autoc-one.jp 記事・レポート 特集 特別企画 社長に訊く ~ボルボ・カー・ジャパン株式会社 代表取締役社長 アラン・デッセルス~

国沢光宏
Q
アランさんは日本に就任直後に東日本大震災に遭ったと聞きました。相当驚いたことでしょう。帰ろうと思わなかったですか?
デッセルス社長
ちょうど千葉のディーラーを訪問している時でした。今でもハッキリ覚えています。生涯あんなに驚いたことはありません。余震も続きましたし、妻を含め、多くの友人達から帰ってこいと言われました。でも私自身は日本から離れる気持ちは全くありませんでした。
国沢光宏
Q
最近のボルボを見ていると「なにが起きているんだろう?」と思うくらい、クルマが変わってきています。
デッセルス社長
出資者が変わり、環境が変わった、ということだと思います。フォード時代は他社との協業によるメリットとデメリットがありました。今の体制になってからはボルボのやりたいことが自由に出来るようになりました。
国沢光宏
Q
外から見ていても“ボルボの独自性が増した!”と感じます。
デッセルス社長
フォードを中心に、他社との協業を行っていた頃は、他社との協業で得られる経験や、新しい技術にアクセスできたことなど、大きなメリットがありました。フォードはボルボに大きな投資をくれました。一方で各社の役割が決まっていて、ボルボ独自で新しいものを開発しにくい環境であったことも事実です。ボルボは独立したことで、今では何でも自由に決められます。
国沢光宏
Q
フォードから自由になることでDNAが目覚めた、ということでしょうか?フォード以前のボルボはもっと少し地味だったと記憶しています。でもV40はデザインだけでなく走りも驚くほどアグレッシブになりました。それはなぜでしょう?
デッセルス社長
V40が属す『欧州Cセグメント』はドイツ勢が半ば独占しているカテゴリーで、その中に割って入っていかなければなりません。勝つためには商品として強くないとダメです。Cセグメントで戦おうと決めたからには、ドイツ勢とも真正面から勝負しなければならないということです。
国沢光宏
Q
アランさんが言っていることはよ~く解ります。でも日本の自動車メーカーを含め、全てドイツ勢に勝とうとしてクルマ作りをしてきました。なんでボルボだけ上手く行っているのでしょう?
デッセルス社長
長年築いてきた「安全性への信頼」や「スカンジナビアンテイスト」という、ボルボが根源に持つ“強さ”や“魅力”をしっかり出せたからだと思います。例えば日本で購入の決定的な理由になっている自動ブレーキに代表される安全装備も歩行者用エアバッグも、ボルボはドイツのライバルより早く商品化しています。
国沢光宏
Q
アメリカで話題になっている現在最も危険度が高いスモールオーバーラップ衝突(車体前面の25%で衝撃を受ける試験モード)で、次々と最高評価を出しているのには業界も驚いてます。
デッセルス社長
ご存知の通り3点式シートベルトはボルボが1959年に発表しました。素晴らしい効能を持つため、他のメーカーに特許を無償で公開しました。側面衝突対応ボディなどもボルボのDNAです。長年研究してきたことです。V40では、それに運転の楽しさや新しいデザインを盛り込んだ、ということです。
国沢光宏
Q
世界に先駆けて自動ブレーキを発売した当初は「止まりきれなかった」という報道もたくさんありました。そういったことに負けず頑張っているという点にエネルギーを感じます。
デッセルス社長
「諦めないで頑張る」というのはボルボの社風だと思います。ボルボはパイオニア精神がとっても強いんです。どんなことでも最初にトライするのは大変です。でも覚悟を決めた以上、頑張る。また、安全を追求したいというのはスウェーデン人の気質かもしれません。今の日本人と似た気質を感じます。だから安全装備の装着比率が圧倒的に高い日本はボルボの市場として心強いです。

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