N-BOXがここまで売れ続けるのはなぜ!? その謎をホンダのデザイナーに聞いてみた

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もはやこの勢いはだれにも止められないのだろうか。売れに売れ続けているホンダの軽自動車「N-BOX」が、2020年12月にマイナーチェンジを実施した。N-BOXが多くのユーザーから人気を集める秘密について、新型N-BOXのデザイナーにもお話を伺いながら、今回は「デザイン」という視点をもとに考察してみた。

これが「売れるデザイン」! ホンダ 新型N-BOX/N-BOXカスタムを写真で見る[画像54枚]

目次[開く][閉じる]
  1. N-BOXが老若男女から幅広く支持を集める理由とは
  2. 異例の5:5!? N-BOXとN-BOXカスタムが均等に売れている
  3. ノーマルのN-BOX人気が全体の需要を押し上げた

N-BOXが老若男女から幅広く支持を集める理由とは

2017年の2代目デビュー以来、ほぼ全ての月で販売台数ランキング1位を取り続けるホンダ N-BOXが、2020年12月24日(木)に初の大規模なマイナーチェンジを実施した。圧倒的な人気を誇る鉄板商品だけに、N-BOX、N-BOXカスタム共に改良ポイントはそこまで大きくなく、もともとの良さを際立たせるためのマイナーチェンジという印象だ。

それにしても、N-BOXはなぜここまで売れ続けるのだろうか。

本田技術研究所 デザインセンターで新型N-BOXのエクステリアデザインを担当した石川 厚太さんにデザインの視点でお話を伺い、N-BOXが老若男女から幅広く支持を集める理由について考察してみよう。

異例の5:5!? N-BOXとN-BOXカスタムが均等に売れている

小さいけど立派で見栄えが良く、しかも上質な“カスタム”系

ホンダ N-BOXは初代(2011年~2017年)、2代目(2017年~)共に、ノーマルのN-BOXと、エアロパーツでドレスアップしたN-BOXカスタムの2つのラインナップが用意されている。この組み合わせは現在、軽自動車やミニバンなどで定番のスタイルだ。

エアロカスタムと聞くと、若者の走り屋やマニア向けの商品をイメージする方がいらっしゃるかもしれない。しかしユーザーからは、ノーマルモデルに対し内外装をグレードアップさせた上級グレードのひとつとして捉えられている。

ダウンサイジングの需要が“カスタム”系にピタッとハマった

またイマドキの軽やミニバンは背の高いモデルが主流で、モデルによってはノーマルのままでは外観がちょっと間延びして質素に見える場合も。そうした印象を、エアロパーツや大径ホイールといった装飾で補正する効果もある。

さらに近年は、大きなサイズの車種から軽へ移行するダウンサイジングの需要も増えている。上位車種に見劣りしない質感のエアロカスタムは、目の肥えたダウンサイジングユーザーにもピタッとハマり、さらに軽市場の規模を拡大させている。

通常は“カスタム”系のほうが圧倒的人気だがN-BOXは違っていた

これらの結果として、一般的に軽自動車やミニバンにおいてエアロカスタムとノーマルの販売比率は7:3に近く、車種によっては8:2と、エアロ系の支持率が圧倒的に高い。

ところがN-BOXの販売比率は5:5で、ノーマル・カスタムが均等に売れている。これは他社ではあまり聞かない傾向だ。ノーマルタイプもしっかり売れているからこそ、N-BOXシリーズがここまで安定的に人気を保ち続けている、とも言えるだろう。

ノーマルのN-BOX人気が全体の需要を押し上げた

ノーマルは「味もキャラクターもあるヤツ」

エアロカスタムが需要の中心となる軽自動車界では珍しくノーマルの人気が高く、結果として全体の需要を押し上げたN-BOX。そこまで支持を集めた理由はなんだろうか。

N-BOXのエクステリアデザインを担当した本田技術研究所 デザインセンターの石川 厚太さんは、『シンプルなんだけど無味無臭ではなく、味もキャラクターもあるヤツ』とN-BOXのノーマルモデルの魅力を分析する。

確かに他社のノーマルでしばしば見られる、単なる廉価版に留まっていないのがノーマルのN-BOXの良いところ。しかも、女性(ママ)向けとか若者向けなどと明確にターゲットを指定していない感じも同クラスでは珍しく、それでいてカスタムとは異なる独自のキャラがしっかりと立っている。だからこそ、目の肥えたユーザーからも評価されたのだろう。

石川さんも『ニュートラルでありながらしっかり存在感もあり、(ダウンサイジングなど)多様なユーザーのライフスタイルにも溶け込むことが出来た』と胸を張るノーマルのN-BOX。

今回のマイナーチェンジでもノーマルモデルのデザインは大きく変えず『より端正でハンサムな表情となるような改良』(石川さん談)を加えるに留めた。

N-BOXカスタムはキャラ分けをもっと明確に

いっぽうで今回のマイナーチェンジでは、N-BOXカスタムのデザインに大きく手が加わった。2011年に登場した初代N-BOXカスタムは、他社同様にメッキ加飾も派手な押し出し感のあるデザインで存在感を放っていたが、2017年のフルモデルチェンジの際にメッキ部を減らし、スマートな格好良さを追求するよう路線変更を図った。

デザイナーの石川さんは『(2代目の)押し出し感が足りなかったという訳ではない』と前置きしながらも『ノーマルとN-BOXカスタムの立ち位置を明確にしたかった』と話す。

ユーザーから指摘されていた2代目N-BOXカスタムの数少ない改善要請は、バンパー下部右寄りにオフセットしていたナンバープレートの配置。これを「軽自動車っぽい」とネガに捉えるダウンサイジングユーザーが少なくなかったようだ。ナンバーを中央部に移設し、フロントグリルやバンパー部の存在感を強調させるデザインに変更することで、メッキ加飾に頼らずとも存在感を増すことに成功した。

このように、ただでさえ強いN-BOXが、全方位をさらに盤石に固めるかのようなマイナーチェンジでさらに商品力を強化した。ライバルメーカーの担当者はさぞ頭が痛いところだろう。特にN-BOXカスタムの改良ポイントは、需要を支えるダウンサイジングユーザーにも響くに違いない。ノーマルとカスタムの販売比率の変化が見られるのか、それとも全体がまたさらに底上げされていくのか、特に注目しておきたい。

いずれにせよ今回のマイナーチェンジによって、2021年もホンダ N-BOXの独走状態はしばらく続くことだろう。

[筆者:トクダ トオル(MOTA編集部)]

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トクダ トオル(MOTA)
筆者トクダ トオル(MOTA)

昭和44年生まれ。週末は愛車に乗って(時に鉄道に乗って)家族とともにドライブやキャンプを楽しむ1児のパパ。自動車メディアに携わるようになってから15年余りが経過。乗り換えに悩むユーザーの目線に立った平易なコンテンツ作りを常に意識し続けている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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