世界初のバッテリー交換式EVタクシー、ベタープレイスの戦略とは/森口将之(1/2)

  • 筆者: 森口 将之
  • カメラマン:オートックワン編集部
世界初のバッテリー交換式EVタクシー、ベタープレイスの戦略とは/森口将之
世界初のバッテリー交換式EVタクシー(日産デュアリス) 世界初のバッテリー交換式EVタクシー(日産デュアリス) EVタクシーの充電池交換公開デモ EVタクシーの充電池交換公開デモ ベタープレイスと日本交通「EVタクシー運用実証事業スタート」記者会見にて ベタープレイス シャイ・アガシ創業者兼CEO ベタープレイス・ジャパン 藤井清孝代表取締役社長 (左)ベタープレイス・ジャパン 藤井社長/(右)ベタープレイス イダンオファー会長 ベタープレイスと日本交通「EVタクシー運用実証事業スタート」記者会見にて EVタクシー 充電池交換の様子-1 EVタクシー 充電池交換の様子-2 画像ギャラリーはこちら

EVタクシーのお披露目に「東京」が選ばれた理由

EV(電気自動車)についての考えが、個人と法人で大きく異なることが、ここへきて明確になってきた。日本では今月、三菱i-MiEVの一般ユーザー向け販売が始まり、日産リーフは予約受付を開始した。

いずれも予想以上の人気を集めているようだが、航続距離や充電時間に不満を持っている個人ユーザーはまだ多い。ところが法人では、EVの導入が環境意識の高さの証明になり、市民や投資家に対するアピールになることから、採算を度外視して導入を進めている。

車両の側でも、こうした動向に対応した製品が登場してきた。たとえばホンダが先日プロトタイプを発表した年末発売予定の電動スクーター「EV-neo」は、リアに大きな荷台を用意し、フロントにはラックやカゴの装着を可能としているなど、ビジネスユースに的を絞った作りになっている。

世界初のバッテリー交換式EVタクシー(日産デュアリス)
ベタープレイス シャイ・アガシ創業者兼CEOベタープレイス・ジャパン 藤井清孝代表取締役社長

4月26日、アメリカのEVベンチャー企業ベタープレイスと日本法人ベタープレイス・ジャパンが、経済産業省・資源エネルギー庁のEV普及環境整備実証事業の一環として、タクシー会社の日本交通と共同で、世界初となるバッテリー交換式EVタクシーの導入を発表した。

これも一見すると、環境意識の高さをアピールしたい法人向けの新ビジネスに見える。しかし発表会に出席したベタープレイスのシャイ・アガシ創業者兼CEO、ベタープレイス・ジャパンの藤井清孝代表取締役社長の言葉を聞くにつけ、今回のプロジェクトはイメージで語るべきものではなく、綿密に練り上げられたアクションであることが伝わってきた。

東京のタクシーは、平均で5km前後の短距離移動を重ねながら1日300km走るという。こうした用途には、航続距離を伸ばすより充電時間を短くするほうが重要になる。

しかも、タクシーは使用車種が限定されている。ゆえにバッテリー交換式が最適であるというのがベタープレイスの見解だ。高齢者送迎車や宅配用トラックなど、タクシー以外にも同様の走行をするクルマはあり、これらも置き換えたいとしている。

東京でタクシーを選んだのは、単一都市では世界最高となる6万台もの車両が走っているからだという。台数的には東京を走る乗用車の2%に過ぎないそうだが、CO2排出量は20%に達する。すべてのタクシーがすべてEVに置き換われば、それだけで大きな環境対策になるし、とてつもない情報発信力になる。

ベタープレイスの言葉を借りれば「東京がアジアのEV首都になる」可能性を持っているのだ。

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森口 将之
筆者森口 将之

1962年東京都生まれ。モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。自動車専門誌の編集部を経て1993年フリーに。各種雑誌、インターネット、ラジオなどのメディアで活動。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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