石川県能登半島には、「能登はやさしや土までも」という地域風土を表した言葉がある。能登の人は素朴で温かく、自然に育まれた場所であるという意味だ。「ねぶた温泉 海游 能登の庄」は、この情緒漂う能登北部の輪島にあるお宿。「日本唯一奇跡の湯」とも言われる、良質なアルカリ天然温泉があることで有名だ。雄大な日本海の絶景を望みながら、身も心も温まる、輪島の人と食のやさしさに包まれたくつろぎの時間を楽しめる。
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お風呂・温泉まるで化粧水に浸かるような良質天然温泉「奇跡の湯」
90年以上地元で愛され続けるねぶた温泉。「日本唯一奇跡の湯」と聞けば、誰もが入らずにはいられないだろう。そう言われる理由は、海沿いでは日本で唯一、全国でも希少なPH10.5の強アルカリ性泉質の自家源泉が湧き出ているから。「その昔、漆職人も荒れた肌を治癒するために湯に浸かりに来ていた」と話すのは、大向専務。外傷、皮膚病、疲労回復、神経症などに様々な効能がある上に、しっとりとした美しい肌になる美人の湯は女性からの評判も高い。さっそく温泉に浸かってみると、トロトロの滑るような湯触りに驚く。しかも、湯疲れ湯ざめをしにくい特徴もあると聞けば、長湯も必至。肩までゆっくり浸かっているうちに、じわじわと心の凝りもほぐれていった。しかも、2階「展望風呂」は日本海を一望できる絶景風呂。視界いっぱいに広がる空と海、どこまでも続く水平線。絵画の世界に入り込んだかのような、美しい癒しのひとときを満喫できる。
お食事目と舌で感じる「輪島の贅」を尽くしたおもてなし
里山・里海の自然に囲まれた能登半島は、新鮮な海の幸、山の幸が豊富な食材の宝庫。これら能登の恵みを、美しく彩られた「創作会席料理」、または炭火で焼いていただく「囲炉裏会席」で楽しめる。器は、格調高い「輪島塗」が用いられ、美しく繊細なやさしさ、あたたかさ、奥ゆかしさが、料理の風味をいっそう華やかに引き立ててくれる。金沢の料亭や、料理家の志の島 忠氏に師事して腕を磨いた林彦義料理長は、「その時々で一番美味しい食材を使い、輪島の四季の彩りを映した一品をお出しすることを心がけています」と語る。郷土料理「治部煮」「ゆべし」など能登の食文化をアレンジした創作料理も評判。輪島の贅の限りを尽くした”輪島塗りと料理が奏でるシンフォニー”を目で舌で感じられるだろう。
お部屋からの風景季節・時間で表情が変化。雄大な日本海を望む絶景ビュー
客室の扉を開けると、目の前には遠く水平線に七ツ島を望むオーシャンビューが広がる。どこまでも続く青い空と雄大な日本海の美しさに、感嘆の声が漏れ出てしまうだろう。時間とともに刻々と変化していく青のグラデーション、そして日々の忙しさを忘れさせてくれるゆっくり流れる時間に、心が洗われていくようだ。季節によっても表情が変わり、冬は荒々しく勇ましい日本海、夏は星のように輝く幻想的な漁火など、四季折々の能登の原風景は何度訪れても楽しめる。窓を開けて波の音に耳を傾けながら、至福の時間に身をゆだねてみたい。
お部屋能登情緒が広がる和の安らぎ
客室は、和室、和洋室合わせて全20室。掘りごたつ付き和室や海に面した半露天風呂付き客室、眺めの良いダイニングルーム付き部屋「満点星」など、バリエーションに富んでいる。どのお部屋も、手足を伸ばしてゆったりとくつろげる広々と明るい間取りだが、地元作家に特注した工芸品や絵画など、それぞれに異なる設えや演出に細やかな心配りが感じられる。1室だけある山側のお部屋「天の川」では、蒔絵師による輪島塗の特大パネルや、同じく輪島塗の家具・調度品が置かれ、お部屋全体が芸術品のよう。美しい絶景と輪島の伝統・魅力を存分に感じながら、優雅な時を過ごすことができる。
和のおもてなし大人の落ち着きと和の趣を感じさせる上質なおもてなし
「漆と和紙と畳の調和」をコンセプトにした館内には、いくつもの上質な設えとおもてなしの心配りが感じられる。さりげなくあしらわれた和紙小物や輪島塗などの伝統工芸品、い草の香りが爽やかな畳敷きの廊下など、輪島情緒あふれる風雅なおもてなしにほっと心が安らぐ。毎日生け変えているという生花は、「すぐ裏手の山で採取した草花や近隣住民から譲り受けたもの」だとか。素朴な中にある凛とした優美さこそ、まさに能登の風土であり、輪島らしい魅力なのだろう。また、女性とお子さまには、オリジナルの浴衣の貸し出しも行っている。その日の気分に合わせて、200種類もの色鮮やかな浴衣から好きな色柄を選び、より華やかな旅の記憶を刻んでみてはいかがだろう。朝食後には、輪島塗のカップでコーヒーのサービスも。日本海の絶景を眺めながら贅沢な寛ぎを愉しみたい。
「ねぶた(寝豚)」とは、その昔弘法大師が湯だまりに傷ついた豚(猪)が横たわっている姿にこの温泉の効能を察知し、村人に入浴を勧めたことに由来する。とろりとしたやわらかな湯は、昔も今も「奇跡の湯」として人々を魅了し続ける。風光明媚な輪島の景色や里山里海のおいしい食材、人々の温かさに包まれて、輪島のゆるやかな時と優雅なもてなしを隅々まで堪能したい。
キーパーソン
能登・輪島にて生まれ育つ。石川県金沢市の料亭で9年間修業した後、東京のホテル専門学校にて経営学を学ぶ。2016年に輪島へ帰郷し、「ねぶた温泉 海游 能登の庄」に入社。翌年より専務取締役に就任する。4代目として、奥能登・輪島の魅力を伝えるべく、お客さまとの会話を大切にしている。「せっかく輪島に来ていただいたのですから、食材、温泉、絶景と、輪島の魅力を存分に感じていただけるおもてなしを心がけています」と話す。
「輪島は、能登半島の北部・奥能登エリアのいわば田舎町ですが、素朴さの中に、輪島にしかない煌びやかな魅力を持っているところが魅力です。そして、能登には海の幸、山の幸どちらもある食材の宝庫。知るほどに惹き付けられます。」素朴さとは自然や人々の温かさ、煌びやかな魅力とは輪島塗などの輪島文化だと、大向さんは言う。目で見て、舌で味わって、心で感じて…。輪島の”輝き”を五感でとらえてもらえるよう、お客さまへ心配りをしている。