MOTAトップ ニュース/記事 特集 特別企画 社長に訊く~マツダ株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 小飼 雅道~ page01

国沢光宏
Q
確かに他のメーカーはマツダほどの効率の高さを持っていないようです。客観的に見ると今のマツダの生産効率は圧倒的です。なんでマツダだけ出来たのでしょうか?
小飼社長
それはもう自前主義だからです。生産設備の設計を全て自社で行っているだけで無く、ラインの改良も外部の業者に頼むことなく行えます。他なら時間とコストで断念するようなことをドンドンやっていく。もっと大きな観点を持つと、マツダは「モノ作り」が大好きなんですね。
国沢光宏
Q
確かに生産畑の方がトップになるという企業は珍しいです。先日、御社の工場を見せて頂いたのですけれど、工場の方のプレゼンに感心しました。クルマが良くなるなら何でもやってやるぞ、という意気込みがありました。
小飼社長
しかし、ただ生産が強くなりすぎてもダメなんです。「ここの作り方は生産のために重要だから動かせないぞ」とやり始めたら良いクルマを作れません。バランスを取らなければならない。開発が要求を出してきたら、それ以上の答えを出してやれ、と言ってます。勉強してもらうため、私が担当になってからは生産部門の人間を開発部門に3年間くらい配属させてます。
国沢光宏
Q
今のマツダの強さは開発と工場の一体感にあると考えます。文字通り「ワンマツダ」というイメージです。
小飼社長
「ワンマツダ」というのは2001年にリストラを行い、初代アテンザを出した後の2004年頃から言い始めました。あれがスタートですね。ただ当時はフォード傘下だということもあり、目立っていなかったのかもしれません。社内では合い言葉でずっと使ってきました。具体的な成果として出てきたので「ワンマツダ」のイメージも強くなったんでしょう。
国沢光宏
Q
今後のクルマ作りの方向性はどうなりますか?小排気量過給ターボや電気自動車は出てきますか?
小飼社長
小排気量ターボについてはマツダの規模だと、しばらく大量生産出来ないと考えています。否定しませんが‥‥。電気自動車も電池やモーターを外から買ってこなければならず、モノ作り精神に富むマツダの得意分野を活かせません。部品を買ってきて組み立てるようなクルマ作りはコスト的に厳しい。小排気量ターボと電気自動車はマツダの”持ち場”じゃないのです。
国沢光宏
Q
マツダファンなら絶対聞いて欲しい、ということでロータリーエンジンはどうなりますか?
小飼社長
ロータリーは特殊なエンジンなので混流も出来ず、専用部品ばかりです。年間に1万~2万台だと採算が取れません。今でも開発にはかなりのコストと人員を割いていますけれど、スカイアクティブを超える技術に育ち、年間10万台という規模にならない限り難しいです。少なくとも今は作らないです。
国沢光宏
Q
モータースポーツはいかがでしょう? マツダに対する期待感は世界的に高いです。
小飼社長
我々の元々のブランドはスポーティなイメージですから、モータースポーツへの取り組みは重要だと思っています。残念ながら今までは財政的に厳しかったので不可能でしたけれど、今後検討していきます。
国沢光宏
Q
世界的に調子が良い中、安価なエントリーカーを持っていないアジアが少し課題でしょうか?
小飼社長
アジアはタイが少しばかり厳しい。売れ行きは各社下がったままです。特にウチは値引き販売しないので売れ行きを落としています。新興国向けのエントリーカーも開発する予定を持っていません。日本は申し分ないです、もうすぐ小型車も出てきます(注・デミオ。詳しくは教えてくれませんでした。当たり前ですね)。これは相当の自信作です! アメリカもヨーロッパも嬉しいくらい順調ですね。得意な分野を伸ばして行こうと思います。そうそう。ロードスターは期待してください(笑)。
国沢光宏
Q
恒例の質問です。ご趣味を教えてください。
小飼社長
学生の頃はボクシングをやっていましたが、先輩のサンドバックになるだけだし、減量で食事が出来ないですから若者向けのスポーツじゃない!と、6か月で辞めて(笑)、思い切り食べられるラグビーに転向しました。今はゴルフしか出来ません。ハンデは8とか9です。今は忙しくてあまりコースに出られないのが問題ですね(笑)。

前へ

1

2

マツダ株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 小飼 雅道(コガイ マサミチ)
1977年4月

マツダ株式会社 入社

1998年6月

車両技術部長

2003年6月

技術本部副本部長

2004年6月

執行役員 防府工場長

2006年4月

執行役員 オートアライアンス(タイランド)Co.,Ltd社長

2008年4月

常務執行役員 生産・物流担当補佐、コスト革新担当補佐、技術本部長

2008年11月

常務執行役員 生産・物流・ITソリューション担当、コスト革新担当補佐、技術本部長

2010年4月

専務執行役員 生産・物流・ITソリューション担当、コスト革新担当補佐、研究開発担当補佐

2010年6月

取締役 専務執行役員 生産・物流・ITソリューション担当、コスト革新担当補佐、研究開発担当補佐

2011年4月

取締役 専務執行役員 生産・購買統括、物流・ITソリューション担当、モノ造り推進担当補佐

2013年6月

代表取締役社長 兼 CEO(最高経営責任者)

「社長に訊く」バックナンバー