トヨタ 新型ヤリス発表記念! ヴィッツの歴史と知られざる世界のヤリスをまるわかり解説!(後編)(2/2)
- 筆者: 遠藤 イヅル
【番外編】えっ、これも!? 知られざる世界の現地仕様ヤリス
最後に、世界各地の「変わり種ヤリス」をご紹介しましょう。
実は、国によって外観がまったく異なるヤリスや、別メーカーのクルマにヤリスのバッヂをつけたモデルなどが存在するのです。
なお、今回ご紹介した歴史記事では、基本的に日本および欧州市場版のヴィッツ=ヤリスを取り上げており、新型ヤリスも日欧での販売がメインとなります。
現地仕様1:もはや別物だしカオスすぎる「アジア向けヤリス」
ヴィオスから生まれたタイ・中国版オリジナルヤリス
ヤリスと言っても日本のヴィッツとは似ても似つかない、オリジナルボディを持ったモデルです。全長は4.1mもあり、外観もヴィッツ=ヤリスとはまったく異なるデザインが採用されています。形式的にもXP150型で分けられているほどです。
2013年からタイ・中国(ヤリスLと呼ばれる)および台湾で現地生産・販売を開始した際は各国で外観が統一してありましたが、2016年のマイナーチェンジでは、中国向けヤリスLはさらに異なるマスクをつけて区別することができるようになりました。
アジア向けヤリスは、2002年投入の初代ヴィオスにそのルーツをもちます。初代ヴィオスは初代ヴィッツをベースに独自のセダンボディを構築した車種でしたが、2代目ヴィオスは日本のベルタと同じボディに変更。
2013年から売られる3代目ヴィオスは日本では見られない完全オリジナルデザインで、アジア向けヤリスは、このハッチバック版なのです。ややこしいですね(つまり、3代目ヴィオスの形式もXP150型になります)。
もはや理解不能、大混乱のセダン版とハッチバック版
ここからはさらにかなり難解なので読み流してもらってもいいのですが(笑)、タイではアジア向けヤリスをセダンにした「ヤリスATIV(エイティブ)」を追加、中国市場でもヤリスLにセダン版「ヤリスLセダン」が追加投入されています…って、あれ?
ヴィオスのハッチバック版がアジア向けヤリスだったのに、ヤリスをベースに逆にセダン版が出たということ? 中国市場ではさらに、3代目ヴィオスのボディ後半をヤリスLと共用したハッチバック版「ヴィオスFS」も追加…って、あれ?
中国にはそもそもヤリスLっていうハッチバックがあってですね…となると、ヴィオスFSとヤリスLというハッチバックが併売されているということに…? などなどかなりのカオス状態。書いている本人も記述が合ってるかな? と心配になります(笑)。
インドや南米にも進出中
ちなみにアジア向けヤリス XP150型は、現在インドや南米ブラジルでも生産と販売が行われ、その勢力をじわじわ拡大中。日本人がまったく知らないヤリスが世界中で走っているなんて面白いですよね。
なにはともあれ、ヤリスという名前は世界共通でトヨタの小型ハッチバックに与えられる名前だということがわかります。
現地仕様2:なぜかMAZDA2になっている「北米向けヤリス」
マツダのOEM車を現地調達
2代目からは北米でも販売が行われているヴィッツ=ヤリス。3代目も基本的にはヴィッツ=ヤリスが導入されましたが、近年、セダン版の「ヤリスiA」は、マツダ2セダン(日本名デミオ、日本未発売のセダン)のOEM車でまかなっていました。そして2020年モデルからはさらに、ハッチバック自体もマツダ2を用いることになったのです。
似たような時期に「北米仕様の新型ヤリス」と「日欧仕様の新型ヤリス」がデビューしたため、とてもややこしいのですが、言うならば「ホンモノ」のヤリスは後者。北米ではサブコンパクトカーと呼ばれるジャンルに属するヤリスは、価格が販売戦略上のキーとなります。2018年まで発売されていた3代目北米ヤリスは輸入車だったので、この点ではデメリットが大きかったといえるのです。
そもそもマツダ2セダン=ヤリスiAとなった経緯は、メキシコに工場を持ち稼働率を上げたいマツダと、価格を下げるためにもクルマを現地調達したい、というトヨタの思惑が一致した結果でした。
私たちが何気なく乗っているいろいろな日本車が、私たちの知らない姿や背景を持って世界中で活躍しているエピソードの一つと言えるでしょう。
[筆者:遠藤 イヅル]
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