雪道からアイスバーンまで冬季のあらゆる路面に強いスタッドレスタイヤ「アイスガード7」をテスト[雪上試乗編]/横浜ゴム【PR】

アイスガード7(iG70)のドライ路面での日常性の高さや乗り心地は、先に公開した記事でお伝えした。そして今回はいよいよ気になる雪道でのインプレッションをお届けしよう。テストコースとは違い、路面状況の変化が大きい一般道だからこそ、真の実力が見えてきたのだ。

突然アイスバーンが出現! でも安定した走りに安心感

ブラインドコーナーを抜けて下り坂にさしかかると、日陰になった路面はまさにアイスバーンの様相を呈していた。

東京から関越道を走り、諏訪インターを降りて探し求めた雪景色。しかし2021年3月上旬となった長野はスキー場以外そのほとんどが除雪されており、標高の低い地域に満足な積雪はなかなか望めなかったのだが、ようやくこれを探し当て、ホッと胸をなで下ろした。わざわざ厳しい路面を求めるなんて、なんともおかしな話だ。

一見ふっかりとした雪上路面の下には、所々に黒光りしたアイスバーンが見え隠れしている。

ここで新型アイスガード7は、しっかりとそのデコボコとした氷路面を掴んだ。そこで筆者は、まず大きな安心感を得ることができた。

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テストコースと違い一般道の路面状況は常に変化し続ける

あらかじめ路面状況やコンディションを知らされたテストコースとは違い、リアルワールドでの路面はコンディションが読めない。エスケープゾーンも当然用意されてはおらず、突然現れた雪景色に緊張感も高まる。

そんなときアイスガード7は、まずしっかりとブレーキで車速を落としてくれた。そこからゆっくりハンドルを切ると、穏やかにレヴォーグの向きを変えて行ったのであった。

横浜ゴム

思い通りに走ることができるコントロール性の高さ

オンロード編でのインプレッション通り、アイスガード7は従来モデルのアイスガード6とは異なる味付けの旋回特性を発揮する。氷上においてもきっちりとコンパウンドを路面に食い込ませてから、じわりとヨーモーメントを作り出して行くグリップ特性である。

これが現実的なシチュエーションでは、じつにちょうどいいタイミングであり、新型アイスガード7に穏やかで頼もしい印象を持つことができた。

横浜ゴム

さらにアクセルを踏み込んで行くと、レヴォーグは思い通りのラインをトレースしてこの路面を走り抜いた。そしてそのコントロール性の良さは、ちょっと驚くほどだった。

どうして操舵フィールが穏やかになったのに、トータルで運転しやすさを感じることができたのか? それはアイスガード7が氷上性能を向上させたことによって、縦方向のグリップを強めたからだ。試乗車が4WDのレヴォーグということもあるが、トラクションを掛けて行くことで旋回性能も上がり、アクセルで挙動を安定させることができた。操舵だけでなくアクセルでもクルマを安定させられるから、コントローラブルに感じたのだろう。

アイスガード6からアイスガード7はどのように進化した?

従来モデルであるアイスガード6が登場したとき筆者は、その初期操舵フィールに驚いた。大げさに言えば雪上でも夏タイヤのような感覚で曲がれるハンドリングに、新しいスタッドレスタイヤを感じた。

対してアイスガード7は、フロントタイヤのゲインはむしろ抑える方向で、トラクション性能を高めて走行安定性を高めてきた。どうしてここまでキャラ変したのかは定かではないが、それは日本の冬がより氷上路面における制動・発進性能を求めるようになったからだと思う。

個人的にはアイスガード6がそのキャラクターを変えずに進化して行く姿も見たかった気はする。しかし氷の路面ではまずしっかりと止まることが先決であり、減速したら滑らずにクルマを進められる性能が求められる。

横浜ゴムは、今回これを何より最優先したのだろう。結果としてアイスガード7のドライビングスタイルは、スローイン・ファーストアウトとなった。しっかりと減速を終え、タイヤを切り込んでグリップの立ち上がりを感じながら、トラクションを掛けて行く。雪上路面ではこうしたセオリー通りの運転が一番安全であり、実はもっとも速く走れる方法でもある。

注意したいのはそれなりに走りに慣れたドライバーが、この縦方向の高いグリップに過信して、オーバースピードでコーナーへアプローチしないことだ。

技術を高めつつ人間の感覚に寄り添うスタッドレスタイヤに仕上がっている

総じてアイスガード7は、大人びた。“冬の怪物”が洗練を経て、落ち着きのあるスタッドレスタイヤへと変貌を遂げたと筆者は感じた。それは特化した性能ばかりを重視しない現代の空気感とも、絶妙にシンクロしている。技術の向上を人の感覚にいかに近づけることができるか? これが横浜ゴムの追い求めた、現状の最適解なのだろう。

▼一般道での試走レポートはこちら

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筆者   山田 弘樹
自動車雑誌編集者としてキャリアをスタート。輸入車雑誌 副編集長、アルファ・ロメオ専門誌編集長等を経て、フリーランスのモータージャーナリストに。レース参戦なども積極的に行い、走りに対する評価に定評がある。AJAJ会員。カーオブザイヤー選考委員。
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