どこまで似てるのか!?スズキ 新型クロスビーとハスラーの違いを徹底比較!|普通車と軽自動車どっちが買い?(2/2)

  • 筆者: 渡辺陽一郎
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新型クロスビー vs ハスラー|動力性能比較

新型クロスビーは直列3気筒1リッターのマイルドハイブリッドに、ターボを装着して最高出力99馬力(5500回転)、最大トルクは15.3kg-m(1700~4000回転)を発生する。1.5リッターのノーマルエンジンに匹敵する性能だ。トランスミッションは、有段式の6速ATを組み合わせた。車両重量は前輪駆動の2WDが960kg、4WDでも1000kgだから、背の高いボディを備えながらコンパクトカーの中でも軽い部類に属する。加速感は活発だ。

対するハスラーは軽自動車だから排気量は660ccと小さい。ノーマルエンジンの最高出力は52馬力(6500回転)、最大トルクは6.4kg-m(4000回転)。ターボは64馬力(6000回転)・9.7kg-m(3000回転)になる。軽自動車では平均的な性能だが、車両重量は2WDのXを800kgに収めるなど比較的軽い。そのために軽自動車では動力性能に余裕のある部類に入り、特にターボは1リッターノーマルエンジンに匹敵する性能だ。

それでも動力性能を競えば、1リッターターボのクロスビーが勝る。ハスラーはターボであればパワフルとまではいえないが、高速道路や峠道の登り坂でも力不足は感じない。ハスラーのノーマルエンジンは市街地走行に適している。

*勝者:クロスビー

新型クロスビー vs ハスラー|走行安定性比較

ハスラーは、全高が1600mmを超える軽自動車の中では安定した部類に入るが、それでも全幅の割に背が高い。軽自動車だから全高は全幅の113%に達して縦長だ。

これに対してクロスビーの全高は、全幅の102%だから縦横寸法がほぼ同じ。腰高にならず、走行安定性を確保する上では有利になる。

先に述べた路面からリアゲート開口下端部までの高さが800mmに達することも、ボディ剛性に利いてくる。開口下端部が高ければ、リアゲート開口部を入念に造り込めて捩れが生じにくいからだ。クロスビーは小型車のSUVに求められる走行安定性を備えている。

*勝者:クロスビー

新型クロスビー vs ハスラー|安全装備比較

最近は安全装備に対する関心が高い。クロスビーは単眼カメラと赤外線レーザーをセンサーに使うデュアルセンサーブレーキサポートを採用した。歩行者と車両を検知して緊急自動ブレーキを作動させ、後退時にも障害物に接触しそうになると自動的に制動する。スイフトと違ってミリ波レーダーを使った車間距離を自動制御できるクルーズコントロールは装着されないが、安全装備を充実させた。

車両の周囲を真上から見たような映像として表示できる全方位モニターには、3Dビューの機能を加えた。室外視点と室内視点を選べて、車両の周囲を感覚的にチェックできる。

ハスラーは上級のXとXターボに、2個のカメラを使うデュアルカメラブレーキサポートを採用する。2個のカメラを使って歩行者と車両を検知するものだ。ただしコストが高く、設計の新しい車種はクロスビーのようなデュアルセンサー方式に移行した。開発者は「デュアルセンサー方式でも、デュアルカメラ方式に比べて不利な点はない」としている。

クロスビーはハスラーには装着できない後退時の緊急自動ブレーキ、さらにサイド&カーテンエアバッグも備えているから、安全装備では勝っている。

*勝者:クロスビー

新型クロスビー vs ハスラー|燃費性能比較

新型クロスビーのJC08モード燃費は、2WDが22.0km/L、4WDは20.6km/Lとなる。ハスラーはS-エネチャージを搭載する(Aグレードを除く)2WDが32.0km/L、4WDは30.4km/L。ターボは27.8km/L(2WD)・26.2km/L(4WD)だ。クロスビーの動力性能は1.5リッターと同等で、燃費数値もパワーに見合う平均レベルだ。しかし、軽自動車の中でも特に燃費の優れたハスラーに比べると見劣りする。

*勝者:ハスラー

新型クロスビー vs ハスラー|グレード構成とコスパ比較

新型クロスビー ハイブリッドMZの価格は、2WDが200万3400円。ハスラーも条件を合わせてXターボにすると、2WDが154万7640円になる。クロスビーの方が45万5760円高いがその分安全面が強化され、サイド&カーテンエアバッグを装着している。ヘッドランプもハスラーはディスチャージだが、クロスビーはLEDだ。この違いが総額約6万円だから、クロスビーとハスラーの実質差額は約40万円になる。

ハスラーは軽自動車とあって価格競争が激しく、機能に対して価格が割安だ。実質的は価値の違いは25万円くらいだろう。つまりハスラーはクロスビーに比べて約15万円割安になる。

グレードの選び方も考えよう。駆動方式(2WDと4WD)は用途に応じて選ぶ方が良い。

グレードはクロスビーの場合、2種類を設定した。買い得なのは上級のハイブリッドMZだ。緊急自動ブレーキやLEDヘッドランプに加えてプレミアムUV&IRカットガラスなどを装着したうえで、価格を割安に抑えている。

ハスラーは緊急自動ブレーキの充実するX、あるいはXターボがおすすめだ。Xターボはターボを装着して、フロントディスクブレーキも放熱効果の優れたベンチレーテッドに変更されても、価格の上乗せは8万6400円だ。おおむね妥当だろう。

*勝者:ハスラー

新型クロスビー vs ハスラー|総合評価・どっちが買い!?

新型クロスビーのプラットフォームはイグニスと共通で小型車用に開発された。それなのにクロスビーの外観がハスラーに似ていると、軽自動車をワイド化した簡易型のコンパクトカーに見られやすい。このリスクを承知でハスラーに似せたのは、発売当初のハスラーが絶大な人気を得ていたからだ。

ところが今はハスラーの売れ行きが下がり(2017年の累計で対前年比は約14%の減少)、「ハスラーの小型車版が登場!」といってもインパクトが弱い。それでも運転はしやすく、居住性や積載性の優れた面白みの感じられるコンパクトカーを求めるユーザーには適するだろう。

ただし価格が少し高い。ハスラーと比べて約15万円割高だと述べたが、同じスズキの小型車とされるスイフトやソリオと比べても、同様のことが当てはまる。従ってしばらく時間が経過すると、価格の安いハイブリッドMXに、緊急自動ブレーキのデュアルセンサーブレーキサポートなどを装着した割安な特別仕様車が加わるだろう。

一方、ハスラーは買い得だ。後席のアレンジはクロスビーよりも充実して、ワゴンRの実用性とSUVのデザイン性を融合させた。機能と価格は軽自動車らしく合理的で、クロスビーが登場した今でも魅力は衰えない。そういう意味ではクロスビーとハスラーは意外に競合しにくく、共存しながら発展していくだろう。

*勝者:ハスラー

スズキ 新型クロスビーとハスラーの主要スペック

スズキ 新型クロスビーとハスラーの主要スペック
車種名スズキ クロスビースズキ ハスラー

グレード

HYBRID MZ

X

駆動方式

2WD

2WD

トランスミッション

6AT

CVT

価格(税込)

2,003,400円

1,461,240円

JC08モード燃費

22.0km/L

32.0km/L

全長

3,760mm

3,395mm

全幅(車幅)

1,670mm

1,475mm

全高(車高)

1,705mm

1,665mm

ホイールベース

2,435mm

2,160mm

乗車定員

5人

4人

車両重量(車重)

960kg

800kg

エンジン

K10C型 直列3気筒直噴ターボ

R06A型 直列3気筒

排気量

996cc

658cc

エンジン最高出力

73kW/5,500rpm

38kW(52PS)/6,500rpm

エンジン最大トルク

150N・m/1,700~4,000rpm

63N・m(6.4kg・m)/4,000rpm

モーター最高出力

2.3kW/1,000rpm

1.6kW(2.2PS)/1,000rpm

モーター最大トルク

50N・m/100rpm

40N・m(4.1kg・m)/100rpm

燃料

無鉛レギュラーガソリン

無鉛レギュラーガソリン

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筆者渡辺陽一郎
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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