日産 日産、「ブレイドグライダー」を発表~新たな価値を創造する次世代EV~
記事・レポート 特集 モーターショー 東京モーターショー 2013 日産 日産、「ブレイドグライダー」を発表~新たな価値を創造する次世代EV~
日産自動車は、新たな価値を創造する次世代EV「ブレイドグライダー」を発表した。「ブレイドグライダー」は「第43回東京モーターショー2013」に出展される。
自動車が誕生して100余年。日産はこれからの100年を見据え、既存の概念にとらわれない、まったく新しいエモーショナルなゼロ・エミッション車を世に送り出す。驚異的なパフォーマンス、そして全く新しい“グライディング”エクスペリエンスを提供する「ブレイドグライダー」は、日産のEV分野におけるリーダーシップへの決意・日産ブランドの革新と挑戦を意味し、今後市場への導入も検討されている。
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日産は世界初の量産型EVとして、「リーフ」を2009年の「第41回東京モーターショー」で発表。以後、電気自動車(EV)の分野で多大な役割を果たしてきた。リーフ発表から4年、日産のEVは新たなステージに向けて一歩踏み出す。
「ブレイドグライダー」の開発は、動力を持たずに大空を自由に舞うグライダーと、デルタシェープ(三角翼)が特長である超音速機に、インスピレーションを得てスタート。航空力学を応用し、幅の狭いフロントトレッドと、幅広のリアトレッドという特徴を持つデルタシェープによって、路面に吸着するかのようなダウンフォースを得る一方で極限まで空気抵抗を低減しつつ、異次元の運動性能と超効率性(省電費)の両立を実現するという、今までの自動車では成し得なかったパフォーマンスを達成した。
日産の商品企画本部 商品戦略室 事業部長を務める、フランソワ・バンコン氏は、開発を振り返り次のように語っている。「真っさらな状態。それがプロジェクトの始まりだった。我々が目指したゴールは、EVの可能性を最大限に引き出し、自動車が持つ価値に革命を起こすこと。そしてその新たな価値と感動をお客様に提案すること。その為に、白紙からコンセプトの検討を重ね、革新的なテクノロジーを採用することで真に新しい価値を持つブレイドグライダーが完成した。」
グライダーの機体を想起させる、クリーンかつエレガントなホワイトパールカラー。空力と高剛性を追求した炭素繊維強化プラスチック(CFRP)による軽量ボディ。
「ブレイドグライダー」のスタイリングは、「超効率的な航空力学(の原理)を身にまとった軽量かつ小型のグライダーのような高揚感を伝えることから着想を得た」と語る、日産の常務執行役員でチーフ・クリエイティブ・オフィサーの中村史郎氏の言葉からも分かるとおり、空気の流れを味方にするという必然から生まれた美しさを放っている。
その特徴的な極端にフロントトレッドが狭い三角形(デルタ)の斬新な車体形状は、空気抵抗を低減する事で省電費に貢献しながら、さらに車体全体で強烈なダウンフォースを発生させる。
フロントトレッドが極端に狭くても安定するのは、前後の重量配分が3:7とフロントに掛かる荷重が一般的な自動車よりも少なく、大半のコーナリングフォースを後輪で生み出している為。
そして左右独立制御のインホイールモーターと、「日産リーフ」で採用されているリチウムイオンバッテリーがその圧倒的なパフォーマンスをサポートしている。 「ブレイドグライダー」に採用される数々の革新的なテクノロジーは、2014年ルマン24時間レースにてガレージ56より出場する、EVレーシングカーとなる「ZEOD RC(Zero Emission On Demand RacingCar)」によって証明される予定としている。
「レーシングカーのエキサイトメントを市販車にも」ニッサンモータースポーツイノベーション・ダイレクターで、「ブレイドグライダー」と「ZEOD RC」の両プロジェクトの開発を技術面でサポートするベン・ボウルビー氏の強い思い。彼は「このルマンのレースで培われる経験と『ZEOD RC』にて証明される革新のテクノロジーを引き継ぐことによって、必ずや『ブレイドグライダー』は市販車として革新を起こすと信じている。」と語っている。
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その革新のテクノロジーによって誕生したブレイドグライダーは、今までの常識を覆すダイレクト・フィールをもたらす。特に圧巻なのがコーナリング。一般的な自動車は、より速く曲がる為にコーナーの手前でブレーキングし、荷重をフロント外輪に移動させることでコーナリングフォースを得ている。
しかし、ブレイドグライダーは大半のコーナリングフォースを後輪で発生させており、アンダーステアにならない為にそういったテクニックを必要とせず、誰もがハンドルを切った分だけ思った通り直感的に曲がることが可能。
そしてブレーキングやアンダーステアの抵抗により無駄にしていたエネルギーをコーナリングに活かすことで、より高効率なコーナリング性能を達成している。 「ブレイドグライダー」と一体となるオンザレールな感覚は、まさにエネルギーを最大限に生かしながら意のままに飛行するグライダーを操縦しているようなフィーリングを想起させる。
シートレイアウトも一般的な自動車とは一線を画す。“グライディング”を極限まで楽しむ為に運転席を車体中央に配置し、後席は左右2席という、3シートレイアウトを採用。シート表皮には軽量かつ快適な素材を用い、随所にあしらわれた鮮やかな蛍光イエローのラインがそれを特長づけている。室内へのアクセスは容易で、ドアの開閉に合わせて運転席が横方向にスライドする機構を採用。
インテリアはシンプルでありながら、ユニークで先進的なステアリングホイールやメーターのデザインと最先端のITシステムが相まって、“グライディング”の高揚感を暗示させている。
ドライバーの目前に広がる景色は、まるで航空機のコクピットを彷彿とする。マシンと一体化し、意のままに操る喜び。ブレイドグライダーは異次元の“グライディング”フィールと圧巻の感動を約束するとしている。