常に進化し続ける鍛造ホイールブランド「ボルクレーシング」|レイズ【Vol.1】

レースに勝つための技術を市販ホイールに惜しげもなく投入するレイズ

「レイズ」という会社をご存知だろうか。このレイズ、クルマ用のホイールを作っている会社だ。スーパーGTやGT3、さらにはル・マンでトヨタGR・TS050の足元はずっとレイズが受け持っているというほど、名だたるレースの現場で培われたその技術力は、世界を代表するホイールサプライヤーといって間違いない。設計・開発・量産という一連の流れを、市販用ホイールはもちろんのこと、レース用のホイールも含めて自社で製造を行なっているスゴイ会社なのだ。

「“ザ・コンセプト・イズ・レーシング”これは我々レイズという会社のモノづくりの基本テーマ、骨子のようなものです。我々はレース用のホイールを作る会社なの? と聞かれたら、いや、一般の市販用であり、同時にレース用のホイールも作っています、と答えます。モータースポーツをこよなく愛するお客様に、いかに身近な価格で提供するか、ということを常に考えている。もちろん、ただ機能美だけを追求したのでは面白くない。好きな人にササる強さ感、速さ感、技術感を伝えたいと思っています。」

「ただ、デザインが似ているだけのフィードバックモデルは作らない。“デザインのためのデザインのラインは引かない”。そのコダワリこそがボルクレーシングですね」とは山口サン。

実は、このレース用ホイールを作る会社と、量産品ホイールを作る会社は、レースに勝つための極小のロット数と量産性という点において本来混在しにくいもの。だが一方でレースの実践の場から得たまったく同じデータを社内で共有して使えるのは何よりの強みとなる。それはエキスやノウハウといったボンヤリとしたものではなく、丸々カーボンコピーするようにピントがドンピシャな状態で社内全体に共有される。しかも市販用のホイールもレース用のホイールも共通のスタッフが担当し、この蓄積されたデータを会社の資産として前向きに共有することから、その思想は「考え方」、「作り方」、「コンセプト」としてスタッフ全てに貫かれ、共有される。その情報が市販品にも生かされることで類稀なるハイパフォーマンスなホイールが生まれてくるのだ。

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レイズの代名詞である鍛造ホイールTE37は常にアップデートされている

さて、そのレイズの代表的なホイールと言えるのが、ボルクレーシング TE37。レイズのアイコンとも呼べる6本スポークのホイールだ。1996年のリリース以来、日本、アジア、北米、欧州で大人気のアイテムでもあるから、モータースポーツ好きや、クルマ好きならおそらく知っている名前だと思う。レイズが最初に手掛けた本質的ブランド、それがこの“ボルクレーシング”なのだ。

レイズの、さらに看板ブランドとしてのボルクレーシングにはTE、CE、ZEという3本の軸が存在する。そのどれもがスポーツカーが本質だが、ターゲットなる車種には軽自動車やハイエース、4WDも存在する。そのどのモデルにもボルクレーシングらしいスポーツ性を発揮できるようにと考えられている。

そんなボルクレーシングが年に一度NEWモデルを投入するのが5〜6月頃。今回はコロナ禍の影響で少々遅れてしまったようだが、サイズバリエーションを広げたり、商品の塗装や仕上げを加えた限定品を出すのがこの時期なのだ。

デザインの多様性を実現していくものとして大切なのは「解析技術」とそれを実現する「鍛造の金型の進化」なのだという。これはレイズが独自に開発を続けてきたもの。この金型技術は特にこの10〜15年の間に劇的に進化を遂げているのだとか。そして鍛造ホイールは今では、鋳造ホイールに勝るほどのデザイン性を確保できるまでに進化しているとも言う。そんな技術が生かされたアイテムが、しかも限定品となって市場に出てくると言うのだから、これは注目せずにはいられないだろう。

特殊なホイール塗装技術「REDOT(アールイードット)」とは?

2020年である今年の限定ホイール達に数多く採用されている目玉は、何と言っても「REDOT(アールイードット)」と言う技術。これから紹介するアイテムに数多く投入されているので、前もって少し触れておきたいと思う。

このREDOTとは、レイズオリジナルの特許ペイント技術のこと。形状と色を自由に配置することができるインクジェットのドットプリントのような特殊な塗装技術だ。これにマシニングを組み合わせることで、ステッカーでは絶対に真似のできない金属感が出せるためアクセントとして非常に目立つ。量産品に安心して採用できるようになったことから今回の限定モデル達にも数多く採用されている技術だ。

ボルクレーシング TE37シリーズの2020年限定モデルはコレだ!

●ボルクレーシング TE037 6061 REDOT 2020

TE37同様に6本スポークを基本としながらも、37の前に0(ゼロ)が付くことで設計・開発をゼロからはじめた…という強い志から生まれたモデルのこの037。車種の想定ターゲットはインプレッサWRXやFK8、BMW、スープラなど。ネームに入っている「6061」とはアルミ合金材の名前で、鍛造を主張するため、その名前を冠している。このゼロシリーズの特徴は、横穴と縦穴、ウエイトレスホールが施されること。さらに今回のポイントは限定モデルとしてのREDOTの装着。しかも3つ入れられているREDOTの長さが違うことで、ホイールの回転時に不規則なストロボ効果を発揮する。さらに“ダークブルークリア”という黒に見える青の塗装をプラスしているのもポイントだ。

超ハイスペックゆえ価格も高価だが、その価格を補ってあまりあるプレミアムさが得られる。通常ホイールの塗装は3回塗装して3回クリアを噴くというのが定石だが、このTE037は5回塗装して5回クリアを噴くという手間の掛けようで最終的なツヤ感が全く違うのだ。「色にも技術がある、見るものを圧倒するのがこのゼロシリーズの良さ」とは山口サンの弁だ。

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●ボルクレーシング TE37KCR 2020

Kコンパクト向けのレーシング仕様モデル「TE37 KCR 2020」。ターゲットとなる車種はアルトワークスやアルトRSターボ、コペンやS660など。市販用Kカーホイールとしてはおそらく唯一の鍛造モデル。このTE37KCRはリム深のディスクが特徴。2020年限定モデルとしてのポイントは新たなカラー追加とマシニング加工。リムウェル部に“FORGED”の彫刻文字や多数の溝=マシニングのラインが入る。

赤はホットモデルの象徴として採用され、黒はレーシング魂を表現している。ツルッとしたマットレッドの「MA」は大人っぽい赤を表現し、もう一方の「BC」ブラストブラックは表面がザラッとしたマットの黒とは一味違う非常にシックな装いに演出できる。

レイズ

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●ボルクレーシング TE37SB REDOT 2020

市場に投入して早4年になるというTE37SBの2020年限定モデル。このSBとはスポーツボックスと読み、ハイエース用であることを意味する。ハイエースにスポーツを吹き込もうというメッセージが込められているのだ。かつてはスポーツカーでTE37を履いていた人や、今は仕事や家族の関係でスポーツカーからハイエースに乗り換えている人にも使ってもらえるようにとハイスペックな鍛造モデルで用意。今回の限定仕様のポイントは、カラー追加。マットガンブラックをベース色に、3つのREDOTを均等に散らして配置している。リム外周に丸々赤いラインを入れるのではなく、均等に入れることで走行時のストロボ効果が楽しめる仕様になっている。

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●ボルクレーシング TE37ウルトラ・ラージツアラー

ランクル・プラド等のクロカン4WDがターゲットの「TE37ウルトラ・ラージツアラー」。以前の仕様はディスクとリムが同色の状態だったが、今回の2020年モデルは待望のリムを切削したリムダイヤカットが施されているのが特徴。

今回はボルクレーシングから2020年の限定モデルをピックアップして紹介させていただいた。次回は同じボルクレーシングから「G」シリーズをフィーチャーしたいと思う。

《取材協力:レイズ/製造元:レイズエンジニアリング》

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筆者   木村隆之
自動車カスタム誌編集長を経てフリーランスへ。多くのドレスアップカーやカスタムシーン、アフターパーツを取材し、ウェブ・雑誌媒体に寄稿。アウトドアやキャンプ好きで、自ら改造した軽バンでキャンプに出掛けることも。
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RAYS(レイズ)とは?

1973年創業の自動車用アルミホイールメーカー。日本でも数少ない鍛造機を有する自社工場をもち、鍛造/鋳造ホイールを、軽自動車からスポーツカー、ワンボックス、ハイエンドと幅広い車種に展開している。人気のブランド「ボルクレーシング」を筆頭に、多くのスポーツカーファンやカスタマイズファンに支持されている。

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