トヨタ クラウンマジェスタ 試乗レポート/今井優杏(1/3)
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:和田清志/オートックワン編集部
日本人ならではのおもてなしの心が薫り立つ
かの瀧川クリ○テル姉さんじゃないけど、やっぱり日本人の心は『お・も・て・な・し』、おもてなし(合掌)、なんである。
それは日本車(と、それを設計する日本人)が、いくらしゃかりきにドイツ車を追いかけていたって、どうしても消せない骨の髄まで刻まれたDNAレベルのホスピタリティ・マインドであって、特にこういう「クラウンマジェスタ」みたいなフラッグシップカーを作ったら、どうしたってその“おもてなし感”はそこここに勝手に薫り立ってしまうようだ。
どれだけ生活が完全に西洋化して、正座の出来ない子供が増殖したところで拭い去れるようなものではない。日本人に染みついた、お客様が求めるその一歩先行く気配りが『おもてなし』である。
それはドイツ車(と、それを設計するドイツ人)にはひっくり返ったって真似できない“奉仕の心”で、とかく日本人のドイツ車信仰はハンパないけども、そして、確かにドイツのクルマは歴史に裏付けられた素晴らしい走行性能を備えているのは紛れもない事実なんだけども、でもこうやって日本の高級車には日本人ならではの個性がきちんと織り込まれているんだなということがドアを開けた瞬間に理解出来るってのが、「クラウンマジェスタ」だと言ってもいい。
そう、「クラウンマジェスタ」のふわっと優しく身体を包むようなふかふかシートに身を預けた時、たしかにほんのり香炉と畳の香りがするような気がする。これぞジャパニーズ・セダンの真骨頂だと感じさせる、由緒正しい温泉旅館の離れの茶室に足を踏み入れた時のような、少し背筋を伸ばさせるような凛とした佇まいを感じるのだ。
似て非なるもの
その辺、出所が同じようで明らかに性格を異にするのはレクサスで、どこか乾いたようなドライな高級感と比べるとクラウンマジェスタは明らかにとてもジャパニーズなのだと感じた。
たとえばそれは(クラウンシリーズ全体にも装備されている)エアコンの左右に優しく動くルーバーがはなつ、顔を直撃しない冷あるいは温風からも感じられるし、たとえばまるで洋館の応接間のようにきっちりと嵌め込まれた濃い木目調のウッドパネルが運転席の裏、後部席に乗った乗員の目の前にまで貼ってあるところからも、夏場でも皮膚がベタっと貼りつかない、パンチ加工の施されたシート表皮も、あるいはトヨタらしい、昔ながらのソファーみたいなふわふわファブリック生地も。(余談ですがこのトヨタの淡いベージュみたいな内装色、フラクセンをいつも『不落選』と連想してしまい、政治家に売れそうな内装色だと思ってしまうのですけど如何でしょう)
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