快適性と高速安定性を両立したSUV向けコンフォートタイヤ「MICHELIN PRIMACY SUV+」をテストコースで性能チェック!

従来モデルと比べてどのくらい性能が高まっている? テストコースで乗り比べ!

世界的に流行し、日本においても人気の高いSUV。しかしSUVは、車高があり重量も大きいという特性からか、運転の難しさや静粛性に対する不安も聞こえてくる。

そんな中、走りに対して高い品質を持つことで知られるタイヤメーカーのミシュランより、「MICHELIN PRIMACY SUV+(ミシュラン プライマシーSUV+)」が登場。SUV向けのプレミアムコンフォートシリーズの新製品として開発されたサマータイヤだ。

「PRIMACY SUV+」は、快適性と高速安定性を両立させたタイヤで、長距離ドライブでも快適であることがセールスポイント。

その「PRIMACY SUV+」の実力を試すべく、プレミアムコンフォートシリーズの従来モデル「MICHELIN PREMIER LTX(ミシュラン プレミア LTX)」との比較をテストコースにて行った。今回テストを行った車両は、ミドルサイズSUVの中でも人気のトヨタ RAV4、日産 エクストレイルだ。

ミシュラン プライマシーSUV+

当記事では「PRIMACY SUV+」の開発理由やその特徴、従来モデルと比べてどのくらい性能が高まっているのかなどを、自動車ジャーナリストの今井 優杏さんがご紹介!

消費者が求めるパフォーマンスに応えるべく開発されたサマータイヤ

まずは、なぜミシュランが「PRIMACY SUV+」を開発したのか、そしてどんな特徴のあるタイヤなのかをご説明しよう。

現在ミシュランでは、快適性を求めるSUVユーザー向けに「PREMIER LTX」をラインナップしている。この従来モデル「PREMIER LTX」は、泥でぬかるんだ路面や浅雪など、悪い路面状況にも対応できる設計であるM+S(マッド&スノー)のタイヤだ。キャンプ場に向かう悪路や急な降雪でも安心ではあるが、サマータイヤに比べると一般道走行にはやや弱い部分もあった。

ミシュラン プライマシーSUV+

日本ミシュランタイヤが2021年に行った消費者調査によると、SUVユーザーがタイヤを購入する際に「ドライ・ウェット路面でのグリップ性の高さ」「静粛性」「高速運転時の安定性・ハンドリング性能」を求めていることが明らかになった。

また、過去5年に発売された国産SUVの約8割サマータイヤが新車装着されている、ということも分かった。

このような調査結果からも、消費者の求めるパフォーマンスに応えるため、ミシュランの技術を注ぎ込み開発したのが「PRIMACY SUV+」だ。

「PRIMACY SUV+」の特徴は

・安心感をもたらす「高いドライ&ウエットブレーキング性能」

・快適なドライブを演出する「優れた静粛性」

・SUVを支える「高速安定性とハンドリング性能の高さ」

上記の3点だ。

一般道では試せない性能をテストコースで体験

以前公開をした記事Vol.1において、高速道路・一般道での試乗インプレッションを行った。その試乗では、狙ったところに止まれる安心感や静粛性の高さ、高速安定性によって、長距離ドライブでの快適性の高さを体感することができた。

ミシュラン プライマシーSUV+

では、一般道で試せない性能はどうだろうか? テストコースにて、「PRIMACY SUV+」と「PREMIER LTX」をそれぞれ同じ車両に装着して比較しながら、ドライ&ウェット路面でのフルブレーキングや、高速域での急なレーンチェンジをテストし、「PRIMACY SUV+」の性能をチェックしてみた。

▼Vol.1では、プライマシーSUV+を高速道路と一般道で試乗し、インプレッション。「実際のところはどうなのか」が気になる方は要チェック!

ドライ&ウェットブレーキング性能を比較テスト

ミシュラン プライマシーSUV+

まずはドライ&ウエットブレーキング性能をテストしてみた。

テスト内容は、「PRIMACY SUV+」と「PREMIER LTX」それぞれを装着した車両で、時速80キロからのフルブレーキングを行うというもの。車両には速度とブレーキG(加速度)を測定できる機器を搭載し、ほぼ同条件でブレーキングを行っている。

その上でのタイヤの性能差には、明確な違いを感じた。

「PRIMACY SUV+」に比べ、「PREMIER LTX」はドライ・ウェットともに制動距離が明らかに長い。また「PREMIER LTX」は、ブレーキペダルを踏んでいる最中にも、ABSが効いてから「ズズッ」とタイヤが滑っているような感触が脚に伝わってくる。完全停止までにすこし時間を要するようなイメージだ。

路面に散水して行うウェットブレーキングテストだと、制動距離の開きは歴然で、「PREMIER LTX」に比べて明確に短い距離で車体を完全停止させてくれた。

ミシュラン プライマシーSUV+

ミシュランによると、「PREMIER LTX」に比べて「PRIMACY SUV+」のウェットブレーキング性能は約8.2%アップと公表している。数字以上に、「PRIMACY SUV+」はしっかりと止まってくれるという安心感があった。

「PRIMACY SUV+」は、ABSが効き始めてからも的確に路面を掴んで制動を行うので、フルブレーキング時でも車体がブルブルと左右に震えたりせず、まっすぐに停止させることができた。

そのため、ブレーキペダルを踏み続ける脚にも迷いや怖さを感じることがなく、しっかりと踏めたことで制動距離も短くなる結果となった。

▼「PRIMACY SUV+」と「PREMIER LTX」を装着したRAV4でのブレーキテストの様子(YouTube)

ブレーキング性能向上させる「シリカを多く配合したコンパウンド」と「U字グルーブ&フルデプスサイプ」

今回の「PRIMACY SUV+」は従来品「PREMIER LTX」に比べて少し溝が深い。これにより、溝に入り込んだ水をしっかりと排水し、路面とのグリップを確保するのだという。

ミシュラン プライマシーSUV+

また、この主溝をU字型にすることと、溝底まで深く刻んだ「フルデプスサイプ」を採用。これは摩耗による排水性能の低下を抑制し、効果を長持ちさせてくれる。

“長持ちさせる”というのは、ミシュランのお家芸でもある。フランス人の貞淑な経済観念の中で評価をされるために「いいタイヤを長く使えるようにしたのは当然のこと」と、本国フランスのミシュランでも、なかばジョークのように言われている言葉だ。

ミシュラン プライマシーSUV+

さらに、コンパウンドの原料にシリカ※を多く配合。これにより、転がり抵抗を犠牲にせずに優れたブレーキ性能を発揮することが可能になったという。

※シリカとは、ケイ素と酸素の化合物。ゴムの変形を復元する役割を持つ。また、配合を増やすことで転がり抵抗を減らし、濡れた路面でのグリップ力を向上させる。ただ、シリカとゴムは結合しにくいという性質もあるため、配合率を高めるにはノウハウと技術力が必要となる

ミシュラン プライマシーSUV+

制動距離の短さは、自分や家族など同乗車だけでなく、他車を守ることにも繋がる大事な判断基準。

特に車重の重いSUVでは、短く停まれるタイヤを選ぶことで、守れる命があるということからも、「PRIMACY SUV+」のように信頼のできるタイヤを選ぶことを強くオススメしたい。

静粛性を比較テスト

続いてはオーバル路などを使った静粛性のテスト。タイヤを履き替えながら同じ条件下でパターンノイズの違いをチェックしてみた。パターンノイズとは、走行中にタイヤのトレッドパターンから発せられる騒音のことだ。

こちらも違いは歴然で、「PRIMACY SUV+」の静粛性は驚くほど際立っている。波打つような路面でのトントントンという連続した入力さえもしっかりと吸収し、“ノイズ”をどこか角が丸まったような“サウンド”に変換してくれているようだ。

「PREMIER LTX」との違いは、走行面のブロックの数を増やし、ブロックを小型化したことにある。うるさいと感じるノイズのピークを下げて、騒音エネルギーを低減しているとのこと。

ミシュラン プライマシーSUV+

その結果、「PREMIER LTX」に比べてパターンノイズを約27.9%もの低減に成功。これなら、高速道路をつかったお出かけの際でも、会話がしやすいだろう。

また、騒音というものは意外なほどにドライバー及び乗員を疲労させるもの。少しでも疲労が軽減されれば、遠方へのおでかけも苦ではなくなるはず。

遠出の多い方や少しでも疲労を軽減したいという方に「PRIMACY SUV+」をオススメしたい理由の1つだ。

高速域でのハンドリング性能をテスト

ミシュラン プライマシーSUV+

最後に高速域でのハンドリングを比較。直線のコースにパイロンを置き、時速90キロからのレーンチェンジを試した。

「PREMIER LTX」は、最初にハンドルを切り込む部分の反応は早いものの、そのあとに後輪が少し遅れてくるような感覚があった。また、車両の傾き(ロール)が発生すると、やや頼りない印象があり、レーンチェンジを繰り返すと少しずつハンドルが切り遅れてしまう。

一方、「PRIMACY SUV+」では最初のレーンチェンジのときに車両が見せるキリっとした動きが、最後のレーンチェンジまで連続して継続できるような印象。ハンドリングの安定感をたしかに実感できた。

ミシュラン プライマシーSUV+

また、SUVのような大きなクルマでは、後輪の挙動が遅れがちになる。これはドアなどの開口部が大きいことによるボディ剛性への影響や、重量も前に偏っていることが理由だ。

ところが、「PRIMACY SUV+」を装着したRAV4とエクストレイルでは、この後輪の動きも遅れにくく、それがまた次の操作の正確性を手助けしてくれているのを感じた。

「PRIMACY SUV+」のハンドリングの良さ、安定感の理由は、サイプ(溝の切れ込み)の中に、小さな点状の突起を配置する「スタビリ・グリップ・サイプ」を採用しているためだ。

スタビリ・グリップ・サイプによって、ブロック同士が互いを支え合い、ゴムの倒れ込みを防いでブロック剛性を高めているという。

事実、高速道路でも直進安定性の高さには感激したばかりだが、高速レーンチェンジでさらに信頼性に深みが増した。思ったように操作ができることで、高速域でも安心して運転ができると感じた。

▼「PRIMACY SUV+」を装着したRAV4でのレーンチェンジテストの動画はこちら(YouTube)

安心して遠出がしたいミドルサイズ以上のSUVにオススメ!

ミシュラン プライマシーSUV+

今回ご紹介をした「PRIMACY SUV+」は特に、車重の大きいミドルサイズ以上のSUVユーザーに強くオススメしたい。「PRIMACY SUV+」を装着して走りだせば、すぐに良さを実感できるほどだ。そして、タイヤの快適性と高速安定性の高さによって、いつもより遠いドライブも行きたくなるはず。

これからどんどんお出かけをしたいという方は、ぜひ一度「PRIMACY SUV+」をお試しを!


▼「PRIMACY SUV+」の販売店情報や車種の適合サイズが知りたい方はオフィシャルサイトをチェック

>>ミシュラン「プライマシー SUV+」の詳細ページはこちら(オフィシャルサイト)


▼「PRIMACY SUV+」の高速道路・一般道の試乗インプレッションが気になる方は、下記記事をクリック


商品発売日・サイズリスト

発売日:2022年5月19日より順次発売

インチタイヤサイズ

20インチ

235/55R20 102V

245/50R20 102V

255/50R20 109V XL

265/50R20 111V XL

19インチ

225/55R19 99V

235/50R19 99V

255/55R19 111V XL

18インチ

215/50R18 92V

225/55R18 98V

225/60R18 100H

235/55R18 104V XL

235/60R18 103V

235/65R18 106H

245/60R18 105V

265/60R18 110H

285/60R18 116V

17インチ

225/60R17 99V

225/65R17 106H XL

235/60R17 102V

235/65R17 108V XL

265/65R17 112H

275/65R17 115H

16インチ

215/65R16 102H XL

215/70R16 100H

225/70R16 103H

235/70R16 106H

255/65R16 109H

15インチ

205/70R15 96H

筆者   今井 優杏
自動車ジャーナリストとして、新車や乗用車に関する記事を自動車専門誌、WEBメディア、一般ファッション誌などに寄稿しながら、サーキットやイベント会場ではモータースポーツMCとしてマイクを握り、自動車/ モータースポーツの楽しさ・素晴らしさを伝える活動を精力的に行う。近年、大型自動二輪免許を取得後、自動二輪雑誌に寄稿するなど活動の場を自動二輪にも拡げている。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。
カメラマン   和田 清志
関連車種
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