現行型オーナーが解くトヨタ 新型「86」徹底解説!(2/3)
- 筆者: 永田 恵一
視認性が向上したマルチインフォメーションディスプレイ
インテリアも多くの部分で変更を受けています。
まず目に付くのが、3本スポークなのは同じでも形状が変更されたステアリングです。ビッグマイナーチェンジされた86のステアリングは、径がD型までの86でもトヨタ最小だった365mmから362mmに小径化され、さらに操舵性と握り心地のいいものとなっています。
加えてGT系には、最近のクルマでは付いていないことの方が珍しい、オーディオと各種情報を表示するマルチインフォメーションディスプレイを操作するステアリングスイッチが加わりました。
マルチインフォメーションディスプレイが入るメーターもGグレードのものは変更ありませんが、GT系のメーターは大幅に変更されています。
まずメーター中央のタコメーターは、最高出力が出る7000回転がタコメーターの頂点に来るよう変更され視認性を向上。このためタコメーターのゼロの位置が真下に移動し、今までタコメーターの下部にあったマルチインフォメーションディスプレイはメーター右側に移動しました。
GT系に付く4.2インチのTFTカラー画面となったマルチインフォメーションディスプレイはハンドルの操作量、アクセル開度、ブレーキ踏力、発生したGを表示するGメーター、走行中に出ているパワーとトルクを表示するパワー・トルクカーブ、ラップタイムの計測などに役立つストップウォッチなどから構成されます。
その中でC型86オーナーの筆者の目を特に引いたのが、油温が表示されるようになった点です。
というのは、D型までの86はサーキット走行のようなスポーツ走行をすると油温が上がりやすいと言われており、油温計がない筆者のD型86では状況を把握するため、品質の高さに定評がある日本精機のDefiブランドの追加メーターを付けています。それだけに筆者個人は、ビッグマイナーチェンジ後の86のGT系に油温の表示があるのを見るとちょっと複雑な心境になってしまいます。
インテリアでは細部もGグレードでは変更ありませんが、GT系ではダッシュボードのパネルなどの加飾の変更により質感が向上し、贅沢な車という部分も持つ2ドアクーペとしての魅力を高めています。また、GT系のインテリアカラーは、以前のGTリミテッドでは有料のメーカーオプションだったタンカラーミックスが、ビッグマイナーチェンジでタン&ブラックの名前に変更され、無料で選択できるものになるなどの見直しを受けています。
ファイナルギアがローギヤードな4.3に変更
今回のビッグマイナーチェンジのハイライトといえる機能面の変更も、エンジン/駆動系/ボディなど、フルモデルチェンジではないマイナーチェンジで出来る内容はすべて盛り込んだと思える充実した内容になっています。
まずNAの2リッター水平対向エンジンは、数値的な違いがあるのはMT車のみになりますが、最高出力は200馬力から207馬力、最大トルクも20.9kgmから21.6kgmに向上しています。
最高出力と最大トルクが向上したのは、材質を樹脂からアルミに変更し、長さや形状も見直されたインテークマニホールド(WRX STIのような赤チヂミ塗装も施されています)、エキゾーストマニホールドの改良が大きな要因で、アクセル操作に対するレスポンスの向上や幅広い回転域でパワー感が増しています。
もう1つ動力性能という観点で注目したのが、MT車のファイナルギア(最終減速比)が、D型までの3.7ないし4.1からローギヤードな4.3に変更された点です。
NAエンジン車、特に86のような排気量の大きくない車では「ファイナルギアのローギヤード化はパワーアップと同じくらい効果がある」と言われるほど影響が大きく、幸い86は流用できるファイナルギアも多いため変更しているチューニングカーも多いのですが、エンジンの改良とファイナルギアの変更で、常時高いエンジン回転数を使えるという相乗効果によりかなりの動力性能向上が期待できます。また、ビッグマイナーチェンジ前の86オーナーとしては、2リッターエンジンにしては2000回転以下の常用域のトルクが細いことが気になっていたので、そのあたりのドライバリティの改善が図られているかも気になるところです。
なおMT車のカタログに載るJC08モード燃費は、D型までの13.0km/Lもしくは12.4km/Lから、ファイナルギアがロードギヤード化され巡航中のエンジン回転数が上がるせいなのか、11.8km/Lに低下しています。しかし巡航中の燃費はともかくとして、トルクアップやファイナルギアのローギヤード化によるドライバリティの改善といった要因で、実用燃費が悪くなるとも限らないので、このあたりはいつもの燃費テストで、燃費に関する部分はまったく手を加えてない私のC型86と比較してみたいところです。
「スライドを許しながら速く走れる」といった欲張りな設定
車の土台となるボディもリアピラースポット打点の打ち増しや、エンジンルームと室内の隔壁であるバルクヘッドにあるストラットタワーバーが付く部分やリアのホイールハウスといった局部の補強が行われており、ボディ剛性がさらに向上しています。ちなみにカタログに載る車重はGグレードは変更ありませんが、GT系はビッグマイナーチェンジ前よりも10㎏重くなっています。
そのボディに付くサスペンションを中心としたシャシー関係は、ダンパー構造の変更を含む減衰力の変更、スプリング、リアのスタビライザーの仕様変更といった改良が行われ、ハンドリングと乗り心地をさらに高次元で両立しています。
自分でC型の86に乗っていると乗り心地に若干不満があり、筆者は86の前にマイカーにしていたマツダ デミオディーゼルでも行った、ダンパーのオイルを良質なものに替えるネオチューンという方法で手を加え、乗り心地とハンドリングの良化に大変満足していますが、ビッグマイナーチェンジ後の86が筆者の86にどのくらい迫っているかも気になるところです。
またダンパーといえばC型からディーラーオプションで設定され、標準装備されていた特別仕様車もあったザックス製ダンパーが、ビッグマイナーチェンジで全グレードに車を注文する時でないと基本的に後付けできないメーカーオプションになったことも大きなニュースです。価格は5万4000円と、ビッグマイナーチェンジ前は部品代7万5600円+取り付け工賃でおおよそ10万円だったことを考えると半額近くになったことになり、ザックスダンパーが気軽に選べるようになったのは嬉しいポイントです。
そしてVSC(スタビリティコントロール)には、D型までのスポーツモードに変わるトラックモードが追加されたほか、電動パワーステアリングのプログラム変更も行われています。特にVSCのトラックモードは「スライドを許しながら速く走れる」といった欲張りな設定で、クローズドコースで楽しさよりも速さを重視したい時や雨の日などには頼もしい味方になってくれそうです。
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