箱根
仙郷楼
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山に抱かれる湯宿で、静けさを愉しむ極上のひととき

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仙郷楼

明治3年、現在地より少し坂を下った所に温泉宿を開業したのが「仙郷楼」の起こりだ。江戸時代、箱根裏関所の番頭をしていた当主が、明治初期に大涌谷で温泉開発をし、そこから引き湯をしたのが始まりという。それゆえ現在も、湯量豊富なにごり湯を贅沢に楽しめる宿として、世代を超えて愛されている。和風旅館の趣を楽しめる本館と東館、西館、旅館でありながらホテルライフを楽しめる別邸 奥の樹々。さぁ、どこに滞在しようか?

温泉肌触りなめらかな白濁の湯に、心身ともに癒やされる

箱根・仙石地域で最も古い湯処といえば、ここ「仙郷楼」だ。明治初期、大涌谷で湧く温泉を最初に引き湯した歴史をもつ。大浴場、露天風呂のほか、貸切露天風呂、そして露天風呂付き客室の浴槽にまで、源泉100%の白濁の湯が注がれている。泉質は、酸性-カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉。化粧水のような作用がある硫酸塩泉と、保温作用の高い塩化物温泉がミックスした湯のため、湯上がりの肌はしっとり、すべすべ。時間がたっても湯冷めしにくいのも嬉しい。ただし、こちらの湯は成分が濃厚なため、長湯は禁物。少し温まったら休憩をとるのが、湯あたりを防ぐ秘けつだ。ちなみに、温泉はすべて掛け流しだが、浴槽から湯があふれることはない。というのも、浴槽の底に余分な湯が流れ出る湯口があり、下の方にたまったぬるい湯から外へ排出され、新鮮な熱い湯は残る仕組みだから。かつては一般的だったという湯を適温に保つ工夫が、いまも生かされているのだ。

風呂からの眺め新緑、山並み、紅葉・・・季節の景観も湯浴みの楽しみ

白濁の湯に癒される湯処での楽しみといえば、当然、良質な温泉だが、ここでは、四季折々に彩る山の景色もその一つ。窓が大きくとられた大浴場は、屋内でありながら間近に緑を感じられる心地良い空間。露天風呂からは、正面に箱根の山並みを望むことができ、山々が一斉に芽吹く春には新緑、夏には濃いグリーンの山並み、秋には赤や黄色など色とりどりの紅葉を一望できる。陽が沈めば、降るような星空が目の前に広がることも。実はこの宿、やや高台の斜面に立つため、低層階にある露天風呂からでも開けた山並みを楽しめるのだ。また、敷地の奥に立つ「別邸 奥の樹々」には、樹齢150年の山桜を独り占めできる露天風呂も。蕩々と注がれる湯の音とそよぐ風、鳥の声などを感じながら、頭上に咲き誇る淡紅色の桜の花を満喫できるのは、この上ない贅沢だろう。日頃の喧噪から解放され、湯に癒やされ、野趣を愉しむ。そんな大人の休日を堪能したい。

料理その時々のおいしい食材を厳選した、懐石料理に舌鼓

毎月献立が替わる懐石料理の夕食も自慢の一つ。全国各地から、そのときに本当においしい食材を取り寄せ、一品一品丁寧に作られる料理は季節感たっぷり。料理人の確かな目と技を感じられるものばかりだ。唯一定番メニューといえるローストビーフは、しっとりと柔らかで上品な味わい。もともとは月替わりの献立の一つだったのだが、あまりに好評なため、定番になったという。また、常時15種以上ある日本酒は、地元産の他、東北、熊本県産のものが充実。自然と共に生きる箱根の宿だけに、自然災害のあった土地を応援しようと、あえて揃えているのだとか。食事は客室または食事処で、一品ずつタイミングを見ながら供される。「温かいものは温かく、冷たいものは冷たく味わってほしい」という想いの表れだ。食事処では、大きな窓越しにライトアップされた庭を望むことができるのもいい。個室も用意されており、小さな子供連れや三世代での旅行にもぴったりだ。

客室和風旅館の趣と、ホテルのような快適さ

客室に一歩足を踏み入れて最初に気づいたのが、床の間に可愛らしく飾られた季節の花。聞くと、全ての客室に女将さん自ら、毎日花を生けているのだという。本館、東館、西館は、和風旅館ならではの風雅な佇まい。どの部屋からも箱根の山や豊かな自然、美しい庭園などを満喫できるのも魅力だ。一方、別邸「奥の樹々」は、露天風呂付き客室が全6室。畳敷きの長い廊下の先に点在する客室は、お風呂を含めた専有面積が1部屋当たり25~35坪と余裕のある設えだ。客室係が出入りする和室ダイニングと、プライベート感を大切にした寝室とに分かれており、旅館のおもてなし精神とホテルの快適さを兼ね備えている。もちろん、客室のお風呂は源泉掛け流しの白濁の湯。3~4名入ってもゆったりと足を伸ばしてくつろげる浴槽では、山並みや自然の息吹を感じながら贅沢な湯浴みを。湯上がりは、広々とした畳の上に体を預け、ゆったりとした時を過ごしたい。

庭園四季の移ろいを感じられる庭園で散策を

旅館やホテルがひしめく箱根にありながら、まるで一軒宿のように感じるのは、広大な庭園が周囲を包み込むように立つ宿だからかもしれない。約1万5000坪の庭園には、自然のままの起伏に富んだ散策路が配され、四季折々の花々が目を楽しませてくれる。4月上旬~中旬は、高さ2mにもなるミツバツツジがピンク色の鮮やかな花をつけ、木々が一斉に芽吹く5月は、若葉色の新緑が目に優しい。夏の百合や秋の紅葉も見応え十分だ。庭園内にある滝には、料理や館内の水道にも使われているという箱根の山からの湧水が流れ、清々しい水音を響かせているのも心地いい。庭園散歩の後には、陶芸焼物教室に立ち寄ってみるのもおすすめだ。プロの陶芸家の指導のもと、手びねりで好きな作品を作ることができるのだ。出来上がった作品は、宿オリジナルの窯で仕上げを施し、2~3カ月後に自宅に送ってもらえる。静寂のなか、心静かに土と向き合う時間は、この上ない至福だ。

東名高速道路御殿場ICを降り、富士山を脇目に見ながら20分程度。箱根の中でもリゾート地として知られる仙石原の中心地にあり、アクセスの良さは抜群。それでありながら、とにかく静かな宿である。窓を開けると聞こえてくるのは、敷地内を流れる水のせせらぎや木々のざわめき、鳥の声のみ。静寂と良質な湯に癒やされ、季節の味わいで新たな鋭気を養う。何度でも訪れたくなる、そんな一軒だ。

キーパーソン

常務取締役「仙郷楼」 5代目当主 石村光稔

どんな風に滞在してほしいかと尋ねると、「とにかく、日常を忘れて心静かに過ごしていただきたいです。最近は、畳のある家も少なくなっていますので、何もせず、畳でごろごろと過ごす一日を満喫していただきたい」と話してくれた。

「小さなお子様連れにものんびりとくつろいでいただきたいので、食事処にはお子様用のいすの他、首の据わっていない赤ちゃんが使えるスイムチェアも用意しています」との言葉どおり、館内では、さまざまなゲストが快適に過ごせるよう細かな心遣いが欠かせないという。「心おきなく過ごしていただけるよう、日々、おもてなしの心を大切にしています」。

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