MOTAトップ ニュース/記事 特集 特別企画 社長に訊く ~ネクセンタイヤ コーポレーション CEO Travis Kang(トラビス・カン)~

山本シンヤ
Q
まず、カン社長の経歴を教えてください。
カン社長
以前は証券会社で働いていましたが、2000年にネクセンタイヤに入社しました。正式な代表に就任したのは2015年からです。
山本シンヤ
Q
韓国にはネクセンタイヤを含めてタイヤメーカーが3社ありますが、ネクセンタイヤならではの特徴やアピールポイントはどこでしょうか?
カン社長
弊社は創業から75年と韓国にあるタイヤメーカーの中では歴史は長いですが、他社は創業から順調に業績を残してきたのに対し、弊社は途中でM&Aにあうなど歴史の中で大変な思いをしてきました。そのため、2000年にウソンタイヤからネクセンタイヤに社名変更を行なって以降は様々な改革を行なうことで成長率の高い企業に育て上げました。社員もこれまでの痛みを知っていますので、一致団結できたのも大きいと思っています。
山本シンヤ
Q
成長率を上げられた要因はどこにあるとお考えですか。技術?販売?流通?
カン社長
その全てが重要で、複合的に混ぜ合わせて経営に反映させています。その中でも最も力を入れたのが技術を磨く「研究開発」です。私は2000年にネクセンタイヤに入社してから人的な補強をする一方で、研究開発の施設などのハードも充実させました。
山本シンヤ
Q
その技術を証明する一番のトピックはポルシェ(カイエン/マカン)へのOE供給だと思います。やはり、ポルシェに採用される意味は大きいですか?
カン社長
そうですね。ポルシェは皆さんのご存じの通り技術的に頂点に立つ企業ですので、我々も全力を尽くして頑張りました。
山本シンヤ
Q
ポルシェへのOE採用にあたり、技術的な優位点はどこにあったとお考えですか?
カン社長
一般的にはポルシェにOE開発の契約をしてから納品するまで10年かかると言われていますが、我々は2年で実現させました。その要因の一つは最新鋭の設備を持つ韓国・チャンニョン工場の存在ですね。
山本シンヤ
Q
ポルシェはチャンニョン工場に入って30分後に契約書にサインをしたと言う逸話を聞いています。
カン社長
工場を見てもらうことで、品質に対する安全性やここから生まれる開発能力の高さを認めていただいているのも事実です。それはポルシェだけでなく、他の自動車メーカー関係者も10社あれば10社が「ここが世界最高水準の工場」であると言ってくれています。
山本シンヤ
Q
チャンニョン工場は61万㎡の世界規模、フルオートメーションによる生産システムとタイヤ産業の常識を越えた革新的な工場だと聞いています。歴史が長い会社ほど改革は難しいと聞きますが、それを実現できたのはどのような経緯があったのでしょうか?
カン社長
1980年代後半にミシュランとの共同事業、オーツタイヤとの技術提携など技術の蓄積はしていましたが、資金の問題で設備投資ができていませんでした。しかし、2000年に社名変更して以降は資金的なサポートもあり安定した経営ができるようになり、OE供給を行なうためには最新鋭の設備工場を作るべき……と言う経営判断でした。
山本シンヤ
Q
その後、チェコにチャンニョン工場を超えると言われるザテック工場も建設されましが、これは欧州の市場拡大のため?
カン社長
もちろんそうですが、単純に内需市場を見ているだけではなく、欧州にはハイパフォーマンスカーを得意とするカーメーカーがたくさんありますので、それを目当てにした投資でもあります。

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