朝夕は太陽に染まる英虞湾(あごわん)を一望できる高台にある「汀渚(ていしょ)ばさら邸」。敷地面積は5000坪を誇り、20の露天風呂付き客室と3つの貸切風呂が、静寂を求める宿泊客を迎え入れる。伊勢志摩国立公園の自然と一体化し、周囲には伊勢神宮からの“神聖な気”さえ感じられる。オーナーが大切にするのは「常若(とこわか)」の精神(古き良きものに敬意を払いつつも、常に新しく作り変えるという思想)だ。それを体現すべく、家具を定期的に入れ替えるなど、新しい試みを続けている。季節のように変遷を見せる「ばさら邸」。そのなかできっと、愛すべき特別な時間が見つかるはずだ。
目次
客室格式高さと遊び心が同居し、まったく異なる趣をもつ客室
ばさら邸の客室は「本館」と「別邸 海里のはなれ」「漣のはなれ」に分かれる。各部屋から望む風景や、インテリアに凝らされた趣向は驚くほどに異なるが、共通して感じられるのが自然との“密着感”、そして静謐な時間だ。
本館客室は、天井から柱まで木の温もりを感じさせる造り。最もハイグレードな露天風呂付き客室「杜の棟」は、「結婚前の母娘が語らえるような部屋」を思い描いてデザインされたという。
ヴィラタイプの「別邸 海里のはなれ」は、テラスを含めて100㎡ものスペースがある露天風呂付きの客室。2人きりの時間から一家の団欒まで、思いおもいのくつろぎの形を叶えられるはずだ。圧巻なのは、英虞湾の目の前に佇む、ビューバス付きの「漣のはなれ」。大きな窓の前にはただ、穏やかな海面が広がり、室内にいながらも自然と融和できる至極のロケーションが迎えてくれる。
「いろいろなお部屋に泊まって、『やっぱりこっちが良い』と前に宿泊された部屋に戻られるお客様もいらっしゃいます」とは、代表の三橋弘喜さん。宿泊客の心を掴んで離さない理由は、宿名の通り、自分の「邸宅」を見つけられるから、かもしれない。
風景四季を通じて変わりゆく情景 英虞湾に見守られて過ごす
ばさら邸のランドスケープの中心にあるのは、間違いなく「英虞湾」だ。リアス式海岸として有名な同湾は波が少なく、かつてから真珠や青のりの養殖が行われ、地元の人たちの生活にも深く根付いている。ひとたび部屋に足を踏み入れれば、自ずとこの雄大な海とそれを囲む山々に視線を奪われるだろう。とくに本館の客室からは、国立公園内の草木が絵画の額縁のように英虞湾をふちどり、部屋ごとに異なった表情の眺望が楽しめるはずだ。
早朝、朝露が木々の香りを沸き立たせ、スタッフが丹精込めて手入れした庭園の木々には、鳥たちが憩う―。この宿の客室では、視覚だけでなく五感が喜ぶ体験が待っている。生命力あふれる新緑の春、澄み切った空気に包まれる冬など、訪れるたび、その情景に魅了されるだろう。
料理自社農園でとれた食材を活かした「志摩料理」を堪能
食事は夕朝食とも、本館にある完全個室ダイニング「さかなへん」で。海と大地を感じる志摩料理がテーマだ。豊かな魚介類の恵みをもたらす志摩の海は、そのミネラル分から豊穣な大地をも育んできた。自社が運営する農場で生産された「ばさら米」や、栄養たっぷりの志摩野菜をふんだんに使用し、身土不二(しんどふに)の料理を作り出している。
また、鈴鹿の地酒「作(ざく)」はもちろん、規模の大小を問わず地元こだわりの銘酒を買い付けて提供。思わず唸るような日本酒との出会いもあるかもしれない。本国以外にはなかなか流通しない、稀少なルクセンブルク産やスイス産のワインも取り扱っており、食事に花を添える美酒たちにも期待が高まる。
温泉自社源泉を個性あふれる3種の貸切風呂で楽しむ
「もともとは井戸水を掘るつもりだったのが、温泉が湧き出てきた」という伊勢志摩賢島温泉。泉質はナトリウム・カルシウムを含む塩化物冷鉱泉で、保温・保湿効果が期待できる。この自社源泉を楽しめるのが、3つの貸切風呂だ。
「天の鏡」は、英虞湾を一望できる露天風呂。100㎡の面積を誇る貸切風呂だ。ゆったりとした湯面に映るのは志摩の青空か、満天の星か。
庭園を眺めながら湯浴みができる「くゆりのびり」は、マイクロ・バブルを活かしたシルキーな湯触りが特徴的で、女性客からの支持が厚い。ひのき材の千本格子で囲まれた和の湯室にはコウモリランが飾られ、遊び心を感じさせる。
伊勢神宮をイメージして造られたのが「月の宮」だ。辺りを覆う白い壁と玉砂利のなかに、黒色で円形の浴槽が浮かぶ。風呂に浸かれば視線は自然と上方へ。ただ森と空だけを見つめながら、マインドフルな時間を過ごしてみては。
館内施設“海へと続く散歩道”を歩き、専用ラウンジで憩う
「海の近くまで歩きたい」という要望をうけ、生まれたのが「叶庭」。隆々とした木々に挟まれた小道を港の方向に歩いていくと、英虞湾がすぐ目の前に現れる。天気が良い日には思わず芝生の上に寝そべって、深呼吸したくなる。そんなロケーションだ。スタッフが「ぜひお客様に見せたかった」という“秘密の散歩道”を、ぜひ散策してみよう。
八角形に広がる宿泊者専用ラウンジ「時の家 aoi」は、他の来訪客と視線を合わせずに、大切な人や自分自身との対話を楽しめるように設計されたリラクゼーションスペースだ。コーヒーやアルコール類を楽しんだり、伊勢志摩にまつわる書籍や雑誌を読んだり、思い思いに過ごせる。室内には、写真家の中野晴生氏が撮影した伊勢神宮の写真が並ぶ。参拝前でも後でも、ふだんは見ることのできない神宮の姿を収めた作品群に驚くことだろう。
ばさら邸の魅力を一度ですべて体感するのは、残念ながら難しいかもしれない。宿泊する部屋や時期、一緒に訪れる人、あるいは自身の心境によっても“見える景色”は大きく異なるからだ。折に触れて、何度も訪れる人が尽きない理由はそこにある。季節折々に良さがあるように、自然に溶け込むばさら邸も常に変わり続ける。サービスの細部にまでこだわるプロフェッショナリズムと、常に宿泊客の目線で新しいコンテンツを用意する遊び心は、訪れる人の英気を養うだけでなく、新たな発見をもたらしてくれるだろう。
キーパーソン
三重県志摩市阿児に旅館の長男として宿の日(8月10日)に生まれる。早くから家業を継ぐものだと自覚する。社会人としてのスタートは「宝塚ホテル松楓閣」から。特に日本の美意識の奥ゆかしさを学び、系列の「大阪料亭まつ本」で財界のお客様をもてなす一流の接客を身につける。その後家業に戻り、1997(平成9)年に代表取締役に就任し、現在に至る。
「私たちの想いは、『新たな価値を生み出す企業であること』『美しい心をつくる企業であること』『感謝し感謝される企業であること』。そして、世界に目を向け全社員で『信頼』を勝ち得 世界ブランドを創ってまいります」
お知らせ
衛生管理(新型コロナウイルス感染予防対策)について
【汀渚ばさら邸より衛生管理について】
お客様に安全・安心してお泊りいただけますよう、館内全施設・厨房・事務所・送迎車にいたるまで、全てに光触媒コーティングによる抗ウイルス・抗菌対策を施しました。光をエネルギー源とする光触媒は環境浄化に優れ、新型コロナウイルスやノロウイルス等を約99.9%分解・不活化する効果が期待されています。
スタッフに対しては、状況説明を継続的に行い、予防対策における業務手順を強化しています。全従業員が、マスク及び次亜塩素酸ナトリウム配合のウイルス除去製品を着用してお出迎えいたします。また、出勤、退社時の検温及び健康確認と、入館時の手洗い・うがい・手指消毒を徹底しています。
複数の人が手を触れる高頻度接触部位(フロントデスク、ドアノブ、鍵、電気のスイッチ、電話、エレベータのボタン、化粧室、パブリック施設など)は清掃頻度を増やし、アルコール消毒剤を継続して使用しています。殺菌作用に優れ、ウイルス除去に効果を発揮するオゾン発生器を設置し、定期的に空間除菌を実施。手指用アルコール消毒剤とクレベリンをより多くの場所に設置しています。
料飲サービスにおいては、食品安全に関する最新の推奨事項に従い、夕食時(個室ダイニング)の時間調整を図り、他のお客様と離れたお部屋、フロアでご用意いたします。また、ご希望により朝食をインルームダイニング(お部屋食)でご提供させていただきます。
また、ご希望によりご精算もお部屋で承るなど、できる限り他のお客様との接触機会が少なくなるよう努めております。
更新日:2021年5月15日