BMWをイジるプロフェッショナルから見たBBSホイールとは?

カスタマイズをする上で、駆け抜ける喜びが信条のBMWのフットワークをさらに向上させるには、やはりホイール選びが重要になってくる。 日本が誇るBMW専門店、Studie(スタディ)で話を聞いてみた。

LMに続く次のBBSの顔はFI-R、RI-S、そしてジュラルミン鍛造のRI-D

超超ジュラルミン鍛造モデルであるRI-D(左)。力強く湾曲したスポークは、その側面がリムからセンターパッケージに至るまで大胆に削り込まれ、軽量化を実現している。有機的にすら見えるデザインだ。いっぽうRI-(右)は2ピースのアルミ鍛造。次世代BBSの顔になるアイテムと言えるだろう

その昔、BBSと言えばメッシュ、という感じで、口の悪い人は「どれがどれだか見分けがつかない」なんていうセリフも耳にしたことがある。しかし最近ではメッシュ一辺倒から、スポークっぽいデザインのものも生まれてきている。

「今のモデルはスポークが交差する数は減りましたが、BBSだとわかるデザインになっていますよね。装着したときの存在感の高さは、やっぱり他のブランドにはなかなか出せないものがあります。富山の工場を見学させてもらったんですが、今でもかなり職人さんの手が入ってます。メイド・イン・ジャパンがいい形で継承されていると思いますね」
ホイール性能の指標となる真円度や、軽量さ、高剛性さもさることながら、塗装のクオリティも高いという。いま市場には「鍛造ホイール」が溢れかえっているが、海外ブランドだからと長い間待ってようやく納品されたのに塗装にバラツキがあったり、重かったり、なかにはサイズが間違っているなんてものもあったりするんだとか。

FZ-MG 現行モデルで唯一のマグネシウム鍛造モデル。アルミニウムよりも圧倒的に軽く強度もあるが、加工が非常に難しい素材をホイールとして成型する技術にも称賛が集まった

FZ-MG
FI-R

FI-R 極限まで数を減らしたクロススポークデザインを採りながら、スポーク側面を減肉した上に穴あけ加工を施した究極の軽量モデル。機能美とも言うべき造形にも注目したい

RI-D 航空機の製造などでも用いられる超超ジュラルミンを使ったBBSのフラッグシップモデル。躍動的なクロススポークデザインと特殊な素材という要素に所有欲がくすぐられる

RI-D
RI-S

RI-S RI-D、RI-Aのデザインを2ピースで展開したモデル。立体的なスポークレイアウトと、大径感を強調するリムオーバーデザイン、さらにダイヤカットリムが美しさを強調している

RZ-D RI-D同様に、素材は超超ジュラルミンを使用。BBSらしい10本のマルチスポークデザインがハイエンドなラグジュアリーセダンなど、パフォーマンスの高いモデルにマッチする

RZ-D

「ウチはMのお客さんも多いんですが、以前FI-RとRI-Dを試し履きしてもらうというイベントを開催したんです。おそらく世界初じゃないでしょうか。ウチのデモカーではなく、実際に普段運転している自分のクルマで体感してもらったんですが、ほとんどの方が明確な違いを感じたようです」
普通は試すことができないホイールの試着。それを可能にしたこの試し履きイベントが、ホイール購入のきっかけになったお客さんも多かったようだ。

Mシリーズ、そしてSUVの足元に相応しい鍛造ホイール

タイヤ交換がとてもしやすかったというM6 GT3用のレーシングホイール。市販モデルであるRI-Aは、タイヤのズレを防止するアンチスリップペイントや、スチール製ブッシュなどで、サーキットユーザーにも人気だ

「バランスもいいですね。各タイヤメーカーのトップモデルと組み合わてもバランスがいいです。BBSのBBSたるところだともいます。スーパーGT300にエントリーしたM6 GT3が履いていたのは「V7」というモデルですが、これが組み合わせると絶妙にカッコいいんですよ。レーシングカーは速さはもちろんですが、カッコよさも必要です」
スリップペイントやスポークの縦断面形状、さらに減肉の仕方など、どれもがリアル。コンマゼロ1秒を削り取るための仕様が盛り込まれている。スーパーGTではタイヤ交換がマストだが、レースメカニックとして帯同してた渡辺店長いわく、V7はとても持ちやすくて交換しやすいんだそうだ。これは副産物かもしれないが、タイムに響いてくる可能性があるだろう。

「最近ではXシリーズでBBSを選ばれる方も増えてきました。専用モデルはまだ少ないんですが、Mモデルのパワーであっても問題ないですね」 重量もパワーもあるXシリーズのMモデル。ホイールに加わる負荷は想像を絶するものがある。それでもこの繊細なデザインが実現できるのは、やはり鍛造のなせる技と言えるだろう。

執筆・監修
MOTA編集部
撮影
ウィズ・フォト