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タイヤは、夏と冬、上手に分け るべし!

草加 浩平氏(インタビュアー)
東京大学 大学院 工学系研究科 機械工学専攻 特任教授

「iceGUARD Evolution iG01」の狙いはなんですか?

橋本 佳昌氏
横浜ゴム・タイヤ消費財開発本部

北海道のヨコハマコンセプトショップ限定で販売している「iceGUARD Evolution iG01」は「iceGUARD5」の氷上性能をさらに上げています。吸水ゴムの技術は同じですが、材料の量や大きさは変えているのが特徴です。イン側とアウト側で剛性を変え、センター部に横方向の溝を極力廃したシームレスブロックを採用。細かいブロックを並べて氷への密着、接触を増やしています。

引っ掻き効果のある溝にジグザグを増やしてブロック同士が倒れ込まないように配慮。「iceGUARD5」よりも氷上での制動距離を約20%も短縮しています。
また、新マイクロ吸水バルーンの量を「iceGUARD5」比で1.5倍に増やし、従来の「吸水ホワイトゲル」の大きさを最大30倍大きくした「エボ吸水ホワイトゲル」を採用しました。

草加 浩平氏
東京大学 大学院 工学系研究科 機械工学専攻 特任教授

細密配置サイプやジグザグエッジは面白いアイデアですね。奥のほうで変形させる手法は昔からあったのですか?

橋本 佳昌氏
横浜ゴム・タイヤ消費財開発本部

先代のアイスガードトリプルから導入しています。特許も取得しています。基本的にスタッドレスタイヤは柔らかいゴムを使用しておりますので、剛性が保たれないと路面にきちんと接地しません。各社とも、何らかの処理をしたサイプを使っていますね。

草加 浩平氏
東京大学 大学院 工学系研究科 機械工学専攻 特任教授

転がり抵抗を低減するためにサイドの変形を抑えたのですか?

橋本 佳昌氏
横浜ゴム・タイヤ消費財開発本部

元々、燃費についてはサマータイヤのブルーアースの開発で実績と経験が豊富です。しかもミニバン用の「BluEarth RV-01」で、荷重の大きなクルマでもしっかりその荷重を支えながらもタイヤそのものが重くならないように、かつ剛性を出しながら別の補強材等で強化しなくても良いプロファイルを採用したので、それをスタッドレス用にアレンジしています。従来のスタッドレスタイヤと比べると剛性を維持しながら、軽く出来ています。たわみを最適化することで、発熱によるエネルギーロスを抑える工夫もしています。

草加 浩平氏
東京大学 大学院 工学系研究科 機械工学専攻 特任教授

性能が長く持続すると、ずっと使いたくなるものですよね。スタッドレスタイヤを夏も使うと摩耗は早く進むと思いますが、夏タイヤと比べると実際はどのぐらい減るのですか?

網野 直也氏
横浜ゴム・タイヤ技術開発本部

たとえば、夏タイヤのトレッドにスタッドレス用のゴムを入れ替えると、2割ぐらい早く減りやすくなるという実験結果もあります。もちろん走り方にも依存しますが、夏はコーナでは夏タイヤよりもスリップアングルが大きくなり、さらに摩耗が進みやすくなります。スリップ比を大きくするとかなり摩耗は激しくなりますね。もし夏も走るのなら、できるだけ穏やかな運転で。もったいないですから(笑)

草加 浩平氏
東京大学 大学院 工学系研究科 機械工学専攻 特任教授

どうせ買ってから2シーズン目になると性能が落ちるから、夏も履いて履きつぶす、というのは間違いですね。タイヤは夏冬使い分けたほうが絶対に良い。それなら3年は平気で保ちますからね。
しかし、あまり長く使い続けられるとタイヤメーカーさんは困りますね?(笑)

橋本 佳昌氏
横浜ゴム・タイヤ消費財開発本部

マーケットの要求は、氷上グリップの向上が最も高いです。20年程前、スタッドレスの氷上性能は頼りない、と言われることがありましたが、それは高い氷上グリップを発揮するスパイクタイヤを使用していたせいもあるでしょう。今は、スタッドレスタイヤの性能も大幅に向上し、またスパイクタイヤ未経験の人も多くなり、現在のスタッドレスタイヤのグリップ感、安心感は、当たり前になりつつあります。最近では、安心感にプラスして省燃費と長寿命が強く求められていますね。