本当に1年通して履けるのか? オールシーズンタイヤ「セルシアス」で一番気になる雪道を実際に走ってみた[雪の日編]/TOYO TIRES(PR)
いつ降るかわからない雪に備えるには?
これからいよいよ本格的な冬に突入する。タイヤも不意の降雪に備えねばならない。降雪地域に住んでいたりスキーやスノーボードなどのウインタースポーツを趣味にしているのであればスタッドレスタイヤを装着したいが、それ以外のユーザーは判断が難しいと思う。せっかくスタッドレスタイヤに履き替えても、結局は雪道をほとんど走らず、春を迎えることも少なくないからだ。
そこで注目されるのが、TOYO TIRES(トーヨータイヤ)の全天候型オールシーズンタイヤ「セルシアス」だ。すべての路面に対応することを目的に開発され、1年を通じて履き替える必要がない。頻繁に雪道を走るなら、前述の通り専用のスタッドレスタイヤを装着したいが、街中で不意の降雪に見舞われた時などは、オールシーズンタイヤでも対応できる。
晴れ・雨に続いて気になる雪道でセルシアスをテスト
それでも雪道の実力を知りたいので、今回はセルシアスのテストの3回目として、積雪地域まで出かけた。晴天、雨天に続いて、いよいよ積雪路面を試す。
ただし12月初旬に雪道を求めて走ると、積雪地域とはいえ、標高の高い山道に入らねばならない。次第に積雪が深くなっていく。テストするには好都合だが、登り勾配もキツくなってしまう。セルシアスはオールシーズンタイヤだから、スタッドレスタイヤに比べれば雪道性能は劣る。雪道の登り坂では、立ち往生するのではないかと心配だった。
ところが実際には、多少のスリップはしたものの、テスト車両のフォルクスワーゲン ポロは前輪駆動の2WDながらも滞りなく登って行った。この時には、やや使い込まれたスタッドレスタイヤを装着する伴走車とほぼ同等の雪道性能を発揮している。一部の急な登り坂を除くと、大半の雪道の登り坂を普通に走行できた。
これだけの走破力があれば、不意の降雪によって帰宅するために雪道を走る場合なら、十分に対応できるだろう。本格的な積雪状態で長時間走行するような使い方を除けば、不満は生じない。
過信は禁物だが雪道の性能は高く評価できる
積雪の峠道では、いろいろな走り方を試した。直線路で車両を前進させるだけでなく、カーブを曲がる時の性能もチェックすると、操舵角に応じて正確に曲がることを確認できた。旋回軌跡を拡大させたり、下り坂のカーブで後輪が横滑りを生じることもない。無理な走り方は禁物だが、周囲のスタッドレスタイヤを装着した車両に近い速度で、登り坂や下り坂のカーブを曲がることができた。
ブレーキ性能も同様だ。強めに制動すると4輪ABSが作動するが、停止するまでの距離が予想外に伸びる心配は少ない。4輪ABSが早期に作動することもなく、ブレーキペダルの踏力によって制動距離を調節しやすい。このあたりの運転感覚もスタッドレスタイヤに近い。
素直な運転感覚で疲労感も少なめ
全般的な特徴として、セルシアスの雪道における運転感覚は、素直な印象だ。フォルクスワーゲン ポロの基本的な走りの性格を変えることなく、雪道を走行できた。ポロは後輪の接地性を優先させて、曲がる性能よりも直進安定性に重点を置く。この傾向は今の市販車のほぼすべてに当てはまるが、ポロはこの度合いが特に強い。同様の性格がセルシアスを装着した状態にも当てはまるので、雪道を走っても馴染みやすく、これから車両がどのような挙動を示すのかも予想しやすい。安全性やドライバーの安心感に繋がるところだ。
路面の状況がステアリングホイールの手応えを通じて分かりやすいこともセルシアスの特徴だ。特に雪道では、舗装路や雨天以上に、路面状況によって走行安定性が左右されやすい。試乗した雪道の登り坂では、駆動する前輪が微妙に空転したが、この時も分かりやすかった。前進できず立ち往生する前に、路面状況の変化が伝わるため、ドライバーは対応しやすい。
そして雪道に乗り入れる前は、雨天の街中や高速道路を走ったが、この時のグリップ性能も十分に確保されていた。乗り心地も柔軟だ。快適な乗り心地はドライバーの疲労を抑えるため、長時間走行の後で雪道に乗り入れた時も、適度な緊張感を保つことができた。
進歩したオールシーズンタイヤ「セルシアス」は装着するメリット大!
かつてのオールシーズンタイヤには、中途半端な部分もあったが、セルシアスを試して印象が変わった。クルマと同じように、オールシーズンタイヤも着実に進歩している。特にスタッドレスタイヤに履き替えた時、サマー用タイヤの保管が難しい都市部のユーザーには、装着するメリットも大きい。
[筆者:渡辺陽一郎/写真:森山良雄]
- 筆者 渡辺 陽一郎
- 1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。
- カメラマン 森山 良雄