トヨタ、新型燃料電池ハイブリッド車「トヨタFCHV-adv」を開発した。
「トヨタFCHV-adv」は、新設計の高性能燃料電池「トヨタFCスタック」を搭載した燃料電池ハイブリッド車で、6月3日に国土交通省より型式認証を取得した。
トヨタは、燃料電池ハイブリッド車の開発にあたり、経済産業省が実施する「水素・燃料電池実証プロジェクト(JHFC)」での実証実験をはじめ、米国における「カリフォルニア燃料電池パートナーシップ(CaFCP)」の実車走行やティミンズ(カナダ)での寒冷地評価など、様々な使用実態から得られたデータを解析、また技術課題の発生に至るメカニズムを把握するなど基礎研究を積み重ねてきた。
新型「トヨタFCHV-adv」は、そこで得られた成果をもとに燃料電池システムを一新し、普及への課題であった低温始動性や航続走行距離をより向上させている。
具体的には、高性能燃料電池「トヨタFCスタック」の最小構成単位MEA(膜/電極複合体)内部において、低温時に“生成水が凍結し発電を阻害する”という本質的な課題に着目した。発電セル内部を可視化し、生成水の挙動やその量の把握などの基礎研究を行った結果、MEAの最適設計と燃料電池の制御システム改良により生成水をコントロールすることで、マイナス30℃の低温下でも始動・走行が可能となり、寒冷地など利用可能地域を拡大した。
また、燃料電池本体の性能向上に加え、システム補機の消費電力低減や回生ブレーキシステムの改善により約25%の燃費を向上。さらに自社開発の70MPaの高圧水素タンクを搭載することで、一回の水素充填による航続距離は、約830km(10・15モード走行。社内測定値)と従来型車に比べ2倍以上の性能向上を達成した。そして、電極触媒の劣化抑制なども織りこみ燃料電池の耐久性も向上している。
燃料電池自動車の一般への普及に向けて、トヨタは「トヨタFCスタック」の更なる耐久性向上や一層のコスト低減などの課題解決に貢献しうる研究開発を着実に進めるとともに、国やエネルギー業界など関係機関と協力し、積極的に取り組んでいく。
なお、来月開催される「北海道洞爺湖サミット(7月7日〜9日)」において、サミット会期中に国際メディアセンター内に設置される「環境ショーケース」に、この新型「トヨタFCHV-adv」を試乗車として1台提供する予定となっている。
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