-藤島
トータルバランスが良く、総合性能が高い「X-ICE XI3」ですが、多くのユーザーが気になる氷上性能について聞かせてください。五味さんは「X-ICE XI3」で真冬の北海道をかなり走られたようですね。
-五味
真冬の北海道は本当に過酷な路面状況でしたが、とにかく情報量が豊富なことと、コントロール性の高さが印象的でした。コントロール性といってもスポーツ走行時の操縦性の話というより、もっと単純に適正鴕角が決まりやすいということです。
つまり、ハンドルを動かす量が最低限で済むから微修正の必要もないため、過酷な状況下でもあまり疲れないわけですね。
タイヤの剛性が高いと手応えがしっかりしますから、ステアリングを切り過ぎたり、切り足りないことがありません。
-藤島
タイヤからの情報量や、手応えが薄いとその逆になりますよね。常に微修正を余儀なくされると、ドライバーはすごく疲れるものです。
-五味
まさにそこですね。氷上グリップを確保するために剛性を落としがちなスタッドレスタイヤは、このしっかり感が曖昧になりがちなのですが、良いスタッドレスタイヤだと無駄な操作がなくなる。結果として安全の確保と疲労感の低減につながるのです。タイヤの剛性が高いと手応えがしっかりしますから、ステアリングを切り過ぎたり、切り足りないことがありません。
-藤島
トータルバランスが高いおかげで特徴らしい特徴がないのがミシュランの特徴という話でしたが、トレッド面のパターンは特徴的ですよね。
-五味
このジグザグのエッジはいろんな方向に効くから面白いですよ。エッジが倒れ込んだときにブレーキに効かせたいのはセンター部分、サイド側は横方向へのグリップ。横の細かいサイプもただの模様ではなく、圧雪やシャーベット状の路面にも効いてます。わだちの乗り上げとかにもすごく有効なんですよ。
-藤島
昨シーズン、東京で大雪が降ったときも環八などですごいわだちが出来ていました。スタッドレスタイヤを履いていても、滑ってわだちの乗り上げができないと車線変更さえできなくなりますよね。わだちに効くスタッドレスタイヤは都心でも頼もしい武器になりそうです。
-五味
もう1点こういう細かい穴は剛性を確保しつつ、氷の上に乗った水膜を吸い上げる効果が高いんです。しかも縦穴だから排水も良く、ウェットにも効く。
-藤島
こういった細かいサイプの多いスタッドレスタイヤは独自のノイズが出ることが想像されますが、静粛性はいかがでしたか?
-五味
もちろんサマータイヤ並みとはいえないけど、スタッドレスタイヤとしては非常に静かでした。ドライを高速で走っていても、よくあるゴーっという音はあまり出なかったですね。スタッドレスタイヤがうるさいのは、ブロックが捩れたり、サイプの中で共鳴したりするからなのですが、剛性が高いおかげでそれらの騒音は最小限に抑えられています。過酷な真冬の北海道をかなり長時間走って、静粛性の重要性をつくづく実感しました。タイヤのほうから常にグリップ感覚を訴えてくるので、情報量の意味では雄弁なタイヤですけど、物理的にはとても静かなタイヤです(笑)