長野県飯田市街から、車で30分ほど奥地へ車を走らせる。見えてくるのは南アルプスの美しい山々と、名勝・天龍峡だ。時間帯や気象条件によって色を変える水面を、思わずじっと眺めてしまう。
「峡泉」は、四季折々の自然と渓谷の雄大さを堪能できる抜群のローケーション。“渓谷に佇む隠れ宿”という名がこれほどマッチする宿が他にあるのだろうか? 2020年には「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」の選考審査委員特別賞「日本の小宿 10選」を受賞。ここでしか味わえない絶景と安らぎを求めて、全国各地から宿泊客が訪れている。
部屋からの景色ありのまま感じる 四季折々の天龍峡の自然
「ここには本来あるべき”静けさ”を感じられます。じっと耳を傾けられる贅沢、これこそが峡泉の価値なんです。」と話すのは、マネージャーの小林さん。峡泉の客室は、天龍峡の自然を独り占めできる絶好のロケーションだ。部屋の窓をそっと開けると、まるで時が止まっているかのように、一帯が凛とした空気と神秘さに包まれていることに驚いた。思わず声を潜めて会話してしまうほど、とにかく静かなのだ。時折スーッと吹く風、乾いた木の葉がカサッと落ちる音、鳥のさえずり…。自然が生み出す音すべてに、安らぎと居心地の良さを感じられるだろう。
リノベーションが施された4部屋の外には、巣箱が設置されている。飛来するのは、周辺に生息する野生のムササビだ。「ひょっこり顔を出す姿が、とても愛らしいんですよ」と、スタッフの岩打さんが優しく微笑む。ここでは、ありのままの天龍峡を間近で感じられるのだ。
部屋細部にまでこだわった おもてなしと想いのつまった上質空間
峡泉の客室は、居心地のよいリノベーションルームとどこか懐かしさを感じさせる和室を合わせた8部屋。何といっても、どの部屋も快適なのだ。
たとえば、五右衛門風呂つきの「龍の間」。この部屋だけに備わったプライベートテラスで、コーヒーを飲んだり本を読んだりして過ごすのがおすすめだ。カウチソファーで景色を堪能しながら、“静かな贅沢”をじっくりと味わっていただきたい。
「お客様にどうしたら喜んでいただけるのかを常に意識しています。寛ぎながらお部屋を満喫していただけるおもてなしは、峡泉のこだわりです」と小林さん。天然精油を配合した「松山油脂」のアメニティ、桐生の職人が広島の「カイハラデニム」を使って仕立てた作務衣、ふわふわの肌触りの今治タオル…。上質でありながらも、作り手の想いが感じられる心地よさが何ともたまらない。
温泉柔らかいお湯が全身を包む、目と肌で感じる極上の癒し空間
峡泉では、全客室で温泉が楽しめる。時間を気にせず、部屋でゆっくりと天龍峡温泉が楽しめるのだ。半露天風呂、信楽焼の五右衛門風呂、檜風呂…。客室それぞれテイストが違うデザインで、極上の時間を過ごせる。
無料で貸切が可能な2種類の「温泉浴場」も、ぜひ利用したい。「大きな窓から見える景色と、澄んだ空気を感じながら、ゆっくりと入っていただきたいです。紅葉の時期の眺めは、思わずため息をもらしてしまうほど。新緑の頃の朝風呂も、とても気持ち良いですよ」と岩打さん。鮮やかな緑に覆われた渓谷に咲き乱れる、ツツジとフジの花…。目を閉じて想像しただけで、思わず顔がほころんでしまう。
天龍峡温泉は、天然ラドンを豊富に含んでいる。まるで化粧水のように柔らかく優しいとろみが、全身を何とも言えない心地よさで包み込む。外の景色を眺めながら、腕や肩に何度もお湯をかけてしまう。心身ともに、日常の疲れをリセットしよう。
料理南信州の恵みがつまった和食創作料理で、天龍峡を表現
「天龍峡の自然をテーマに、ストーリー性を大切にしたメニューを考案しています。自然の雄大さや魅力を表現した、峡泉のオリジナルメニューなんです」と小林さん。食材を知り尽くす地元飯田市出身の料理人が手がける、和食をベースにした創作料理が楽しめるのだ。作品といっても過言ではないほど、見た目の華やかさや皿の一つひとつにこだわりを感じる。南信州の素材をふんだんに使った自慢の逸品は、時間をかけてじっくりと五感で堪能したい。
食事と一緒にぜひ楽しんでいただきたいのが、信州の地酒だ。口当たりや料理との相性にこだわり、銘柄も季節やメニューに合わせて変えているという。クラフトビールのほか、シードルも楽しめるのは、りんごの産地長野県ならでは。
なお、和室は部屋食、リノベーションルーム宿泊の場合は食事処「仙人」での夕食となる。食事処は和モダンで、落ち着きある空間が印象的だ。
おもてなし宿の魅力を引き出す 五感を大切にしたおもてなし
宿の玄関をくぐり抜けると、ほっとするような香りに包まれる。廊下では、深呼吸をしたくなってしまうほど、柔らかくて懐かしい香りがする。はっとした。場所に応じて、違うお香を焚いているのだ。
「峡泉では『五感』で楽しんでいただくことに、強いこだわりを持っています。天龍峡の景色、音、味…。五感を通じて堪能していただきたいんです」と小林さん。ロビーの家具も、宿と天龍峡の魅力を引き出すための“演出”だ。景観を邪魔をしない背が低いソファーは、心地よい肌触り。腰を据えてじっくりと寛げるのだ。きめ細やかなサービスはもちろんのこと、五感を大切にしたおもてなしは、この宿ならでは。その強い想いに、心を動かされた。
「リノベーションルームは、もともとあった欄間と梁を、そのまま使っているんですよ。これだけ立派な作品はなかなかありません。部屋にある木製の電話も、前のオーナーさんから引き継ぎました。修理して長く使っていきます」。柔らかい眼差しで、想いを語る小林さんの姿が印象的だった。歴史を引き継ぎ、そして繋ぐ…。人々が求めている温もりや落ち着き、自然本来の姿を、五感を使ってぜひ体験してほしい。
キーパーソン
長野県出身。株式会社宿泊予約経営研究所において、旅館運営の新規事業開発に従事していたが、3年前に峡泉を運営する株式会社良地良宿のマネージャーとなった。
「良い町があるから良い宿屋がある。良い宿屋があるから良い町がある」が同社のコンセプト。自身は宿泊業の経験がないものの、利用者目線を大切に「どうしたら喜んでいただけるか?」を常に考え、おもてなしへ反映させているそうだ。
「ちょうどいい距離感で常に素人目線。見えない場所こそ、細かな心配りを大切に。これは当館にお越しになられるお客様から教えられた、大事なこだわりです」と話す小林さん。べったりはしない。しかし、お客様が快適に過ごせるようにサポートしながらも、気配を感じさせない細やかさが峡泉の魅力そのものだ。サービスとは思わせない、自然なおもてなしを大切にしている。居心地の良さを感じ、ふとした時に思わず宿に帰りたくなるのも納得だろう。
お知らせ
衛生管理(新型コロナウイルス感染予防対策)について
【渓谷に佇む隠れ宿 峡泉より衛生管理について】
■館内の全ての場所
・「マスクの着用」「咳エチケット」「ソーシャルディスタンス確保」「アルコールでの手洗い、消毒」のご協力をお願い致します。
■ラウンジ
・通常ラウンジでご用意しております、チェックイン時のおしぼり、ウエルカムドリンクのご提供は、各お部屋にて提供させて頂きます。
・お急ぎでチェックアウトされたい方や混雑、密集を避けたい方はご夕食後の事前精算を承っております。※お土産も含む
■浴場
・2か所の浴場は、貸切風呂でのご利用とさせて頂いております。
当日の予約状況に応じてご1回のご利用時間50分とさせて頂く場合がございます。
■食事処
・他のお客様との滞在時間を減らす為、またスタッフとの接触を減らす為、お料理提供は、回数を減らした接客でご用意させて頂いております。
■スタッフの対応
・コロナ感染予防対策の一環としてお客様との会話を控えさせて頂いております。
ご宿泊の皆さまには、ご不便をお掛けする場合もあるかと存じますが、
何卒ご理解・ご協力の程よろしくお願いいたします。
更新日:2021年4月1日