若い学生のフレッシュな感性に驚かされたり刺激を受けたりするので、毎年東京オートサロンで展示される各自動車大学校の展示を見ることが楽しみ、という人も多いのではないだろうか。
かくいう筆者もその一人で、東京オートサロンでは積極的に自動車大学校の展示を見るようにしている。
毎年出展している自動車大学校の一つ「埼玉自動車大学校」はクオリティの高い車両を展示することで定評がある。
2016年にはスバル360を初代フェアレディZ(S30型)風に改造、しかもEVコンバートした「でんどう虫Z」は同年の東京オートサロンの東京国際カスタムカーコンテスト エコカー部門最優秀賞を受賞している。
2017年は懐かしのサニートラックをレストア、ナショナルカラーに塗って展示して注目を浴びた。
その埼玉自動車大学校が今年展示した一台は「WiLL式戦闘機」。ベースはトヨタ WiLL VSである。ジャンルをまたいだ異業種共同プロジェクト「WiLL」ブランドから生まれたクルマで、カローラなどで採用されていたMCプラットフォームの上に独特なエッジが効いたデザインのボディを載せていた。発売期間は2001年から2004年までと短いものの、その斬新なスタイルは今見ても印象的だ。
埼玉自動車大学校ではこのWiLL VSに戦闘機をイメージしたカスタマイズを施しており、鋭角的なデザインはF-22ラプターやF-35ライトニングIIを思わせる。というのも実はWiLL VS自体が元々「ステルス戦闘機」をデザインモチーフにしていたため、彼らは本当にWiLL VSを「戦闘機にしてしまった」ことになるのだ!
“戦闘機化”のメインはボディ全体を包むシャープな印象のオリジナルFRP製エアロとマット調シルバーのカラーリング、そしてリアのウイングドアだ。
ボンネットの造形はランボルギーニ ウラカンのエンジンフードを埋め込んで造形され、サイドミラーも撤去されて小型カメラによって撮影された映像は車内のルームミラーに投影されるという。しかも小型カメラは機関砲らしい造形で前方には熱と発砲で機体が汚れたようなエフェクトまで施されているという凝りよう!
電動跳ね上げ式のリアドアを開けると後部座席があった場所にはパンチングメタルが貼られ、軍用機(輸送機)の内装らしさを演出している。
リアゲートを開けるとそこにはジェットエンジンのノズルらしきものまで!実はコレの中にはウーハーが入っているのだが、ノズル内部はエンジンの排熱をイメージした電飾が輝いているのが面白い。“実際の排気口”も趣向が凝らされ右側出しのマフラーエンドをセンター寄りに曲げて4つに分割するなど、こちらもさりげなく凝っている。
あっと驚く自由なアイデアとそれを実行する技術力を今年も遺憾なく発揮してくれた埼玉自動車大学校。来年はどんな展示を見せてくれるだろうか。今から楽しみだ。
[Text:遠藤イヅル/Photo:島村栄二]
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