軽自動車ベースのキャンピングカー“軽キャン”人気もすっかり定着[JCCS2017]
- 筆者: 遠藤 イヅル
軽キャンパー市場、順調に拡大中!
幕張メッセで2月2日(木)~2月5日(日)まで開催中のアジア最大級のキャンピングカーの祭典「ジャパンキャンピングカーショー2017」では、今年も軽自動車をベースにしたキャンピングカー、その名も“軽キャン”の展示台数の多さが目立った。
実際、軽キャンピングカーのカテゴリーはここ数年で目覚ましく成長している。2016年に日本RV協会(JRVA)が発行した、キャンピングカー業界の動向とユーザーの現状の最新データをまとめた「キャンピングカー白書2016」によれば、2015年における国内のキャンピングカー総数は約95100台に達し、新車の出荷台数では2014年比の12%増の4698台で順調にキャンピングカーの台数が増えていることがわかる。
中でもここ数年の動きとして、軽キャンピングカーの増加傾向が著しいが、出荷台数が前年比56.3%アップの1077台となり、数字で見ても市場拡大が進んでいることが感じられる。
シニア層を中心に大ヒット! 軽キャンピングカーの普及の理由とは
またキャンピングカー旅行の同行者調査では6割が「夫婦2人」という解答で、購入動機に関してこちらも5割ほどの解答が「夫婦2人で旅行を楽しむために購入した」だった。50~70歳代のシニアユーザーが夫婦で旅行を楽しむために、車両の購入価格がリーズナブルで維持費も安い軽キャンピングカーが選ばれているということだろう。
軽キャンピングカーは絶対的なサイズが小さいために多人数の宿泊は難しいが、夫婦2人での旅行では問題がないはずだ。むしろ軽自動車本来のコンパクトさが、キャンピングカーライフを気軽に楽しめるという原動力になっていると思われる。
居住性に関しても狭い空間を有効にかつ快適に過ごせるための苦心のあとが見られ、アイデア、仕上がりともに優れた軽キャンピングカーも数多い。
価格に応じて様々なタイプが存在
軽キャンピングカーにはバン(もしくは乗用ワゴン)の車内を単にフラットベッドに出来る簡易的なキャンピングカーから、大きな改造はせずに屋根上に屋根上に開閉式ルーフテントを載せたさらに簡易的なタイプ、バン・ワゴンをベースに屋根上に開閉式のポップアップルーフを設置するタイプ、トラックの荷台部分を居住空間に載せ換えるタイプ、さらにはアオリもそのままに荷台に“部屋”を載せてしまうタイプなど様々な種類がある。
簡易的なモデルほど価格は安く、軽自動車本体の価格に近い150万円~程度で購入出来る。8ナンバー登録が必要なモデルもあればベース車の4・5ナンバーを残したままキャンピングカーとして使用出来るモデルもある。中には、軽自動車に架装した追加部分が軽自動車の規格寸法を越えているために普通乗用車登録になっているモデルなども存在するが、日本RV協会での分類では、こちらは軽キャンピングカーと区別されるという。
キャンピングカーではエンジン停止中の電力供給の問題があるが、その解決策として軽キャンピングカー専門店 クルーズカンパニー オートワンが製造販売する「給電くん」のように屋根上に30w薄型ソーラーパネルが装備され、蓄電した電気を電子レンジや調理家電などに使用出来るモデルもあり、災害時の避難にも活用出来るとうたわれている。
荷台に脱着可能な“部屋”を載せちゃった!仕事にもレジャーにも使える軽キャンピングカーが面白い
前述の様々なタイプの中でも注目したのが、ミスティックが製造販売する「 J-キャビンミニシリーズ & ミニホップ」だ。
普段は軽トラックとして使用し、週末やお出かけ時にシェルと呼ばれる居住スペースを荷台に積んでしまうというアイデアが秀逸! 着脱は電動工具を使えば15分で完了するという(さすがに1人では無理だろうけれど・・・)。
デザイン性にも優れ、2016年のグッドデザイン賞Gマークも受賞している。トラックの後部を架装した場合、トラックの耐用年数が来たら居住空間も含めて廃車しないとならないが、このタイプではシェルが「車両に載せる荷物」なので、ノーマルのトラックのナンバーや登録が維持出来るうえに、トラックを買い替えてもシェルを載せ換えるだけでずっと使えるというのも大きなメリットだ。そのため、シェル部分は20年以上の使用に耐えうる構造を有しているとのこと。長い目で見れば、かなりお得な買い物ということになりそうだ。
コンパクトなシェルの中は大人2名がゆったり過ごすための充分な空間が確保されており、コンロが付いたシンクやカウンターテーブル、電子レンジを備えるモデルなど様々な仕様が用意される。
軽キャンピングカーが軽キャンピングトレーラーを牽引!
2005年に登場し、軽トラックの後部を居住空間に架装した軽キャンパーのはしりとなったのが、バンショップミカミの「テントむし」。
まとまりの良いデザイン、外観からは想像出来ない室内の広さとしっかり作り込まれたインテリア、かわいらしい名前の通りの親しみやすさから人気がある軽キャンピングカーだ。ジャパンキャンピングカーショー2017ではその新型モデルが展示された。
ポップアップテントを展開すれば室内高は2100mmとなり開放感もアップするが、格納した状態でも全高は1.8m以内に収まるのも使い勝手が良い。車内にはキャンピングカーらしくシンクを備えている。名前のセンスもなかなかだと思う。
そしてさらに目を引いたのが、テントむしに牽引された軽キャンピングトレーラー「CORO」だ。
テントむしと同じコンセプトでデザインされているため統一感もあり、軽登録のため税金も安く、牽引している状態でも全長はそれほど長くならない(それでも7mを越えてしまうが)。牽くほうのクルマはキャンピングカーである必要はなく、純粋に軽キャンピングトレーラーや荷物を積むカーゴトレーラーとしても使用出来るため、楽しみ方はたくさんありそうだ。
車内にはコの字型のソファーがあるが、それを展開してマットを敷くことで1380×1800mmの広々としたベッドが出来上がる。
小さい部屋のようなCOROを見て、ふと、庭に建つプレハブが自分の部屋だった子供の頃の友達のことを思い出した。なんだか妙に「マイルーム感」「はなれ感」があってワクワクしたなあ・・・。小さな部屋が持つワクワク感も、軽キャンピングカーの面白さなのかもしれない。
軽キャンピングカーを実際に見てみると、その価格のお手頃さとサイズの小ささから、確かにこれに乗って遠くへ行きたい、と思わせる。キャンピングカーショーでぜひ軽キャンピングカーの魅力を発見してほしい。
[レポート:遠藤イヅル/Photo:オートックワン編集部]
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