アップリカ チャイルドシート衝突実験 取材レポート(1/2)

  • 筆者: 今井 優杏
  • カメラマン:オートックワン編集部
アップリカ チャイルドシート衝突実験 取材レポート
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今、クルマに正しく安全に乗れている乳幼児はたったの「20.7%」!

奈良県奈良市。私の故郷にもほど近いこの山深い街に、チャイルドシートで有名な「アップリカ」の中央研究所があります。

お子様をお持ちの皆さんならご存知のアップリカは、チャイルドシートをはじめとする育児用品や子供用品を製造・販売する国内メーカー。アップリカ中央研究所では、赤ちゃんの環境や育児器具などを総合的に研究しています。

たとえば赤ちゃんの身体や脳の働き、環境を解析したり(赤ちゃん医学)、最新設備を駆使した衝突実験などを行ったりしています(育児工学)。

加えて衝突実験のために必要な新生児ダミー(赤ちゃん型のお人形)も、ここでは世界初となるセンサー付が独自に開発されました。その赤ちゃんダミーの開発だけでも総額一億円だそうです。

なぜそんなに研究や実験を重ねるのか、それはすべて赤ちゃんの環境と安全のため。先日、それらの製品を研究している、アップリカ中央研究所へ取材してきました。

突然ですが、私はチャイルドシート指導員(財団法人日本交通安全普及協会認定)です。これはチャイルドシートの正しい装着方法を皆さんにお伝えするためのものですが、なぜそんな免許を取得しようと思ったか、それは簡単。いつか自分が母親となったとき、自分の子供を事故から守りたいからにほかなりません。

というのも、自動車ジャーナリストという職業に就き、安全に関しての様々な知識を得るうちに、車内での子供の安全を守るのはチャイルドシートしかない!という強い確信を得たからです。

日本では2000年、クルマに0~6歳未満の子供を乗車させる際、チャイルドシートを着用することが義務法制化されました。しかし、実に法令化から10年の経過を経て、着用率はわずか56.8%に留まっていることがわかっています(警察庁・JAF共同調査6月9日発表)。

しかもその56.8%中、

・助手席ではなく正しく後部座席に着ける

・ハーネスは緩まないよう締める

・座席ベルトの通し位置は正しく通されているか

などをクリアできている人は63.5%(チャイルドシート使用状況全国調査2010/警察庁・JAF調べ)。これにより、クルマに正しく安全に乗れている乳幼児は「20.7%」程度しかいないという、恐ろしい実態が明らかになりました。わずか“2割”・・・皆さんはこの数字をどう考えますか?私は正直、あまりの少なさに愕然としました。

にもかかわらず、赤ちゃんをクルマに乗せているときに事故に遭遇した人は13.8%、またヒヤリ・ハットした体験者はなんと78.9%にものぼります。

日本における交通事故での乳幼児の死傷率NO,1は追突事故で47%。つまり自分が気を付けていても、もらい事故ということも起こるのです。

そして赤ちゃんは“大人のちっちゃい版”ではありません。頭が大きく、首も骨も柔らかく、筋肉も発達していないのです。事故によって考えられるダメージは開いたエアバックとの衝突による頭がい骨損傷、脳挫傷、内臓破裂等。深刻な後遺症も報告されています。

厳しいようですが、法令化以前に子供の命を親が守ることの重責が、この数字からは感じることができない、と思うのは軽率でしょうか?

アップリカでもこの数値に危機感を感じ、法令化10周年を機にもう一度チャイルドシートの重要性を訴求しようと、プレスツアーを企画されたのだそうです。

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今井 優杏
筆者今井 優杏

自動車ジャーナリストとして、新車や乗用車に関する記事を自動車専門誌、WEBメディア、一般ファッション誌などに寄稿しながら、サーキットやイベント会場ではモータースポーツMCとしてマイクを握り、自動車/ モータースポーツの楽しさ・素晴らしさを伝える活動を精力的に行う。近年、大型自動二輪免許を取得後、自動二輪雑誌に寄稿するなど活動の場を自動二輪にも拡げている。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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