日産 日産、“ジェネレーションZ”世代に響く2台のコンセプトカー「アイディーエックス フリーフロー」「アイディーエックス ニスモ」発表!
記事・レポート 特集 モーターショー 東京モーターショー 2013 日産 日産、“ジェネレーションZ”世代に響く2台のコンセプトカー「アイディーエックス フリーフロー」「アイディーエックス ニスモ」発表!
日産は東京モーターショー2013において、次世代のユーザーに向けて新たな商品開発手法を取り入れた、2台のコンセプトカーを公開する。
その2台とは、シンプルでカジュアルなライフスタイルに焦点を置いた「アイディーエックスフリーフロー」と、それとは対照的な、ドライビングシミュレーターから飛び出してきたような、スポーティモデルの可能性を示した「アイディーエックスニスモ」。
これらのクルマを開発するにあたり、今回導入した手法とは、彼らの欲するクルマを彼らと共に創り上げる革新的な商品開発方法である「コ・クリエーション(共同創造)」という考え方。自分たちの意見が反映される喜びや自分たちの欲しいモノが世に生まれる喜び。
その実現に向けて、エキスパートと一緒にコ・クリエーションできる喜び。こうして生まれた全く異なる個性を持った2台のコンセプトカーは、いずれも1990年以降に生まれた世代である“ジェネレーションZ"、いわゆる“デジタルネイティブ"の心に響く本物の価値を提供する。
「アイディーエックス」の名前の由来は、「Identification(アイデンティティ)」の略語「ID」と未知の変数「x」による造語。
ジェネレーションZとのコミュニケーションの中で、私たちは様々な発見と創造の機会を得ることが出来た。それはクルマの基本的な骨格から、最後の仕上げに至るまで、実に広範囲にわたった。
そして、最後の仕上げに向けて対照的な2つのコミュニティと議論を繰り返した結果、今回の2台はそれぞれに異なる印象を与える強いキャラクターを持ったクルマとなっている。
2台の「アイディーエックス」の、これ以上ないほどにシンプルで心に残るコンパクトなセダンプロポーションは、デジタルネイティブのクルマに対する想いをストレートに表している。それは、彼らの自由な発想やイメージを受け止める真っ白なキャンバスに見立てることが出来るかもしれない。
彼らとのコミュニケーションから導き出された「もっともベーシックで素直なクルマを感じさせる形」は、ノイズの無い、水平基調の姿勢を基本としたスリーボックスの黄金比率ともいえる形。彼らと共に導き出された、この「素直なクルマの形」を、日産のデザイナーたちは「フレキシブルな箱」として昇華させた。
更に、「アイディーエックス」は様々なイメージを受け止めるために、構造的にもユニークな試みを行っている。それが、前後のフェンダーやドアパネルといったサイド構造でキャビンを中心としたセンター部分挟むようなサンドイッチ構造。
この構造により、クルマのキャラクターを演出するサイド面やフロントフェイスのデザインに格段の自由度を与えることが出来た。また、サイド面とトップ面をはっきりと切り分けるパーティングライン(パネル分割線)は、これらのパーツ構成をすっきりと見せながら、とても特徴的でメリハリの効いた歯切れの良い箱型スタイルを作り出している。
そして、正面や後ろから見た姿は、コンパクトな全幅でありながらロー&ワイドなプロポーションを持ち、しっかりとした本物のクルマであることを感じさせる。
インテリアに目を移すと、外装のデザインと同様にシンプルでありながらクルマとしての基本機能を過不足なくしっかり感じさせる造りになっていることがわかる。自由なイメージに対応できるフレキシビリティを待たせるために、インテリアの要所には「二層構造(tight-fitskin)」が取り入れられている。
たとえば、ダッシュボードはボディ構造体とベンチレーションダクトが一体的にキャスト(鋳込み)成型された、シンプルで洗練されたな造りになっている。これに無駄なくぴったりとフィットしたトリムを組み合わせることによって、ダッシュボードに様々な表情とファンクションを与えることが出来るようになる。同様に、メーターやセンターコンソール、フロアコンソールも必要に応じた部品を取り付けられるように工夫されている。
「アイディーエックス」のインテリアは、彼らの様々な価値観から発せられるアイディアに柔軟に応えられるフレキシビリティと、構造体が見せる美しさが一体となった独自な空間となっている。
このクルマに取り組んだコ・クリエーター(共同創造者)達は、身の回りの物すべてにナチュラルでハイセンスなものを求めている人たちで構成された。
彼らはシンプルかつクリーンで、本物感があるもの好み、複数のアイテムをセンス良く組み合わせ、自己表現をすることに長けている。4人乗りのこのクルマのインテリアは、自分や仲間がくつろげる居間のような心地よさと実用性、そしてファッション性をオリジナリティあふれる感覚でまとめあげている。
水平基調のダッシュボードや無駄をそぎ落とした真円のステアリングホイール、その上に配置された、彼らのリビングに置いてありそうなモダンな時計のようなメーター、アナログ時計を近代的にアレンジしたセンターモニターなどには、こうした彼らの居心地の良いインテリアを求める感性が色濃く反映されている。
また、金属調仕上げのディテールとダッシュボードやコンソールに採用された厚手の皮、そしてシート素材として選ばれたデニムの組み合わせはクールな華やかさと落ち着いた気分が同居する、彼らならではのコーディネーションと言える。
特に、「適度な」洗いざらし感に徹底的にこだわって仕上げられたデニム素材によって醸し出される雰囲気は、今までのクルマからは感じられたことのない、新しいクオリティを感じさせる。
さらに外観においても、全長約4.1m、全幅約1.7m、全高約1.3mというコンパクトなサイズかつ、シンプルな面構成でありながら、落ち着きと品格さえも感じさせる。
特長的な丸みを帯びたフローティングルーフはシンプルなボックス形状にアクセントを与えている。
ボディカラーは、生成りの白いTシャツと素材感のある亜麻色(Flax)のチノパンに、アクセントとなるシルバーアクセサリーやベルトを組み合わせたような、コーディネーションのセンスの良さが感じられる。足元を飾る18インチクロームホイールも全体の中で、ファッション的なアクセントになっている。
また、彼らはクルマに対して、日常の移動手段としての高い経済性を求める。そこで、パワートレインには、燃費性能と加速性能に優れた1.2~1.5リッターのガソリンエンジンとCVT(無段変速機)が搭載されている。
レースシミュレーションゲーム上で古今東西のあらゆるレースシーンを体験してきたコ・クリエーター達は、実際に彼らが乗るクルマにもそのイメージが表現されていることを求めていた。
彼らの興味は一つのレーシングカテゴリーにとどまらず、過去から現在に至るまで、あらゆる物の中から「カッコイイ」と感じられるものを、センス良く選び取っていく。
コ・クリエイションプロセスの中で、基本となる「アイディーエックス」のシルエットに日産の箱型レーシングカーの歴史を感じ取った彼らは、そのイメージを純化させていくとともに、そこから連想される様々なエキサイティングなディテールをこのクルマに取り入れていった。
「アイディーエックスニスモ」の全長・全高は「アイディーエックスフリーフロー」と同じだが、全幅は約1.8mと、よりロー&ワイドなスポーティなプロポーションとなっている。
箱型レーシングカーのアイデンティティともいえるスピード感のある逆スラントノーズ。
本気のオーラが漂うカーボン製のパネル達。胸に響く心地よい排気音が聞こえてきそうなサイドマフラー。前後左右の現代的な形状のエアロダイナミクススポイラー。そして、軽量19インチホイールと225/40タイヤ。まさに、レーシングカーのヘリテイジとモダンさがミックスされたような魅力を感じさせる。
そして、パワートレインについては、彼らの期待を裏切らない提案として日産のエンジニア達は、高性能な1.6リッターの直噴ターボエンジン、シンクロレブコントロールによるスポーティーな走りが楽しめる、6速マニュアルモードを搭載したCVTの組み合わせをセレクトした。
室内に目を移すと、レーシングカーイメージをストレートに表現する真っ赤な「アルカンターラ」のシートが目に飛び込んでくる。
そして、レーシーな気分を盛り上げてくれるスパルタンで精緻な計器類。美しい金属の地肌とコントラストを見せる真っ赤なスエード調トリム素材とそこに施されたブルーのステッチ。
どれもがかつてのレーサーを思い起こさせる本物の仕上がりと風合いを持ちながら、同時に彼らが慣れ親しんだバーチャルな世界の興奮も伝えてくれる。
これこそが彼らとのコミュニケーションでしか創り出せなかった、全く新しいクルマ像であり、それは昔を知る多くの人々の魂をも揺さぶることに驚かされる。