市街地から車で走り、宇奈月温泉郷へ繋がるトンネルを抜けると、突然目の前に現れる雄大な黒部峡谷に思わず息を呑む。その流れのそばに佇む「延楽」は、皇族や文人墨客も訪れる、宇奈月温泉郷を代表する老舗旅館。1945(昭和20)年、料理人だった初代館主・濱田竹次郎氏がこの宿を開いたのも、黒部峡谷の美に魅せられたからだ。初代が大切にした、「食」を最大限に愉しむ和の空間とおもてなしは、今も脈々と受け継がれ、極上のくつろぎを味わわせてくれる。
目次
料理 延楽が愛され続ける原点は、初代が心血を注いだ「食」にあり
「料理人であった初代が何より情熱を注いだ料理は、延楽の原点であり、最大の魅力です」と話すのは、館主の濱田政利さん。日本の美を繊細に表現した御膳は、代々継承される味と技を、料理長が繊細な感性で味わい豊かな料理へと磨き上げる。
先代から伝わる秘伝の出汁へのこだわりや、富山の上質な素材の味を最大限に引き出す調理法、トラディショナルな中に季節の彩りや華やさが光る料理構成は、シンプルながらも滋味深く、和食の神髄を感じられるだろう。ハイグレードプランの「雅膳」は、館主自ら選んだ器が料理をより華やかに演出し、目でも楽しめる。
料理と合わせるならば、希少価値の高い富山・高岡の日本酒「勝駒」の純米吟醸がおすすめ。主役である食を最大限に引き立ててくれる。美食・美酒に酔いしれる至福の時間を堪能したい。



客室 純和風の美を設えた風韻な客室で優雅なひととき
全室黒部川に面した客室は、麗しい峡谷の自然と溶け合う純和風の造り。客室の設えは季節によって変わり、床の間に飾る絵画や掛け軸は、館主自ら選定している。日本の美を大切にしてきた延楽でしか見られない貴重なものばかりだ。
客室で特に人気が高いのが、リニューアルしたばかりの露天風呂付客室「対峰閣」。黒部川に臨む絶景露天風呂は陶器と石の2種類があり、峡谷美を愛でながらゆったり優雅なひと時を過ごせる。絶景を独り占めできる、自分だけの贅沢な時間を感じてほしい。



客室からの眺め 全室から望める黒部峡谷の絶景に包まれながら過ごす
雄大な黒部峡谷に抱かれた延楽。宿のすぐそばには黒部川が流れ、目の前には峡谷の情景がダイナミックに広がる。前述のように全ての部屋がリバービューで、絶景を存分に楽しめる設え。日本の情趣を感じる静謐な空間を、唯一無二の景色がドラマチックに演出してくれる。
縁側の椅子に腰掛けて景色を眺めていると、自然に包まれているような不思議な錯覚に陥る。とりわけ黒部川に近い露天風呂付客室からは、絶景のみならず心地よい川音も愉しめる。四季折々の景色と静寂さに心をゆだね、非日常の時間に癒されてみてはどうだろう。



温泉 峡谷美を間近で眺めながら、贅沢な湯浴みで心身を解きほぐす
黒部峡谷の景色は、もちろんお風呂からも眺められる。「宇奈月温泉の湯の透明度は、日本有数と言われています。無色透明のお湯は、湯鏡となって周りの景色を写し出し、極上の癒しをもたらしてくれます」と濱田さん。
おすすめは、樹齢約400年の檜を使った露天風呂「華の湯」だ。額縁に見たてた檜の枠から見える峡谷と、湯鏡に写る景色が最も美しく見えるように作られている。たとえば秋と冬。赤黄に染め上げられた艶やかな紅葉や、水墨画のような幻想的な雪景色は、まるで絵画の世界に入り込んだような気分にさせてくれる。
泉質はアルカリ性単純泉。滑らかで肌に優しく、美肌や美容にも効果があると女性にも好評だ。四季折々の峡谷美を愛でながら、上質なかけ流しの湯に包まれて、贅沢な湯浴みを愉しみたい。



アクティビティ 美術コレクションを展示したギャラリーも見どころ
初代館主・濱田竹次郎氏が収集した美術品の一部は、客室の設えだけでなく、1階のギャラリーなど館内随所に展示されている。中には、延楽ゆかりの芸術家たちの作品も数多い。延楽の屋号をしたためた日本画家・川合玉堂や、客室「対峰閣(たいほうかく)」を命名した歌人・中川一政の書をはじめ、どの美術品も見応えがあるので、館内を巡りながらゆっくりと日本の美や芸術に触れてみてほしい。
温泉街を巡り、セレネ美術館で黒部峡谷の自然がテーマの絵画を楽しんだり、演劇などの文化的コンテンツを楽しむのもおすすめだそう。また、2024年には峡谷に沿って黒部ダムへ至る新観光周遊ルート「黒部ルート」が開通予定で、宇奈月温泉郷はその出発点となる。山岳観光の拠点として、今後ますます注目が集まりそうだ。


日本の美しさが細部にまで宿った創業85年の老舗旅館「延楽」。「当館は、料理・客室・温泉に、景色やおもてなし、館内を彩る文人墨客の名作、これらが全て融合してひとつの魅力になっています」と、濱田さんは話す。日本古来の和の良さにとことんこだわりを持っていた初代から受け継がれてきたその精神は、これからも訪れる人々を魅了し続けていくだろう。
キーパーソン
富山県氷見市出身。料亭接客で修行を積んだ後、家業である「延楽」に戻り3代目館主に。芸術家と深い交流を交わしてきた初代・濱田竹次郎の想いを受け継ぎ、芸術への造詣も深い。1993年には、宇奈月温泉郷内に建つ「セレネ美術館」の初代館長に就任し、15年間勤め上げた。宇奈月温泉郷の地域活性化にも力を注いでいる。
「お客さまがお持ちのご事情や背景を汲み取る想像力と、きめ細かく、そしてさり気なく『付かず離れず』の心地よい接客をすること。これは、延楽に受け継がれる伝統のおもてなし“初代の竹次郎スピリット”です。個性豊かなスタッフが、お客様お一人おひとりに感動のひとときを愉しんでいただけるようおもてなしいたします。美味しい料理を和の空間で、心ゆくまで楽しんでいただけたらと思っております」
お知らせ
衛生管理(新型コロナウイルス感染予防対策)について
【延楽より衛生管理について】
・アルコール消毒液を各階に増設しております。
・通常の清掃に加え、ドアノブ・エレベーターボタンなどお客さまの触れる機会が多い個所の消毒を強化しております。
・送迎バス車内では、消毒液の設置、消毒の徹底、間隔を空けた座席のご用意、こまめな換気を実施しております。
・エレベーターは密にならないよう、お荷物は別のエレベーターでお届けいたします。
・フロントデスクでは飛沫防止ガードを設置しております。
・大浴場で混雑になる場合は入場制限を行わせていただいております。
・担当スタッフによる料理提供の入室を少なくするよう心がけております。
・お食事の際、席を横並びでお召し上がりになりたい場合はお申し付けくださいませ。
・エステ・軽食コーナーは誠に恐れ入りますが当面休業となっております。
・ご滞在中に体調が優れないと感じられた場合はお近くのスタッフまでお申し出くださいませ。
※対策の詳細は、ホームページにて随時更新させていただいております。その他ご不明な点がございましたらお電話にてお問合せくださいますようお願い申し上げます。
更新日:2022年4月1日