トヨタ プリウス 試乗レポート/金子浩久 編
- 筆者: 金子 浩久
- カメラマン:原田淳
新型トヨタ・プリウスに乗り込んで、まず最初に気付くのは、メーターパネル内の情報表示がよく整理されて、見やすいことだ。カーナビ画面とメーターパネル内に別れていた旧型プリウスや、うまく整理され切れていないホンダ・インサイトとは大違い。ハイブリッドカーに何が必要で、何が大切なのか、 3代作り続けてきたノウハウの蓄積がある。
しかし、オーリス譲りの、宙に浮いたようなセンターコンソールがプリウスにも採用されているのは理解できない。使いにくい上に、空間を無駄にしている。おそらく参考にしたのであろうボルボ各車は、もっとうまく作られている。また、旧態依然とした価値観とセンスで設置されているシフトレバーの形状と位置に、必要性が感じられない。せっかくのハイブリッドカーの新しさが、台無しだ。小さなスイッチやボタンでも機能的に問題ないはずで、“新しさ”を演出できた上に、空間も確保できる。
走り出して感じるのは、乗り心地のタッチのキメが細かくなったことと、速度を上げた時の安定感も向上したこと。パワートレーンの余裕も生じ、静粛性も高まった。総じて、走りっぷりは向上し、重いバッテリーとモーターを積んでいることを忘れたかのように、軽快に走る。快適性も高まった。
だが、基本中の基本であるドライビングポジションに疑問を感じた。L、S、Gと3グレードあるうちの最廉価のLグレードに限った話だが、シート高が調整できない。個人差にもよるが、そのポジションは高過ぎで、ハンドルを調整しても、最後まで最適なポジションを定めることができなかった。ポジションが高いので、コーナリング時のロールも大きく感じられるから、このまま長距離を走り続けると疲労も増すはずだ。10・15モード38km/Lという値だけでLグレードに決めてしまわないで、必ず、SもしくはGグレードをシート高を調節して試乗してみる必要がある。
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