スープラとZ4だけじゃない! 実はこんなにあるメーカーを超えた兄弟車特集

同じように見えて実は大きく違いがある「共同開発車」と「OEM車」

「兄弟車」という言葉をご存知だろうか。

自動車における兄弟とは、同じ土台(プラットフォーム)を使用し、多くの機能部品を共有する車種のことを指すことが多い。昔は同じメーカーでも複数の販売チャンネルを持っていたこともあり、基本的には同じ車種だけど内外装などを少し変更し、販売チャンネルごとの専売車として仕立てるということも多く行われてきた。

今となっては販売チャンネルごとに取り扱い車種が異なるのはトヨタだけ(ただし東京地区は先行して統合されている)となっており、アルファードとヴェルファイアや、ノア3兄弟などが同メーカー内での兄弟車ということになっている。

その一方で、最近になって増えつつあるのが、メーカーの垣根を超えた兄弟車だ。これには異なるメーカー同士が協力して開発した「共同開発車」と、他メーカーが開発、製造した車種を自社ブランドで販売する「OEM車」の2通りが存在し、同じように見えて実は大きく違いがあるのである。そこで今回は共同開発車とOEM車、それぞれのメリットと代表的な車種をご紹介しよう。

>>スープラ/Z4をはじめ、様々な兄弟車を画像で見比べる![26枚]

共同開発車

共同開発車とは、その名の通り異なるメーカーが共同して1つのモデルを作り上げ、それぞれのメーカーの車種として販売することを指す。

これによるメリットは開発費の削減と製造コストの削減が挙げられるだろう。先日、遂に国内でも発売開始したトヨタ スープラを例に挙げるなら、「直列6気筒エンジン+後輪駆動のFRレイアウト」というプラットフォームを持たないトヨタがゼロからシャーシを開発すると莫大なコストがかかってしまう。そこですでに同様のレイアウトを持つBMWと共同で開発することで開発のコストを大幅に下げることができたというわけだ。

BMW側もプラットフォームとエンジンをトヨタにも供給することで製造コストを下げることができるというメリットが存在し、ユーザーにとっても開発費が車両価格に転嫁されることが抑えられるという点がメリットと言えるだろう。

もちろん共同開発なので、スープラはトヨタ風の、Z4にはBMW風の味付けがなされることで明確なキャラクター分けをすることができるので(特にスープラはクローズドボディ、Z4はオープンという違いがある)お互いにユーザーがバッティングすることも少なく、まさにwin-winの関係と言えるのではないだろうか。

その他の共同開発車と言えば、有名なところではトヨタ 86とスバル BRZだろう。こちらはボディタイプや搭載エンジンは同一ながら、内外装のデザイン以外にも足回りの味付けに違いがあり、86にはGR系が、BRZにはSTI Sportが用意されるなど、両メーカーの色が明確に出ている点が面白い。

また、トヨタ パッソとダイハツ ブーンも初代と2代目は共同開発車という位置づけであった。そのため車両型式もパッソは「KGC10」といったトヨタ式で、ブーンは「M300S」とダイハツ式となっている。また1リッターモデルにはトヨタの1KR-FE型エンジンが、1.3リッターモデルにはダイハツのK3-VE型エンジンが搭載されていた点や、初代パッソにはカタログモデルにはない5速MTを搭載した「TRDスポーツM」が、ブーンにはモータースポーツベース車として936ccターボエンジンにフルタイム4WDを組み合わせた「X4」が存在していた点も両車の異なる点となっている。

OEM車

OEM車とはOriginal Equipment Manufacturerの頭文字を取ったもので、他社メーカーの車種を自社ブランドで販売するモデルのことを指している。共同開発車と異なる点はほとんどの場合、開発には関わらずに完成したものを供給してもらうという点だろう。中にはグリルなど、比較的簡単に変更できる部分で見た目の差異を出しているモデルも存在するが、多くはエンブレムのみを変更して販売することが多い。

これは基本的に自社のラインナップには存在しないものの、そのジャンルの車種が全くないというのもよろしくない、という車種に多く、軽自動車や商用車などが中心となっている。

例を挙げるなら、先日突如復活を遂げたマツダ ボンゴブローニイバンはトヨタ ハイエースのOEM車であるし、ファミリアバンもプロボックスのOEM車である。ちなみにファミリアバンはプロボックスになるまで、実に24年にも渡って日産 ADバン(現NV150AD)のOEM車だった。

また、現在のOEM車界隈で一番幅広い展開をしているのがスズキ エブリイ/キャリイだ。以前から供給しているマツダ(スクラム)に加えて、日産(NV100クリッパー&クリッパーリオ/NT100クリッパー)、三菱(タウンボックス/ミニキャブ)へも供給をスタートしており、ワゴン、バン、トラックそれぞれが各ブランドに存在しているのである。

ただ、OEM車の場合、供給元の車種と比較してボディタイプやエンジン&ミッション、グレードやボディカラーなどが限定されていることが多い。そのため、メーカーにこだわるのか装備にこだわるのかで選択肢が大きく異なってくるのもOEM車の面白いところであり難しいところと言えるかもしれない。

このように一言で兄弟車といっても実はいろいろな思惑や理由があることがお分かりいただけただろうか? 何気なく見逃していた車もよく見ると兄弟車だった、なんてことがあるかもしれないので、渋滞中の暇つぶしなどにチェックしてみては?

[筆者:小鮒 康一]

この記事の画像ギャラリーはこちら

  すべての画像を見る >

【PR】MOTAおすすめコンテンツ

検索ワード

小鮒 康一
筆者小鮒 康一

1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後に急転直下でフリーランスライターへ。国産旧車に造詣が深いが、実は現行車に関してもアンテナを張り続けている。また、過去に中古車販売店に勤務していた経験を活かし、中古車系の媒体でも活動中。最近では「モテない自動車マニア」の称号も獲得。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

MOTA編集方針

「車好きのみんなが見ているメルマガ」やSNSもやってます!
カー用品・カスタムパーツ

愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

  • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

    これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

  • 一括査定は本当に高く売れるの?

    これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は、申込翌日18時に最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

新車・中古車を検討の方へ

人気記事ランキング
最新 週間 月間

新着記事

新着 ニュース 新型車 比較 How To
話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

トヨタ スープラの最新自動車ニュース/記事

トヨタのカタログ情報 トヨタ スープラのカタログ情報 トヨタの中古車検索 トヨタ スープラの中古車検索 トヨタの記事一覧 トヨタ スープラの記事一覧 トヨタのニュース一覧 トヨタ スープラのニュース一覧

この記事にコメントする

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる