フォルクスワーゲン ゴルフ TSIコンフォートライン 試乗レポート

  • 筆者: 竹岡 圭
  • カメラマン:原田淳
フォルクスワーゲン ゴルフ TSIコンフォートライン 試乗レポート
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GT TSIの弟分誕生

フロントスタイリングリアスタイリング

ゴルフにまたまた新しいグレードが加わった。ゴルフTSIコンフォートラインである。ココでンッ?!と思ったアナタはゴルフ通。最近のゴルフは「GT TSI」のように後ろにTSIが付くものだと理解していたら、今度はグレード名が無く、いきなり「TSI」しかも後ろに「コンフォートライン」だというのだ。なんだかややこしいが「TSI」は過給機エンジン、「FSI」は直噴エンジンと理解しておけば、とりあえずの間違いは無さそうである。

では、TSIコンフォートラインとGTとは何が違うのかと言うと、エンジンの出力が違うのである。ベースは直噴1.4L、スーパーチャージャーとターボチャージャーの二つの過給機を持つまでは同じなのだが、GTが170psを発揮するのに対し、コンフォートラインは140psなのだ。つまり、ゴルフ トゥーランのエンジンラインアップと同じになったのである。この新グレードの登場は「TSIエンジンは、環境やお財布に優しい上にストレスなく走ってくれていいのだけれど、乗り心地や静粛性の面でもう少しコンフォートなものが欲しい」という、特に年配や女性の方からの声を反映させたものなのだ。

新たなコンフォートデザインとは

フロントマスク
インパネフロントシート

最近のVWのアイデンティティでもある、ワッペングリルとライン的雰囲気は似ているけれど、またひと味違ったスッキリした顔が採用されたTSIコンフォートライン。GTが登場当初はボディカラーと同じワッペングリルを採用していたものの、途中からGTIと同じブラックのワッペングリルが採用されるようになったこともあり、余計にスポーティグレードとコンフォートグレードとして差別化が図られた感じを受ける。これがいわゆるゴルフの顔なのだろうが、すっかりあの強烈な顔に慣らされてしまったので、逆に少々寂しい感じがするのも正直なところだ。

インテリアに関しては、レザーステアリングやレザーシフトノブなど、ドライバーの手に触れる部分の質感向上が図られているのが特徴。これはグレード的に高い装備レベルを図っていたGLiの後継車に当てはまると言える。付いてない装備として気になったものは、フォグランプ(リアは装着されている)とオートライトコントロールくらいのもので、TSIエンジン搭載モデルのエントリーグレードとしては、装備面はかなり充実していると言っていいだろう。

TSI&DSGのタッグで抜群の低燃費を発揮!!

エンジン試乗

もはや、すっかりお墨付きとも言えるTSIエンジンだが、ベースが1.4Lエンジンということを考えると、先代となるGLiの2.0L FSIエンジンと比べてトルクが20N・m増加しているのは流石と言える。

さらにパワー面もマックスパワーは10%低減したものの、全域パワーは10%向上しているので、より実走行で扱いやすい特性を得たと言える。確かに従来の2L NAエンジンと比べると、速くなったなぁと実感できるくらいの差があるのだ。高速ロングドライブでも日本の速度制限ならまったく物足りなさは感じないし、追い越し加速もなんのそのだ。特に低速域からパワフルさを発揮してくれるのが特徴なので、街中の方が性能を発揮してくれるグレードと言える。飛び出し感もカッタルさも無く、スムーズに発進加速してくれるので、非常に扱いやすいのだ。オマケにDSGと組み合わせることで、歴代のゴルフの中でいちばん低燃費に仕上がっているというのも高いポイントだ。

ちなみに、約18%向上した燃費は10:15モードで14.2km/L。DSGと組み合わされたゴルフの10:15モード燃費は、実走行であまり差が出ないので、かなりの低燃費を誇るといって間違いないだろう。

今度の“街乗りワーゲン”は、走行・燃費・価格ともにバランス良し

試乗試乗

世界に誇れる2ペダルMTミッションのDSG。最近国産車でも2ペダルのMTモデルが登場してきたが、低排気量エンジンとの組み合わせと言う意味では一日の長があるのがDSGだ。そしてこの1.4L TSIエンジンとDSGとの組み合わせは、代を重ねるごとによくなっているのを実感する。GTの初期モデルなどは、発進時に少々ガタつくことがあったが、今ではかなり払拭されている。これならばAT車から乗り換えても、さほど違和感は感じないハズだ。

乗り味もGTをよりコンフォートに開発されただけあって、特に街中などの低速域では、アタリの柔らかなコンフォートライドに仕上がっている。しかし路面によっては、若干微振動が気になるところもあり、またワダチの多い高速道路では、少々バウンスが気になることもある。街中メインならTSIコンフォート、ちょっとスポーティに元気よくロングドライブするというならGTと、まぁ想定通りといったところか。しかし、タイヤのロードノイズが少々賑やかなのは、改善して欲しいところだ。

価格的にもGLiに比べて7万円高、GTに比べて23万円低と、狙い通りに納めてきているので、拡販車種となるのは間違いないだろう。しかしGTi乗りの私としては、個人的な好みから言うとGTのほうが好きだったりして。

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竹岡 圭
筆者竹岡 圭

OLを経て、自動車専門誌を皮切りに、モータージャーナリスト活動を開始。国内外のレース、ラリーなど自らモータースポーツ活動に関わりながら、海外のモーターショーを精力的に回るなど、なにごとにも積極的に取り組んできた結果、近年は一般誌、女性誌、Web媒体、新聞、TV、ラジオなど、その活動はとても多彩なジャンルに広がっている。記事一覧を見る

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