日本三景の一つ、天橋立を望むロケーションを楽しみつつ、松葉ガニや寒ぶりといった地産の海の幸に舌鼓を打つ。食事はもちろん、風景でもご馳走を味わえるのが、老舗料理旅館「茶六別館」だ。90年の歴史をもつ数寄屋造りの建築は、11代目茶谷六治が棟梁を伴い全国の名建築を訪ね歩き、職人技術の粋を結晶させ作り上げたという。こだわり抜かれた和の空間で、真心のこもった料理とおもてなしに包まれる宿だ。
料理「三風」を重んじて、想いを添えて
「懐石に『三風』という言葉がございます。それは、『風土』(どこでとれたか)、『風味』(いつとれたか。いわゆる旬の味)、そして『風景』(見た目・盛付け・取合せ)。当館ではこの三風を基本に、料理をお出ししております」。そう語るのは、会長の茶谷昌史さん。茶六別館では、宮津湾の豊かな魚介類を中心とした月替わりの献立で、「旬」と「瞬」を楽しめるのだ。
料理長の山本英和さんは、「旬の恵みに彩りと想いを添えて、心に残る『食』を楽しんでいただきたいと、日々料理に取り組んでいます」と静かに語る。
春はメバル、サヨリ、夏は丹後とり貝と岩ガキ、秋は甘鯛やアオリイカなど丹後の海の幸を楽しむことができるが、中でもせひ味わってほしいのが、冬の松葉がにと寒鰤だ。カニのコースは、贅沢に松葉ガニを使った「極撰」から、リーズナブルなものまで5種類を用意。「ぶりしゃぶ」は今や全国で知られているが、元は約40年前に、ここ宮津の地で始まった創作郷土料理。薄切りの寒ぶりを昆布出汁にくぐらせ、ぼん酢でいただくシンプルな料理たが、地産寒ぶりの旨味を存分に味わえる。四季折々の海の幸を堪能しよう。
部屋歴史ある和風建築の美にふれる11種類の客室
全11種類ある客室は、書院造り、数寄屋造り、茶室造りといずれも落ち着きのある和室(「海人」のみ和室+ベッドルーム)となっているが、少しずつ意匠が異なり、それぞれの趣を楽しむことができる。
1階にある書院造りの「蓬莱」は、最も広く主室10畳と副室10畳。部屋の両側に前庭と奥庭があり、石灯篭やツツジに彩られた景色を楽しむことができる。心地よい静寂と、時折聴こえる鳥のさえずり、緑の美しさに、日常の喧噪を忘れて過こすことができそうだ。
特徴的なのは、2階角部屋の「井筒」。壁一面に迫力ある松の屏風絵が飾られているのだが、その昔、宿泊した画家が描いたとのこと。また、この部屋は北前船を彫った欄間も見事で、歴史ある和風建築ならではの美に目が奪われる。どの部屋でも、静謐な和の空間で穏やかに過ごすことができるだろう。
部屋からの風景日本三景のひとつ「名勝・天橋立」を一望
宮津湾の間を全長約3.6kmにわたり砂浜と約5,000本の松の木が続く、日本三景・天橋立。上から見ると、まるで天に向かって架かる橋のように見えることから、その名が付いたと言われている。茶六別館の2階海側客室からは、その天橋立を横一文字に望むことができる。中でも二間続きの「加茂」は穏やかな宮津湾と天橋立を一望できる、解放感と落ち着きをあわせ持つ客室だ。
庭園は、前庭、中庭、奥庭とそれぞれに趣を凝らしている。丁寧に手入れされた庭園は、春はツツジの花、夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色と、さまざまな表情で訪れる宿泊客を癒してくれる。1階や2階庭側客室からは、こちらを存分に楽しむことができる。
温泉湯上り後もポカポカと温かい「美肌の湯」
宮津温泉は「美肌の湯」と言われ、切り傷やうちみ、くじきに加え、腰痛や関節痛、神経痛、疲労回復などにも効能がある。さらに、温かさが続くことも特徴で「湯上り後も、いつまでもポカポカと体が温かい」という宿泊客の声も多いという。
大浴場は「太郎の湯」と「小町の湯」の2つがあり、時間ごとに男湯・女湯が入れ替わるようになっている。どちらも、框(かまち)にヒバの樹を、内湯の湯舟には御影石を使用。太郎の湯は露天風呂が信楽焼の陶製壺湯となっており、一人でのんびりと浸かるのにぴったり。小町の湯の露天風呂は四国の「青石」を組み合わせており、庭園とマッチした造りで、風景を楽しみながら癒されることができる。美しい庭園を眺めながらゆったりと露天風呂につかれば、身も心も温まりほぐれること間違いなしだ。
清潔な館内空間お客様が気持ち良く過ごせるよう、いつも美しく清潔に
茶六別館の特徴として、90年前に建てられた和風建築とは思えないほど綺麗で居心地が良いことが挙げられる。「古い建物だからこそ、いつも徹底したお掃除を心がけています。お客様からも『隅々までお掃除が行き届いていて気持ち良く過ごせる』とお声を頂いております」と語るのは、代表取締役の馬越さん。清潔さを保つ秘訣について聞いてみると、「やはり、人の手で磨きつづけることですね」とお答えいただいた。時とともに増す数寄屋造りの美しさは、スタッフ一人ひとりの日々の細やかな仕事によって支えられているという。
「心地よい空間では『景色もご馳走』だと思っています」。透き通ったガラスの向こうに見える天橋立を眺めながら語る馬越さんの言葉に、茶六別館のおもてなしの真髄を感じた。
丹後の海でとれた旬の幸を、彩豊かに提供する老舗料理旅館「茶六別館」。和風建築の粋を尽くした建物、意匠へのこだわりが感じられる11の客室、さらに天橋立を望むロケーションは、和の美しさと寛ぎを十二分に与えてくれる。日常の忙しさから離れ、静かで上質な時間を過ごすことができる宿だ。「お客様が落ち着いて、気持ち良く過ごせるように」という丁寧で細やかな心遣いが、きっと優しく深く心身を癒してくれるだろう。
キーパーソン
京都府宮津市出身・在住。婚礼写真のカメラマンとして働いていたが、忙しくしている両親を助けたいという想いから、家業である宿泊業に転身した。カメラマンの経験を活かし、当館のInstagram(https://www.instagram.com/charokubekkan/)では、自ら撮影した料理や客室の写真をアップしている。特に料理の写真は「お客様へご提供する一皿の美しさに感嘆し、料理人の想いを感じる瞬間。この感動を伝えたいという思いでアップしています」とのこと。
「穏やかな時間の流れの中で『日本人でよかった…』と、しみじみと感じるひとときを重ねていただけたらと願います。日頃がんばられている沢山の方々の元気を満たす場でありたい、笑顔でお帰りいただきたいと思い、日々おもてなしをさせていたたいております。ぜひ、丹後の海の幸や宮津温泉でリフレッシュしていただければと思います。」
お知らせ
衛生管理(新型コロナウイルス感染予防対策)について
【茶六別館より衛生管理について】
当館では、お客様に安心してご利用いただくために、下記の感染防止対策に取り組んでおります。
お手数をおかけいたしますが、何卒ご協力下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。
〇消毒液の設置
玄関、ロビー、フロント、食事処、大浴場、館内のパブリックトイレ等に、消毒液を、設置しております。
〇客室及びパブリックスペース・食事処の除菌・消毒
清掃作業後に、各所の除菌と、換気をしております。
全客室に、加湿器付空気清浄機を設置しております。
〇チェックインは、状況が落ち着くまで、各客室で行います。
〇食事処では、他のお客様との十分な距離(社会的距離)を保った席のご用意を、しております。
〇スタッフは、マスクを着用し、十分な手洗い、うがい、消毒を行っております。
〇スタッフの健康管理
健康管理表を作成し、出勤者全員の出勤前の検温と体調を確認し、管理をしております。
37.5℃以上の発熱がある場合、または体調不良の場合は出勤停止いたします。
更新日:2021年2月8日