エルグランドの外観は、豪華さとスポーティーな雰囲気を併せ持つ。フロントマスクにはワイドなメッキグリルを装着するが、鋭角的にデザインされて走りのイメージも強めた。スポーティーセダンのスカイライン、あるいはフーガに通じる顔立ちだ。
ボディサイドはフェンダーやドアパネルに滑らかな張り出しを持たせつつ、ルーフやサイドウインドーの下端は直線基調で仕上げた。ボリューム感とシャープさを併せ持つ。
全長は250ハイウェイスターSが4945mm、250ハイウェイスターSアーバンクロムが4975mmで、全幅は両グレードとも1850mmだ。国産のミニバンではフルサイズと呼べる大きさで、全高は1815mmと少し低めに抑えた。
この天井の高さが先に述べたシャープなボディラインと相まって、エルグランドならではのスポーティー感覚を生み出している。
250ハイウェイスターSと同アーバンクロムが搭載するエンジンは、直列4気筒の2.5リッター。最高出力は170馬力(5600回転)、最大トルクは25kg-m(3900回転)になる。重量級のLLサイズミニバンに見合う十分な性能といえるだろう。
アルファード&ヴェルファイアの外観は、ボディを大きく、豪華に見せることに重点を置いてデザインされている。
特に現行型の場合、アルファードは格子状の大型メッキグリルが目を引く。先代型は姉妹車のヴェルファイアに比べてインパクトが少し弱かったが、現行型では斬新なデザインになって存在感を強めた。好みの分かれる造形だが、それだけの冒険をする必要があったのだろう。
姉妹車のヴェルファイアは、アルファードに比べると水平基調のシンプルなフロントマスクを装着する。メッキされた太いラインで構成され、従来型の路線をさらに進化させた。
ボンネットは両車とも水平に近い角度で、フロントグリルとバンパーが上下方向に厚い。これが古典的な押し出し感の強さに結び付いた。
ボディサイズは全長が4915mm(エアロ仕様は4935mm)、全幅は1850mm、全高は1880mmと高い。この背の高さも、ハイルーフミニバンの典型だ。
売れ筋グレードに搭載されるエンジンは直列4気筒の2.5リッター。最高出力は182馬力(6000回転)、最大トルクは24kg-m(4100回転)。車両重量とのバランスを考えると、LLサイズの背の高いミニバンでは平均的な動力性能だ。
ミニバンではエアロパーツを装着したスポーティーグレードが人気を集めている。エアロバンパーやサイドシルプロテクターを備えることで、背の高いボディがカッコ良くドレスアップされるからだ。
この先駆けが1995年に発売された日産ラルゴ・ハイウェイスターであった。一躍人気車になり、今ではハイウェイスターがシリーズ化されて好調に売れている。ほかのメーカーも追従して、エアロ仕様はミニバンの定番になった。
エルグランドハイウェイスターは、ルーフの高さを少し抑えることで、LLサイズミニバンの豪華さと、シャープかつワイドなスポーティー感覚を融合させている。対するアルファード&ヴェルファイアは、エアロ仕様も用意するが、あくまでも豪華さを重視する。この世界観の違いは、内装のデザイン、運転姿勢、走行性能までさまざまな部分におよんでいる。