね…なんて言われるのは嫌なんです。その逆ももちろん嫌なので、ほぼ同じに設計しているところもコダワリですね。」(山口サン)

「実は、レイズはレース事業部とアフターメーケットの事業部が同じ部屋で仕事をしています。だから技術の流通がダイレクト。刃物の使い方もそうでしょうが、レース用に追いつめた方が進化的なところで減肉化出来るのです。この技術はアフターマーケットのホイールにも生かされています。」(山口サン)

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「ボルクレーシングのホイールは安心感がありますね。情報量も多いし、軽さもある。乗用車に付けるとグリップ力が上がったような感覚もあります。僕はレースの後でもひとりで自家用車を運転して帰っちゃうんですが、耐久を戦った後でもスイスイ帰れますよ。その時には“足回りがスムースなクルマに乗りたい”といつも思っています。スポーツカーであってもしなやかな乗り味にしていたい。ボルクレーシングのホイールはそういう要求に応えてくれる剛性感と軽さを備えたホイールだと思っています。」(永井サン)

レースで安全に走れる設計技術がアフター用ホイールにも活かされる

----サーキットを極限まで攻め込み、ギリギリまでタイムを削るレーシングドライバーとしての顔と、トヨタカローラ三重を運営する代表取締役社長兼会長として、多くの社員を抱える重責を担う顔。極限までタイムを削りたい、でも必ず安全に戻って来られるという安心感…、一見相反しそうなこのテーマも、ボルクレーシングであれば実現してしまうというスゴさ。そして忘れてはならない、唯一無二のカッコよさもボルクレーシングの最大のウリだろう。

レイズ

安心してアクセルを踏み続けること。F1にホイールを供給したり、数々のレースフィールドでデータを蓄積しながら極限の軽量化と、究極の安全性を実現する。プロとはいえ、ドライバーの命を預かるホイールは、タイムだけではないそんな安全性があってはじめて機能する。

レーシングドライバーであれ、街中を楽しむ一般ドライバーであれ、安全が担保されている。これって実は相当に凄い事。そして、その両立をハイレベルな次元で達成していることこそ、レイズ=ボルクレーシングの魅力なのだ。

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取材協力:GRガレージ鈴鹿カローラ三重

筆者   木村隆之
自動車カスタム誌編集長を経てフリーランスへ。多くのドレスアップカーやカスタムシーン、アフターパーツを取材し、ウェブ・雑誌媒体に寄稿。アウトドアやキャンプ好きで、自ら改造した軽バンでキャンプに出掛けることも。
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RAYS(レイズ)とは?

1973年創業の自動車用アルミホイールメーカー。日本でも数少ない鍛造機を有する自社工場をもち、鍛造/鋳造ホイールを、軽自動車からスポーツカー、ワンボックス、ハイエンドと幅広い車種に展開している。人気のブランド「ボルクレーシング」を筆頭に、多くのスポーツカーファンやカスタマイズファンに支持されている。

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