東京オートサロンの常連で、毎年あっと言わせるカスタマイズとアイデアが楽しいNATS(日本自動車大学校)は、今年も「そう来たか!」と唸らせてくれるクルマたちを展示していた。
その台数は実に10台!学生たちの力作を紹介する。
>>【画像】ヴェルファイアのピックアップや街道レーサー仕様のエルグランド
まず目を引いたのは、同校ブースの一番目立つところに展示してあった「NATS VELLFIRE PICK UP」。目立つだけでなく、そのアイデアから来場者も多くが足を止めて見入っていた。
その名の通りトヨタ ヴェルファイアをピックアップトラックに改造したクルマというだけでも珍しい上に、ごっついタイヤを履かせてハイリフト化までしてあるのだ。
アルファード/ヴェルファイアは上級ミニバンなので、ラグジュアリーなカスタマイズが施される傾向が強い。その「常識」を打ち破ってくれるのは学生のフレッシュで固定概念が無い感性の賜物だろう。大人になっていくにつれ忘れ去られてしまいがちな自由な発想やチャレンジングな気持ちの大切さを、毎年NATSの展示は気がつかせてくれるのだ。
ピックアップ化するにあたっては、20系(先代)ヴェルファイアのフロントドアより後ろを大胆に改造。2名乗車を想定しているとのことだが、単に荷台の大きなピックアップにするだけではなく、座席後部に空間を残しエクストラキャブとしているのも興味深い。
そしてフレームを下部に延長して、エンジンごと下げることでハイリフト化を達成。ランドクルーザー80系のオーバーフェンダーの幅を増して取り付けたというオーバーフェンダーは、ワイルドな雰囲気も手伝って今まで見たことがないヴェルファイアを作り上げている。
後部のカーゴスペースももちろん手作り。フロントマスクが30系にスワップされているのもさりげないカスタマイズポイントだ。
カスタムの定番スタイルのひとつに、いわゆる「街道レーサー」というスタイルがあると思う。その特徴は、1970年代~1980年代のレーシングカーにインスパイアされており、車高を落とし(シャコタン)小径でリムが深いアルミホイールを履かせ、大きくはみ出たオーバーフェンダー、長い板状のフロントスポイラー(デッパ)、大きめのリアスポイラーなどだ。
公道走行が可能ではない改造が多いため奨励されるものではないが、一つのスタイル・日本独自のクルマ改造文化として依然人気が高く、最近は海外でも注目されている。
その「街道レーサー」スタイルが東京オートサロンで自動車大学校系のカスタマイズモチーフになることが多いのは興味深いところである。
街道レーサーがNATSの展示ブースにいる!と思って近づいたら、車高が高くてびっくりした。そう、この「NATS ブギ☆グランド」は、日産 初代エルグランドを大胆にも街道レーサーに仕立て上げた一台なのだ。
セダンではなくミニバンで街道レーサースタイル、というのはかなり画期的な発想ではないだろうか。「家族みんなで乗れる合法街道レーサー、お父さん世代に新提案」というコンセプトも新しい。
街道レーサーの定番ポイントが押さえられているほか、Y33型セドリック/グロリア グランツーリスモ系のパーツを流用して丸目4灯を再現。
クラシカルなウインカーをビルトインしたメッキバンパー風の造形、幅広感を強調すべく先代センチュリーのテールライトを埋め込むなど1970年代のクルマらしい雰囲気を出すための工夫も数多い。
左側のスライド式リアドアは埋められてスムージング化されているので、リアシートへの乗り降りは助手席から行われる。そのため助手席が撤去されているのも法規に従っているとのことだ。
ちなみにベースとなったエルグランドは、2013年の東京オートサロンに出展された「R34型GT−R風」にカスタマイズされたエルグランドの再利用だ。同校ではこのような過去の展示車の再改造も数多く行われている。
[Text:遠藤イヅル/Photo:島村栄二]
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