お待たせ!VW パサートにディーゼルモデル登場。気合いの入った発売記念式にVWの本気を見た!|発表会レポート(2/2)

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EVだけじゃない、これからはパワートレーン多様化の時代

第2部は15時20分から、同じく虎ノ門ヒルズ内のフォーラムで開催された。まず国際モータージャーナリストの清水和夫氏がディーゼルエンジンにも関係する“持続可能なモビリティ”について講演を行い、「次世代のクルマ」の「グローバルな共通項として、環境、エネルギー、交通渋滞、交通事故、自然災害など自動車を取り巻く諸問題を解決するためのモビリティそのものがどうなっていくのかを解説した。

清水氏はこれまでに行われてきた排ガス規制(マスキー法、昭和53年排ガス規制)、「CAFE(企業平均燃費規制)」などの過去事例を交えつつ、今後は従来のような対処療法ではない対策が望まれることを語った。

また、内燃機関(ガソリン/ディーゼル)、EV、ハイブリッド、PHEV、FCVなど様々なパワートレーンがクルマの動力源として登場しているが、今後は全てがEVになるのではなく、それぞれにクルマの使用状況、サイズなどに合わせて使い分けることが必要と話した。また、ディーゼルエンジンにはまだ開発の余地が大きく残っていること、GM、フォードの次世代ディーゼルの開発、アウディがドイツに建設した、発電した電気をメタンガスにして「電気を貯めずに使う」プラントなどを事例に、EVシフトが叫ばれている水面下では実に様々な研究が進んでいることを紹介した。

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ディーゼルエンジンはVWのパワートレーンの主軸であり続ける

続いて基調講演を行ったのは、フォルクスワーゲンAG 先進ディーセルエンジン開発部長 Dr. エッケハルト ポット氏。同氏はディーゼルエンジンの長所、現行世代ディーゼルエンジンの特徴、そして今後のディーゼル技術の長期的展望を語った。

まず長所としては、多くのユーザーにも知られているとおり、ガソリンエンジンと出力が同じでも大きなトルクを1000〜3000回転の低い回転域から発生すること、燃費に優れていることを説明。ドイツでは80%のドライバーがディーゼルエンジンを選択しており、ドイツのインターネットサイトで多くのドライバーがアップして公開している情報では、ガソリン車より平均して20%ほど燃費が良いデータが出ていることが紹介された。

続いてフォルクスワーゲンのディーゼルエンジン「TDI」に取り入れられている排ガス対策や、今後の技術的展望が丁寧に解説された。高効率ディーゼルエンジンはメリットがある一方で排ガスをクリーンにすることが大きな課題となっている。ディーゼルでは燃焼温度が高くなるとNOx(窒素酸化物)が発生、低燃焼時にはPM(粒子状物質)が生成されてしまう。そこでTDIエンジンは様々な方法でこれらの値を減少させている。

フォルクスワーゲンの最新のディーゼルエンジンは、新世代ディーゼルエンジンシリーズ「MDB(モジュラーディーゼルエンジンシステム)」の基幹ユニットで、バルブ駆動モジュール付きシリンダーヘッド、2本のバランサーシャフト付きの2リッターエンジンをベースにし、コモンレール式燃料噴射システム、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)、EGR(排気再循環システム)、SCR(選択触媒還元)システムなどを備え、世界的にも厳しい日本のポスト新長期排ガス規制に適合する。EGRは高圧と低圧2つのルートを持つ「デュアルサーキットEGR」を採用。低負荷・冷感時や高負荷・暖間時といったエンジンの状況に合わせてEGRを使い分けることでCO2の排出量を最適化している。

その他、DPFをSCRコーティング、第2世代のシリンダー・プレッシャー・コントロールなども紹介された。これらの技術によって、ドイツのJAFに当たるADAC(ドイツ自動車連盟)が行った路上走行中の排ガスを試験するRDE(実路走行試験)測定では、188台のうちフォルクスワーゲン グループのEU6排ガス規制適合ディーゼル車はそのうち44台を占めたこと、そして2017年に実施した「メーカー別NOx平均排出量調査」では、フォルクスワーゲン グループは上位3メーカーにランクインしていることが報告された。

今後の展望については、SCRシステムの作動が要求される排気温度150〜220度以下の領域に関してNSC(NOx吸蔵還元触媒)との併用によってこれをクリアし、床下SCR触媒(AdBlueの第2噴射口を設置)で排出物をさらに低減するなどの新技術開発を進めていくとのことだ。

そして、現在フォルクスワーゲンのシェアで3%しかないEV(BEV)、PHVを2025年には25%まで増やすとともに、残り75%の内燃機関では再生可能エネルギー+CO2ニュートラルな燃料の使用が可能なモデルを増やしていく戦略が解説された。その中でディーゼルエンジン(TDI)は、再生可能バイオマスから生成されたパラフィンや脂肪酸メチルエステル、再生可能電力からつくられたフィッシャートロプシュ合成などを燃料とするe-diesel(バイオディーゼル)としても活用されるため、ディーゼルエンジンはフォルクスワーゲンのパワートレーン戦略の長期計画において重要な一部であり続ける、としてDr.ポット氏の基調講演は締められた。

発売記念式から見た、フォルクスワーゲンの「本気」!

その後休みを挟んで、モータージャーナリストの石井昌道氏をモデレーターに、清水和夫氏とDr.ポット氏のパネルディスカッションが行われ、17時30分にパサートTDIシリーズに発表記念式が終了した。

このように本国からディーゼルエンジン開発部長を招聘して現行技術や今後の展望が講演されたことなどからも、フォルクスワーゲンが日本でディーゼルエンジンを発売するにあたっての本気を感じた。そして今回の記念式は、言うならばあの不正事件に対する、フォルクスワーゲン、そしてフォルクスワーゲン グループ ジャパンからの決意の回答なのではないかとも思われた。

先にも書いたように、フォルクスワーゲンのクルマは出来の良い素晴らしい実用車という印象が強い。高品質で質実剛健。そのイメージにディーゼルエンジンはとてもマッチすると思うのは筆者だけだろうか。

今後、他のモデルにもTDIエンジンが拡大搭載されることを期待したい。

【Text:遠藤イヅル Photo:オートックワン編集部】

PassatPassat Variant

TDI Eleganceline

TDI Highline

TDI Eleganceline

TDI Highline

寸法(mm)

4,785×1,830×1,465

4,785×1,830×1,470

4,775×1,830×1,485

4,775×1,830×1,510

ホイールベース

2,790mm

車両重量

1,560kg

1,560kg(*1,580kg)

1,610kg

1,610kg(*1,630kg)

乗車定員

5名

最小回転半径

5.4m

燃料消費率

20.6km/L(JC08モード)

エンジン種類

直列4気筒DOHCインタークーラー付きターボ

総排気量

1,968cc

圧縮比

15.5

最高出力

140kW(190PS) 3,500~4,000rpm

最大トルク

400Nm(40.8kgm) 1,900~3,300rpm

燃料タンク容量

59L

使用燃料

軽油

トランスミッション

6速DSG (デュアルクラッチ・トランスミッション)

タイヤサイズ

215/55R17

235/45R18

215/55R17

235/45R18

価格(消費税込)

4,229,000円

4,899,000円

4,429,000円

5,099,000円

*電動パノラマスライディングルーフを装着した場合の車両重量

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遠藤 イヅル
筆者遠藤 イヅル

1971年生まれ。カーデザイン専門学校を卒業後、メーカー系レース部門にデザイナーとして在籍。その後会社員デザイナーとして働き、イラストレーター/ライターへ。とくに、本国では売れたのに日本ではほとんど見ることの出来ない実用車に興奮する。20年で所有した17台のうち、フランス車は11台。おふらんすかぶれ。おまけにディープな鉄ちゃん。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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