数寄屋造りに、和の趣あふれる「石苔亭いしだ」。星観察に適した場所“日本一”として環境省に選出された、南信州の阿智(あち)村、昼神(ひるがみ)温泉郷に構えている。およそ1,000坪の広大な敷地にもかかわらず、部屋は19のみ。全室に中庭が配された、広々とした贅沢な造りとなる。信州の荘厳な山々や温泉、星空といった自然の恵みの力強さのなか、丁寧な心づくしで旅人を迎えている。
目次
部屋全19室 数寄屋造りの伝統的空間でおもてなし
高級感あふれるが、かしこまらずに寛げる、絶妙なバランスの全19室。全室が異なるコンセプトで設えられ、数寄屋造りの和の伝統的空間をベースに、それぞれの間取り、雰囲気を持っている。例えば、アジアンテイストの籐材の家具を取り入れた「坂戸」和洋室タイプの部屋は、和洋折衷が織りなすラグジュアリーさを醸しだす。書斎やシアター、天体望遠鏡などを備えた「外山(とび)」リビングタイプの部屋では、大人が存分に趣味に没頭できる空間となっている。ちなみに、部屋タイプの名前は能楽のルーツ「大和猿楽四座」から、各部屋の名は狂言の演目から取られている。
「滞在そのものを楽しんでもらえるように、ゆったりとした広めのお部屋をご用意しています」とスタッフの井口さん。お気に入りの部屋に泊まる常連客もいれば、反対に泊まったことのない部屋を選ぶ人もいるのだそうだ。
部屋からの風景全室に配する造り庭 四季折々の植栽に癒やされる
大きな窓から眺められる造り庭は、全ての客室に配されている。季節と共に移ろう草木は、庭園を鮮やかに彩り、私たちにさまざまな表情を見せてくれる。庭を望む露天風呂・半露天風呂をしつらえた部屋もあり、至福の時を過ごせそうだ。
ロビーと部屋を渡す廊下にも、竹や石畳、生け花、中庭を切り取るピクチャーウインドウなど、たくさんの自然のアクセントがちりばめられている。そういえば、宿の玄関である「夷毘沙門(えびすびしゃもん)」からロビーにつながる道筋でも、繊細な植栽が迎えてくれた。滞在の間にまた、じっくり眺めてみたくなる。今では非日常となってしまった、日本文化を感じられる贅沢な時間を過ごせる。
料理南信州の旬の食材を生かした逸品を、心づくしのサービスで
南信州は、山に囲まれながらも海にも近く、新鮮な食材がたくさん手に入る土地柄だ。それゆえ献立の幅は広い。味わえるのは本格会席料理。旬の素材を生かした味付けにこだわっている。献立が少しずつ変わるのは、その日に仕入れた新鮮な食材を用いるため。季節にもよるが、山菜や信州サーモン、シナノユキマスなどの川魚、信州牛など、地元の味覚を堪能できる。朝食には、31の小鉢の総菜が楽しめる「短歌膳」がおすすめだ(要事前予約)。
プライベートな時間を大切にする石苔亭いしだでは、食事は原則個室で提供。着物や袴に身を包んだスタッフが担当してくれる。「合理化や大量消費という流れに乗るのではなく、旅館ならではの『心がつながる』接客を大事にしています(井口さん)」。
温泉五感で楽しむ、やわらかな湯ざわりの「美肌の湯」
「にっぽんの温泉100選」の泉質部門で、何度も長野県1位にランキングしている昼神温泉郷。アルカリ性単純硫黄泉の、とろりとした、やわらかい湯ざわりのお湯は「美肌の湯」とも呼ばれている。大浴場「清水」「石神」は男女入れ替え制。それぞれ露天風呂がある。地元産の天然石を、豪快に立体的に組み上げた岩風呂に浸かれば、湯が岩へ打ちつける音が響いて耳からも癒される。日が沈んだら、見上げれば日本一の星空が広がり、五感で湯浴みを楽しめる時間になるだろう。そのほか、貸切風呂「鬼ヶ宿」も利用可能。家族連れやカップルにおすすめだ。
温泉を楽しんだ後には湯上り処へ。くつろぎのソファで、ドリンクを片手に、ライトアップされた庭を見ながらゆったりと過ごしたい。大浴場前には、新型コロナウイルス感染症対策として、「密」を避けるための混雑表示版も用意。手作りの和テイストで、昨今の状況で張り詰めた気持ちをほどいてくれる。
アクティビティ日本一の星空と、伝統芸能の世界に胸躍る夜のひととき
食事の後は、多彩なアクティビティが待っている。ひとつは日本一に選ばれた満点の星空が待つ、星空観賞ツアー(期間限定 完全予約制)。光源を遮る高い山や、自然に囲まれる環境だからこそ開催できるイベントだ。観測ポイントに到達すると、「3、2、1!」というカウントダウンが終わると共にライトが消され、真っ暗闇に包まれる。目が慣れてくれば、星のまたたきに圧倒される世界。あらゆるものが揃った都会でも、この星は決して見られない。
館内で鑑賞できる伝統芸能も、この宿ならではの特別な魅力。ロビーに構えた本格的な能舞台「紫宸殿(ししんでん)」で、夕食後の午後8時30分から「宴」が催されるのだ。太鼓、三味線、能、狂言など、各方面で活躍する演者が繰り広げる舞台に、心を揺さぶられることだろう。年明けから春にかけては、ひな人形と、わらで形作られた厄よけの神「ヤークーさま」が舞台を彩る。ヤークーさまの命名には映画「もののけ姫」などで知られる宮崎駿監督と、地元の子ども達が携わったそう。地域の伝統を心ゆくまで楽しみたい。
豊かな自然を持つ南信州は、季節によって味わえる風情が一変する。春には、一つの花に紅白ピンクの3色が彩る「三色花桃」が咲き誇る。夏には川のせせらぎが涼やかに響き、秋は山全体に色づく紅葉に圧倒される。そして冬には、木々が雪をかぶり、空気が凛と透き通る。そのなかで変わらないのが「石苔亭いしだ」のおもてなしだ。時代が変わっても創業からひとすじ、変わらぬ心づくし。あらゆる世代に選ばれていることにも、ご納得いただけるだろう。
キーパーソン


飯田市出身。初代女将の三女。初代女将(母)の人生観を軸としながら、宿のおもてなし文化を大切にしてきた。
「美しい星空と山々に包まれた自然溢れる昼神温泉郷。当館は、能舞台や茶室に加え、シアタールームや書斎など、時を大切にする空間も備え、評価いただくことも多いのですが、『石苔亭いしだの一番の魅力はなんですか?』と問われたとき、私は『和(やまと)心』に包まれ『よみがえるぬくもり』、つまり『人』であるといいなと思います。当館での滞在で、お客様の心に潜む『和のDNA』が覚醒され、日常とは異なる揺蕩う(たゆたう)ような充足感や幸福感を感じとっていただけたらと考えています」
お知らせ
衛生管理(新型コロナウイルス感染予防対策)について
【石苔亭いしだより衛生管理について】
<スタッフの接客につきまして>
・マスクを着用して接客をさせていただきます。
・定期的に手洗い、うがい、アルコール消毒を実施しております。
・就業前の体温チェックなど、健康と衛生面の菅理を徹底しております。
<館内の対応につきまして>
・お客様用にマスクをご用意しております。
・館内各所に除菌用アルコールを設置しております。
・通常の客室清掃に加え、館内の次亜塩素酸ナトリウム水溶液による清掃と拭き上げを実施しております。
・全客室に消毒用のアルコールとペーパータオルを設置しております。
・お食事をお食事処(ダイニングルーム等)にてお召し上がりいただく場合には、2m程度の間隔でテーブルを設置しております。
・喫茶、バーのご利用は人数制限を設けさせていただきます。
皆様に安心してお過ごしいただける様に努めて参りますので、何卒ご協力いただきます様お願い致します。
更新日:2021年2月5日