autoc-one.jp 記事・レポート 特集 特別企画 社長に訊く~マツダ株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 小飼 雅道~

国沢光宏
Q
マツダは久しぶりに業績は絶好調、過去最高益になるというニュースも流れています。
小飼社長
1か月前にアメリカに行ってディーラーの要人に会ってきましたが、全く同じことを言われました。CX-5とアテンザ、そしてアクセラを見て「大ヒット車が3台続けて出てくるなんて初めてだ!」と。嬉しいような、からかわれているような複雑な気持ちでした(笑)。
国沢光宏
Q
思い起こしてみれば去年の夏くらいは最悪の状況に見えました。7月25日には85円という非常に厳しい株価まで落ちてます。100円切ったら破綻の可能性が大きいと言われますから。どの指標を見ても厳しかったと思います。
小飼社長
我々自身はCX-5の生産を立ち上げた2011年の11月あたりから手応えを感じていたんです。すでに先行オーダー(ユーザーでなくディーラーの見込みを元にした予注)を各国から取り始めており、予想以上の台数になっていました。そこがボトムだと考えています。
国沢光宏
Q
でも2011年の11月からドンドン株価は落ちていきます。どこまで安くなるか解らないほどだったと記憶しています。そういう状況を見ていて社内はいかがでしたか?
小飼社長
確かに株価は落ちてましたけれど、3か月毎の収益が上がり始めていたんです。言い方を変えると「経営の内容」は良くなっていた、ということです。2012年の1月~3月をスタートに、ドンドン改善が進んでいると我々は実感してたんです。自信はありました。
国沢光宏
Q
2011年11月と2012年6月に、当時それぞれ145円と93円だったマツダの株を買ったらどうかと私のブログで紹介したんです。どちらも買った方が少なくなかったようで大いに感謝されました。私は自主規制して買いませんでしたが…。
小飼社長
当時、お取引先の企業でも、マツダの株をずいぶん買ってくれたと聞いています。結果的に株価が上がったので(編注・直近の相場で450円)凄く喜んでもらっています。少し恩返しが出来たと思っています。よかったですよ。
国沢光宏
Q
一番厳しかった時にクルマ作りの基本から見直し(スカイアクティブ)、大きな投資をして工場の生産設備を全て効率の高いシステムに作り替えています。よくぞ判断できたと思います。
小飼社長
フォードが出資比率を下げ、マツダは単独で生き残っていかなくてはならない状況になりました。そこで開発部門の方でスカイアクティブというクルマの性能を革命的に引き上げる技術に取り組みます。となれば素晴らしいクルマをどうやって安く作ろうか、ということになるワケです。マツダの大きな特徴は、工場の生産ラインを自前で構築できるという点にあります。
国沢光宏
Q
今までの生産設備を使っていたのではコスト的に厳しい、ということでしょうか?
小飼社長
同じクルマを専用のラインで年間30万台作る、という作り方は確かにコスト的に有利ですが、マツダの台数規模だと成立しないんです。5万台の生産台数でも年間30万台のコストと同等に抑えなければ生き残れません。考え方から根本的に変えなければならない。ということでCX-5の量産の3年前に大改革のスタートを切りました。
国沢光宏
Q
3年くらい前に金井さん(当時開発のトップ。現在は副会長)から新しい工場のコンセプトを教えてもらったのですが、断片的だったのでサッパリ解らなかったです。先日、工場を見せて頂いて驚きました。
小飼社長
フォードから自立して我々が生き残れるとしたら、デミオからアテンザまで同じラインで、しかも低コストで作れない限りダメだということです。エンジンもそうです。ブロックの大きさが違う1300ccから2500ccまで同じラインで作ることを考えました。ディーゼルも同じラインで作らなければならない。
国沢光宏
Q
同じ生産ラインで大きさの違うクルマを作ると言うことは、マツダだけでなく他のメーカーもやっています。極端な差はないような気がします。
小飼社長
う~ん!そんなことはないと思います。全然違うと考えています。例えば私がマツダに入った時から同じ生産ラインで3車種以上の混流をさせてました。他のメーカーは1ラインで同じクルマを20万台も作っていましたから。マツダは圧倒的に長い混流生産の歴史やノウハウを持っています。

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