重量のあるキャンピングカーを安全・安心に走らせるなら、ブレーキの強化は必須! オススメのブレーキパッドはしっかり効く「Xタイプ」、ブレーキダストの少ない「Mタイプ」/ディクセル Vol.8
キャンピングカーの安全安心のためにはブレーキ強化は必須
キャンピングカーユーザーの皆さん、車重のあるキャンピングカーのブレーキについて考えたことはあるでしょうか? 実は、キャンピングカーのブレーキの負担は大きく、乗用車に比べて“長い下りの途中でブレーキが効かない”となる可能性が高い車両なんです。
たとえば、人気の「軽キャンパー」であれば、ベースとなる軽トラックの車重(700kg)に対し、シェルを搭載しシンクやベッドなどを備えた軽キャンパーの車重は2倍近く(約1300kg)もの重量になることも。そのうえに人や荷物を載せれば、さらに重量がアップ。このような重いクルマの場合、走らせるのにも、止まるにもパワーが必要になります。
このようにキャンピングカーのブレーキは過酷な状況にもかかわらず、もともと付いていた純正ブレーキのままの方も多いはず。 そのため、キャンピングカーを安全・安心に走らせるためには、ブレーキの強化は必須なのです。
では、どうやってキャンピングカーのブレーキを強化したらよいのでしょうか?
当記事では、高いシェアを誇り“ディクセルファン”という名のリピーターが続出するブレーキパーツメーカー「DIXCEL(ディクセル)」より、キャンピングカーのブレーキパッドを強化すべき理由や、キャンピングカーに求められるブレーキの性能、オススメのブレーキパッド「Xタイプ」「Mタイプ」について紹介してもらいました。
ブレーキの負担が大きいキャンピングカー。使い方次第でフェード現象が起きることも!
まずはキャンピングカーのブレーキパッドを交換すべき理由についてお伝えしましょう。
先ほどもお伝えしたように、キャンピングカーはシンクやベッドキットなどが備わった車両ですから、何も載せていない純正車両に比べて必然的に重くなります。しかし、ブレーキが純正のままならば、想定以上の負荷がブレーキに掛かっていることになるでしょう。
ではブレーキパッドが純正のままだと、いったいどんな危険があるのでしょうか。ディクセルの金谷さんにお話を伺いました。
「純正のブレーキは、もともとの積載量の範囲内で制動を発揮するように作られたものなので、車重のあるキャンピングカーの用途で作られていません。車重が重くなれば、当然ブレーキの効きが甘くなります。効きが甘いためにさらに踏み込むと熱が発生し、最悪の場合はフェード現象(※)を起こし、ブレーキが効かなくなることがあります。特にカーブやアップダウンの激しい道を走ることが多いならば、危険性は高まります。そうならないために効果的なのが、ブレーキパッドの交換です」
(※)フェード現象とは、ブレーキパッドの適正温度を超える熱が発生することで、ブレーキパッドのなかにある接着剤の成分・レジンがガス化。ディスクローターのまわりにガスの膜ができ、ブレーキの効きが著しく低下することをいいます。
フェード現象の可能性を減らすには、適正温度の高いブレーキパッドに交換するのが近道!
ブレーキは、運動エネルギーを熱エネルギーに変換することでクルマを止める仕組みです。変換された熱エネルギーは、時速100km/hのクルマが急ブレーキを1回かけるだけで、0度の水が2リッター沸騰するほどというから苛烈なものです。
繰り返しになりますが、車重が重くなればブレーキの効きが甘くなり、その状態でブレーキを効かそうとさらに踏み込めば、より高い熱エネルギーを発生。ブレーキパッドの適正温度(使用条件温度の範囲)を超えると、フェード現象に陥ります。
では、フェード現象にどう対処したらよいのでしょうか? ディクセルの金谷さんに伺いました。
「大前提として、長い下り坂などでは低いギアを選択し、エンジンブレーキを積極的に使ってください! そのうえで、純正ブレーキパッドよりも適正温度の高いパッドへの交換をオススメします。これによってフェード現象が起きにくくなるため、安心感をもって走行できるようになります。具体的には、純正で装着されているブレーキパッドの適正温度が『0-400度』に対し、重量のあるミニバンやSUV、RV車に向けて弊社が開発した『Xタイプ』の温度域は『0-700度』。高温域を175%上げた耐フェード性の高いパッドに交換することで、フェード現象になる可能性を減らすことができるんです」
ノーマル比で高温域が175%アップした耐フェード性の高い「Xタイプ」
ではディクセルがキャンピングカーにオススメする「Xタイプ」とは、どんなブレーキパッドなのでしょうか。
「Xタイプ」の最大の特徴は、耐フェード性の高さです。ミニバン、SUV、RVをはじめとする、重量のある車両向けに開発したブレーキパッドで、ストリートからワインディングはもちろん、ダートトライアル、ラリーといった競技などのハードな使用にも耐えられるブレーキパッドです。
「Xタイプは、鉄の含有量を増やし、適正温度を高めています。ノーマルパッドは鉄成分が少ないケースもあり、適正温度は0-400度ほど。それに対し、鉄成分の含有量を増やした『Xタイプ』のブレーキパッドは、ディスクローターの消耗が増える代わりに、700度に近い高熱状態でもブレーキがしっかりと効き、フェード現象が起きにくいんです。
ディスクローターが削れることで発生するブレーキダスト。このXタイプは、ブレーキダストが多少出やすくなりますが、踏力に応じて効きが高まるビルドアップ型で、しっかりとしたペダルタッチを味わえます。『Xタイプ』ならば、重量のあるキャンピングカーでも、ワインディングや山道を安心して下ることができます」
このように、耐フェード性の高い「Xタイプ」は山道をよく走るというキャンピングカーユーザーにオススメのブレーキパッドです。
ダスト超低減の「Mタイプ」も、純正パッドよりも適正温度を高く設定!
アップダウンの激しい山道はあまり走らない、ブレーキダストでホイールを汚したくない、ディスクローターを長持ちさせたいという方にオススメしたいのが「Mタイプ」です。
ブレーキダストが出にくいことで乗用車ユーザーからも人気の高い「Mタイプ」ですが、適正温度が「0-500度」とノーマルバッドに比べて高く、フェード現象が起きにくいという特徴があります。
「ブレーキダストでお悩みの方にオススメしたいダスト超低減タイプのブレーキパッドです。ディスクローターへの攻撃性が低く、ディスクローターが長持ちします。ストッピングパワーを犠牲にせずに、ワンランク上のブレーキコントロールも可能です。『Xタイプ』と同様に踏力に応じて効きが上がるビルドアップ型なので、一緒に乗っている方も快適に過ごせるのも特徴です」
「Mタイプ」はカーライフ情報サイト「みんカラ」ユーザーが選ぶ「PARTS OF THE YEAR 2022上半期大賞」のブレーキパッド部門で1位を獲得。そのクオリティの高さで、軽自動車、国産社、輸入車まで、幅広い車種にマッチするブレーキパッド。多くの人に評価されているブレーキパッドなので、安心して選ぶことができます。
ブレーキパッドの交換と合わせ、ブレーキフルードのチェックは必須!
「ブレーキパッドの交換とともに、キャンピングカーユーザー伝えたいのが、ブレーキフルード(ブレーキオイル)の交換です」とは、ディクセルの金谷さん。
ブレーキフルードは、ブレーキペダルからの油圧をブレーキ装置に伝えるオイルのことです。この交換を怠ると、「ベーパーロック現象(※)」が起きてしまう可能性が高まるためです。
(※)ベーパーロック現象とは、坂道を下る際にフットブレーキを使いすぎると、ブレーキが効かなくなるというもの。これは、ブレーキを使い続けることでブレーキフルード(ブレーキ液)に摩擦熱が伝わり、ブレーキフルードが沸騰、気泡が発生すること。ブレーキフルードの油圧が発生しなくなり、ブレーキペダルを踏んでもブレーキキャリパーに力が伝わらなくなる現象です。
「エンジンオイルやATフルード、クーラントなどど同じく、このブレーキフルードも劣化する“消耗品”です。ベーパーロック現象を起こさないためにも、ブレーキパッドの交換と一緒に、ブレーキフルードの液量や液の色をチェックし、汚れていたら交換してほしいですね。ブレーキフルードを新品に交換することで、カッチリとした踏み心地になりますよ」
交換するブレーキフルードを選ぶ際に気を付けることもあるようです。
「ブレーキフルードを選ぶ際は、沸点ばかりに目が行きがちですが、DOT規格(※)か、規格外かをチェックしておきたいところです。DOT規格に適合していない場合は長期間使用すると周辺部品が腐食したり、真冬時のブレーキ操作でABSの作動が悪くなる恐れがあるからです。詳しくはウェブサイトをチェックしてみてください」
(※)DOT規格とは、ブレーキの効きを示すブレーキフルードの性能の規格のこと。アメリカの交通省(Department of Transportation)の規格で、ブレーキフルードの沸騰しにくさや周辺部品の腐食のしにくさなどが規定されています。
>>「DOT規格」について詳しく知りたい方はこちら(オフィシャルサイト)
ブレーキフルードが劣化すると、色が飴色から茶色に変色します。写真のように黒くなってしまうほど劣化すると、ブレーキそのものが効きづらくなりますが、フルード交換で効きやタッチが戻ったケースもあります。
ブレーキパッドの交換にあわせて、ブレーキフルードが入っているリザーバタンクもチェックしてみましょう。
ディクセル製品の「お取り扱い店舗一覧」で、最寄りのショップが見つかる!
ディクセルのブレーキパッドを交換しようと思っても、どこに行けば分からないという方のために、ディクセル製品を取り扱うショップが一目で分かる「お取り扱い店舗一覧」が用意されています。
ブレーキパーツは安全保安部品のため、購入からメンテナンスまで店舗で行いたいもの。ここには安心しオススメできる、全国約8000件の取り扱いショップを掲載されています。地図から探せるので、お住まいの場所から最寄りのショップを探してみてください。
- 筆者 岡本 晃
- 元自動車雑誌編集者/編集長。現在は「オフィス・アヘッド」という屋号で、ライター/編集者として活躍している。自動車雑誌、カスタム系雑誌への寄稿が多く、関西エリアを拠点に活動中。ジャンルを問わず、面白いモノ・コトを掘り起こして執筆することに力を注いでいる。
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Brand Info - DIXCEL(ディクセル)
株式会社ディクセルは大阪府摂津市に拠点を構えるブレーキパーツメーカーで、2003年の設立以来、一般車やチューニングカー、レーシングカーに向けた製品を製造販売している。社名は、「優れた=Excellent」と「減速力=Deceleration」を組み合わせたもの。高い制動力と低ブレーキダストを両立したブレーキパッド「Mタイプ」をはじめ、そのラインナップは現行車から旧車まで網羅されており、コストに優れたストリート向けから、ワインディングや走行会用途、さらに極限の性能を極めたレーシング向けまでを豊富に揃え、ブレーキパッドだけでも1400品目と世界でも稀に見るラインナップを誇る。