読めば『健全な不良中年』が出来上がる!|ゴールデンウイークに読破したいマンガはコレ

主人公以上にクルマたちが大活躍する映画は?

オートックワン編集部から依頼のあった「ゴールデンウィークにお勧めの映画」。

ざっくりした発注だなぁ……と呆れながらも、楽しいので色々考えてみました。

オートックワンがお勧めするだけにその内容は、当然バイクやクルマがキーポイントになるものマストでしょう。

ベタなところで言えばバイク&カーチェイス・バイオレンスの決定版「マッドマックス」。マックスの運転するインターセプター、ボンネットから飛び出すスーパーチャージャーのプーリーが回転する様子には子供心に「なんかわからないけど、スゲェ!」と興奮したものです。グースのカッコや「KAWASAKI Z1000」もシブかったな。

「バッドボーイズ」ではいまや貴重な911ターボ3.6が大活躍します。「スパイゲーム」でロバートレッドフォードが普段使いするナロー・ポルシェを見て、「あんなオッサンになりたい…」と思ったのも懐かしい。

「ソードフィッシュ」ではジョン・トラボルタのブットビッぷりと見事にマッチングしたTVRタスカン・スピードシックスの危うさが最高(本当にデンジャラスなクルマでした汗)。これを見たら今年の夏は、広げた両手に水鉄砲マシンガンを持って、ダダダダッとやりたくなること請け合いです。

日本人未体験のスーパーゴールデンウイークに読破したいマンガは!?

なんて考えていると数限りないのですが、ここまで読んで頂いてゴメンナサイ。

私のお勧めは映画じゃなくて「マンガ」です。それもエンスー諸兄にはテッパン中のテッパンである「GTロマン」を、このゴールデンウイークの推薦図書!? にしたいと思います。

これを読めば健全な不良中年ができあがること間違いなし!

「GTロマン」(作者:西風)は1986年のヤングジャンプで初めて掲載されたとの情報がwikiでも確認できますが、ボクが初めて目にしたのはその頃住んでいた郊外・大型書店のマンガコーナー。まだこの頃ボクは運転免許すらもってなくて、何気なく「GTroman」(GTロマン)と書いてある背表紙の単行本を一冊手にしたのですが……。

これが衝撃だった!

なんて面白いマンガなんだ。どうしてオレは今までこれを知らなかったんだ? 本屋ってすごいな。ヤンジャン偉いな! 花平バズーカ最高! と思ったものです。

GTロマンが素晴らしいのは、基本一話完結のストーリーであること。だからサクサク読めて、全巻制覇はあっという間です。

そこにはクルマの魅力は当然ながら、それにまつわるオーナーや友達のヒューマンストーリーが軽妙なタッチで描かれています。サラッとかっこよく、ちょっとエッチで、オイルの香りがしそうな名作揃いなのです。

カフェ「roman」に集まるクルマ好きたちの物語

舞台は静岡県の沼津市で、クルマ好きが集まるカフェ「roman」を中心に様々な物語が展開されます。

時代設定は初代トヨタMR-2とホンダCR-X(バラード)が一話で登場することから考えても1980年代の中盤。そうそう、スカイラインGT-R(R32)のデビューを作中でも取り上げていたから、89年に差し掛かる頃なんでしょうね。

ちなみにromanのマスターである沢木は初代スカイラインGT-R(KPGC10)に新車から乗り続けていて、これがひとつのアイコンになっています。当時「スカG」や「サバンナ」、「Z」に乗るような男の子たちはいわゆる暴走“族”がほとんどでしたが(私の兄姉もそうでした笑)、沢木はその輩たちに運転でもケンカでも、一目置かれる存在だったわけです。

そしてクルマを走らせればすぐに箱根や伊豆の峠道が出てくることから、ここにちょっと古い60年代後半から70年代のヒストリックカーたちや、80年代のヨーロッパ車が沢山絡んでくるのです。

こんなカフェがあったら最高なのになぁ……というのは、当時のGTロマン読者誰もが思ったことだと思います。

'89年に登場したユーノス・ロードスターが、「ロータス・エラン」の走りや「MGB」の手頃さをお手本に作られたと知ったのも、GTロマンを読んだから。スーパーセヴンに憧れたのも、作中の「郡クン」がアニキみたいでカッコよかったから。

このマンガを呼んでいると、ヘタな雑誌で知識を詰め込むよりもスーッと頭にクルマの魅力が入ってきます。

GTロマンに影響されて段付きアルファ・ロメオを手に入れてしまった

ボクはこの本を読んで、60年代のアルファ・ロメオが大好きになりました。特にジュリア・スーパーに乗る「アルファ党の沢田」クンのストーリーなんか最高です。会社の通勤前に峠を走って必ず遅刻するところなんか、「そんなにアルファって楽しいのか!」と憧れは大きくなる一方でした。

作者である西風の画風はタッチがスッキリしていながら独特のディフォルメ感があり、ちょっとシャコタンすぎやしないか? とは思うけど、クルマの描写が抜群にイカしてるんです。

そして挙げ句の果てにボクは自動車雑誌ティーポを作る編集部へ入り、ほどなくして68年式のGT1300Jr.を、大借金して手に入れました。通称“段付き”と呼ばれる顔がなにより愛らしくて、しかもアルファ・ツインカムを搭載した後輪駆動(FR)の走りは、GTロマンに描かれた通りでした。

この「GT roman」は11巻でいったん幕を閉じますが、この他にも西風は「DEADEND STREET」「CROSS ROADS」「LAST MOMENT」「SEX MACHINE」など数々の作品を世に送り出しています。

その中でもへなちょこな主人公が成長する過程をクラシック・ミニのレースと共に描いた「SPEEDSTER」は傑作です。

『友』と呼べるクルマがきっと欲しくなる

そんなGT romanは後々全10巻の復刻版が発売され、その後「GTroman STRADALE」として復活しますが、これは4巻で終了しました。

しかしその後、西風氏は久々に自動車雑誌ティーポで「GARAGE PARADISE」を連載し(全4巻)、昨年からは「GT roman LIFE」として新連載も始まりました。

往年のお洒落でライトな作風や画風はやや変わりましたが、昔のキャラクターが変わらず現役で登場する様子は懐かしくもあります。これはこれで年を重ねる人間の素晴らしさや面白さが大胆に描かれていて、GTロマンと同じく年を重ねてきた自分には、なるほど! と思える奥深さがありました。

なにはともあれ、ゴールデンウィークは元祖「GT roman」をまず読んでみて下さい。

必ずアナタも、友と呼べるクルマが欲しくなりますよ。

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樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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