TEXT:佐藤久実 PHOTO:島村栄二
路面μ(摩擦係数)は0.1程度。人が歩くのもやっとというくらいのツルツル路面だ。加減速で磨かれたブラックバーンの交差点や日陰の凍結路をイメージしてもらえばいいだろう。
新品タイヤでジワッとアクセルを踏み込むと、ひと転がり目で軽くホイールスピンしたものの、トラクションコントロール(タイヤの空転を防ぐシステム)の力を借りることなく路面を掴み、ひとたび転がりだすとジワジワ加速していく。もちろん、ラフにアクセルを踏めば容易にスリップするし、姿勢も乱れるほどの路面コンディションだ。
そして20Km/hからブレーキを踏むと、非常に安定した姿勢のままクルマが止まった。これほどのアイス路面でも電子制御に頼ることなく発進〜加速ができる、X-ICE3+のアイスグリップ性能に改めて感心する。
あれっ、先ほどと同様に発進〜加速していく。そしてブレーキ。制動距離は、これまた見た目ではほぼ新品と同程度。距離の違いはせいぜい数10センチの差だろう。これは凄い!正直、かなり驚いた。「性能の落ちが少ない」というより、アイス性能においては「性能の落ちがほぼない」と言って良いだろう。
降雪地域のユーザーは、特にアイス性能への要求が高いため、氷盤路での安心感が長く続くのはタイヤ選びにとって大切なポイントだ。
一方、1万キロ走行したタイヤは、新品よりも若干大回りをしながらパイロンを抜けていった。1万キロ走ったタイヤは、新品よりもショルダー部が減って角が丸くなっている分、”エッジ効果”による性能変化が見られた。制動距離もちょっとだが伸びた。こちらも、溝が減った分、雪を踏み固めて蹴り出す力に性能変化が見られたということだろう。
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