ホイールブランドの枠を超えたアーティスティックな取り組みも注目を集める【VOSSEN(ヴォッセ)Vol.3】

2019年のセマ・ショーでも斬新な展開をみせたヴォッセ

今や定番で人気のコンケーブを世界で初めて採用するなど、先鋭的なホイールを次々と生み出してきたVOSSEN(ヴォッセ)。その発表の場として恒例なのが、世界最大の自動車パーツ見本市「SEMA SHOW(セマ・ショー)」だ。そして2019年のセマ・ショーでも、ヴォッセは期待を裏切らない斬新な展開をみせてくれた。

新たにスタートした鍛造ラインの「EVOシリーズ」を発表

セマ・ショーのヴォッセブースで目を引くのが、アート作品とも思えるようなホイールの展示だ。円筒状のサインの下に、植え込むようにしてホイールをディスプレイ。今にも動き出しそうなメタルの集合体は、SF映画を想起させる。

セマ・ショーの会場から少し離れたラスベガスのホテルエリアでも、ヴォッセは異彩を放っていた。クリスタルズ・ショッピングセンターの一階部分にプライベートギャラリーを開設。エントランスの駐車スペースでは、ヴォッセホイールを装着したハイエンドカーが披露された。

ギャラリーの展示もさすがヴォッセだ。V字型のラックには、新たにスタートした鍛造ラインの「EVOシリーズ」をずらりとディスプレイ。ヴォッセの豊かな発想力が世界に発信された。

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人気の鍛造モデル「S21-01」をハイブリッド・フォージドで再現した「HF-5」

鍛造モデルもさることながら、ヴォッセのお家芸ともいえる「ハイブリッド・フォージド(フローフォーミング)」のニューモデルも見ものだ。

ちなみにハイブリッド・フォージドとは、鋳造素材に圧力をかけながらリムを伸ばして成形し、鍛造並みの強度を実現する製法。鋳造ならではの高い造形の自由度をもち、鍛造よりも価格を抑えることができるというメリットもある。ヴォッセは2018年のセマ・ショーで発表されて人気を博している鍛造モデル「S21-01」を、このハイブリッド・フォージドで再現。2019年のセマ・ショーで「HF-5」として発表したのだ。

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実は鍛造でリリースされたモデルをハイブリッド・フォージドで再現するというこの手法、ヴォッセではお馴染みの流れではある。ただ、驚かされるのが、切削鍛造でしか成しえないような複雑に切り込みが入ったスプリット5スポークデザインをハイブリッド・フォージドで実現していることだ。不可能に思えるような鍛造ホイールのハイブリッド・フォージド化に、ヴォッセは当たり前のことのように成功している。技術の高さがあってこそと言えるだろう。

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コンケーブと左右で異なる方向のトゥイストを採用した「HF-4T」

HF-5以外にも注目したい新作アイテムがある。同じくハイブリッド・フォージドの「HF-4T」がそれだ。このHF-4は、ヴォッセのブランドイメージとノウハウが存分に注ぎ込まれたモデル。センターに向かってくぼむコンケーブと、進行方向にラインを描くトゥイスト(ひねり)を採用。他ブランドではみられない、左右異デザインとしている。

その上で交互で深みを変えたスポークの側面を切削して、光沢感をプラス。鍛造ホイールを思わせる質感を実現している。

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HOLE/P.C.D.やミリ単位のインセット設定が可能なハイブリッド・フォージドモデル

サイズは、HF-4T、HF-5ともに、20~22×8.5~12Jをラインナップ。このインチとリム幅さえクリアしていれば、HOLE/P.C.D.やインセットは心配ない。ヴォッセのハイブリッド・フォージドはHOLE/P.C.D.が空いていないインセットを厚めにとった状態で在庫され、オーダー後にHOLE/P.C.D.やミリ単位でインセットを削り出す「オーダープログラム」を採用している。それゆえに、ジャストサイズのセッティングで履きこなすことができる。

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また、ヴォッセホイールのもうひとつの魅力であるフロントとリアで変えられるコンケーブの深みに関しては、HF-4Tは2タイプ、HF-5は3タイプのフェイスを用意しているので、装着する車両に合わせて選びたい。

SNSやオーナーズミーティングも盛況

さて、ヴォッセの新作ホイールはセマ・ショーで公開されるのが通例だが、日本国内にいながら直接新作ホイールを見ることができる機会があるのをご存知だろうか。ヴォッセユーザーのために毎年開催されている「ヴォッセ・ジャパン・オーナーズ・ミート」がそれだ。このミーティングは、ヴォッセホイール装着車であれば車種を問わずエントリー可能。参加も見学も無料なので、ヴォッセに興味がある人は誰でも会場に入ることができるので、気になる人はウェブサイトで確認してみよう。

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また、ヴォッセはInstagramなどのSNSを活用した情報発信も積極的に行っている。そこに映し出される光景は、世界の名所とヴォッセのコラボレーションともいえる仕上がり。デザインにこだわり、世界観のこだわるヴォッセらしい写真の数々、ぜひチェックしてみてはどうだろうか。

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ホイールのトレンドを生み出す豊かな発想力、切削鍛造によって具現化される斬新なディスクデザイン、ハイブリッド・フォージドのオーダープログラムなど、これまでホイールに関する数々の常識を覆してきたヴォッセ。次にどんな展開を見せてくれるのか、2020年もその動向から目が離せそうにない。

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筆者   井口 豪
1975年4月29日生まれ。血筋は九州だが、出身は埼玉県。タウン誌編集部や自動車雑誌編集部勤務を経て、2004年にフリーライターに転身。多彩な趣味を持つウンチク好きの性分を生かし、自動車関連、ファッション、スポーツ、ライフスタイル、医療、環境アセスメント、各界インタビューなど、幅広い分野で執筆活動を展開する。2022年には令和3年度行政書士試験に合格し、東京都行政書士会に登録。「行政書士いのくち法務事務所」で行政書士業務もこなすマルチ法務ライター。
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Brand Info - VOSSEN

「VOSSEN(ヴォッセ)」は有限会社モンデラジャパンが日本正規販売元を務めるホイールブランド。2006年にフロリダ州マイアミにて、Jav Azadi(ジャブ・アザディ)によって設立された。初めて逆ゾリをホイールのデザインに取り入れたコンケーブの第一人者として、斬新な発想から生まれるコンケーブホイールをリリースしてきた。「ハイブリッド・フォージド」と名付けられた鋳造モデルと鍛造モデルを展開しており、インセットやカラーを自由に設定できる独自の「オーダーホイール」プログラムを構築。さまざまなオーダーにスピーディかつ細やかに対応する稀有なホイールブランドだ。

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