電気自動車って普通のクルマと比べてどのくらい「エコ」なの?
- 筆者: 清水 草一
電気自動車って普通のクルマと比べてどのくらい「エコ」なの?
電気自動車は究極のエコカーだそうですが、完全な無公害ってことはないと思います。他のクルマに比べてどれくらいエコなんでしょう。
其の疑問、「MJブロンディ」がお答えいたします!
電気自動車はまだガソリン車のように大量生産されていないので、生産コストは高く、つまり生産段階ではエコじゃありません。
廃車後のリサイクル性についても未知数な部分がありますが、それらは量産化の仮定で解決していくと考えて、無視して考えてみましょう。
電気自動車は排ガスが一切出ないので、大気汚染はゼロです。ただ、現在のガソリン車やクリーンディーゼル車も、排気ガス中に含まれる有害物質の割合は都会の大気と同じくらいのレベル。
排ガスを出すのはクルマだけじゃなく、火力発電所や船舶、航空機、暖房器具などいろいろあるわけで、そういう意味で現在のガソリン車やクリーンディーゼル車も、大気汚染に関しては「ほぼ無罪」と言うことができます。
つまり、電気自動車の排ガスゼロは、確かにエコだけど、実際の効果はほぼありません。
エネルギー効率はどうでしょう。ガソリン車は約15%、ハイブリッドカーは約30%です。それに対して電気自動車は、熱損失がきわめて少ないので、エネルギー効率は約80%にも達します。
ただしこれは充電から走行までの効率で、発電の効率も考慮する必要があります。日本の場合、原子力3割(近年災害や事故で2割強に落ちてますが・・・)、水力1割、残り約6割が火力発電です。
火力発電のエネルギー効率は40%、原子力と水力はCO2を出さないので100%と計算すると、エネルギー効率は66%。
つまり電気自動車のトータルエネルギー効率は約50%ということになり、ガソリン車やハイブリッドカーより確実に優れています。ただ、ハイブリッドカーとの差は思ったほど大きくない、と言えるかもしれません。
電気自動車のエコぶりは、その国の発電状況に左右されます。たとえば中国では、発電の大部分を旧世代技術の石炭火力に頼っていて、そのエネルギー効率は30%強しかなく、大気汚染度もかなり高い。
つまり中国では、電気自動車のエコ度はハイブリッドカーとほぼ互角か、ヘタすれば負けてしまうのです。電気自動車をもっとエコな存在にするためには、発電方法をよりエコにしていく必要があるのです。
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