アメリカに転勤や留学が決まった人へ ～アメリカの中古車事情と中古車探しにおけるお勧めサービスとは～

アメリカはどこに住んでも自動車は必須

先日アメリカに出張する機会があり、アメリカにおける様々な自動車業界の動向について調査しました。その際に面白い海外サービスを見つけたので、現地の中古車事情とともにご紹介しましょう。

クルマ社会のアメリカでは、大都市でも小さな町でも自動車は必須です。

一部の大都市を除いては地下鉄や鉄道網が日本のように整備されておらず、日々の買い物や通勤、レジャーに使用できる自動車がないと間違いなく生活は不便になります。

ニューヨークなど地下鉄が整備されている都市でも、地下鉄（メトロ）だけで充分生活できるのはマンハッタン島周辺など賃料が高いエリアのみです。たとえニューヨークであっても、少し郊外のほうに住むなら自動車の購入は必須になってくるでしょう。

日本人にはハードルの高い、アメリカにおける自動車の購入

アメリカで自動車を買うとなると、ディーラー系販売店や地域の中古車販売店で探すことになるのは日本と同じです。

しかし、そこはアメリカ。日本らしい至れり尽くせりなおもてなしは期待できません。こちらが何も言わずとも値引きしてくれたり、オプション品をサービスしてくれたり、さらには「納車整備で・・・をサービスしておきました」といったような気の利いたことはまずありません。お願いしたいことをハッキリと相手に伝え、交渉しないと期待するサービスは手に入らないんです。

しかも、その交渉は英語で行うのです・・・。ネイティブなアメリカ人の英語は日本人には非常に早口に聞こえますから、渡米して間もない人には不安だらけですよね。

また、中古車を見に行ったのに新車を勧められる、必要のないオプションをグイグイ営業されるなど、日本より格段にセールスの押しが強いのでそこに疲れてしまう日本人も結構いるようです。

異国の地で信頼できるお店を探すのも大変

また、アメリカでは自動車の価格差が大きく、ディーラー系販売店は高価格帯の自動車を販売しています。

少しでも手頃な自動車が欲しいとなると、街の中古車販売店に足を運ぶことになるのですが、初めて訪れた異国の地で信頼できる中古車販売店を探すのはハードルが高いでしょう。不安だらけの新生活では、どこのお店でセールスを受けても「だまされているんじゃないか」と思いがちですしね。

日本以上に自動車の個人売買が盛んなアメリカ

ディーラーや街の中古車販売店に続いて、購入の際に話題に上るのが「個人売買」です。

アメリカでの自動車購入に不安を感じる人は、日本に帰国する人にタイミング良く出会えれば、その人から購入することができるかもしれません。ただ、その場合、デザインやメーカーの好みはひとまず気にせず「ちゃんと動く車をなんとか日本人から買えて一安心」という結果になりがちです。

日本人以外からの購入でよければ、個人売買が盛んなアメリカですからeBay、Yahoo!といった大手サイトにいくらでも中古車情報が掲載されていますし、またガソリンスタンドやコンビニに行けば個人売買の専門誌を見つけることもできます。

自動車のコンディションを知るのに役立つCARFAXとAUTOCHECK

「個人売買だとクルマのコンディションが心配」という人もいますよね。

日本でも多くの人がヤフオクで自動車を購入しないのは同じ理由からでしょう。悪意を持ってコンディションの悪い自動車を勧めてくる人もいますが、売り手のオーナーも自分のクルマのコンディションをわかっていないことが多いんです。日本でもアメリカでも個人売買で起こりがちなのは、多少問題があるクルマでも今は何もトラブルが出ていないので「このクルマはグッドコンディションだ」と売り手が言ってしまうこと。

アメリカではこういった状況を防ぐために、客観的に自動車のコンディションを知ることのできる「CARFAX（カーファックス）」や「AUTOCHECK（オートチェック）」というサービスがあります。

これは個々のクルマに割り振られたVINコード（Vehicle Identification Number。車両識別番号やシリアルナンバーとも呼ばれています）からそのクルマの過去の情報を調べることができる有料サービスです。両サービスで具体的にわかる内容は、どこで製造されたクルマなのか、過去に何人のオーナーが所有したクルマなのか、レンタカーとして使用されたことがあるのか、事故修復歴があるのか、過去にディーラーなどで整備されたときに記録された走行距離などです。

※CARFAX

https://www.carfax.com/

※AUTOCHECK

http://www.autocheck.com/

日本でもこういったシステムが整備される話はありますが、現時点では存在しません。

最近の自動車にはOBD IIポート（On-board diagnostics）と呼ばれる、コンピューターで自動車のトラブルレコードを読み込む機構が用意されており、ここから読み取られたデータを共有化すれば日本でも同様のサービスが可能です。いずれはCARFAXのようなサービスが日本にも導入されるでしょう。

ただし、CARFAXなどのサービスも万能ではありません。個人での整備はデータとして記録に残りませんし、街の修理工場での修理ですら記録に残らないことも多々あります。そのため、アメリカから日本に輸入された自動車でCARFAXのデータがあるからと言って、100％それを信用することはできないのです。あくまで参考になるデータ、といった程度に考えた方が良いでしょう。

アメリカは日本より距離を走った中古車が多い

ちなみにアメリカの中古車には、日本ではあまり見られない走行10万kmを超える車体を多く見かけます。

日本では走行距離が5～6万kmを超える中古車は価格が下がりがちですが、本来はその程度の距離なら、しっかり整備されてきたクルマであればさほど心配する必要はありません。

ストップ&ゴーが多い日本なら、足回りのヘタりやエンジンの消耗が気になるかもしれません（実際は日本でもそこまで気にする必要はないと思います）。しかし、アメリカでは一部の大都市を除けばストップ&ゴーや渋滞は日本ほど酷くありません。

また、アメリカではフリーウェイなど長距離を時速100km以上のスピードで移動することが多く、同じ距離を走っていてもノロノロ運転で逆にエンジンに負担がかかる日本ほどにダメージはありません。さらに、アメリカは乾燥した気候の地域が多いため、経年劣化での塗装へのダメージは高温多湿な日本ほどでもないのです。

アメリカでの中古車の適正価格はKelly Blue Bookでチェック！

アメリカへ来たばかりの人には、店頭でも個人売買においてもアメリカで売られている中古車が適正価格なのか分からない、という悩みが発生します。

そんな人のために、アメリカには「Kelly Blue Book」というサイトが存在します。欲しいクルマの車種や年式、走行距離などをベースとして中古車相場を算出してくれる優れたサービスです。

※Kelly Blue Book

http://www.kbb.com/

時間がない、不安も多い人にお勧めする「beepi」での中古車探し

ここまで、アメリカの中古車事情と中古車探しに役立つサービスをご紹介してきました。

ですが、どれも自らが中古車を探す際に参考となるサービスであって、サービスを使いこなし、役立てられる現場での交渉力や語学力がないと意味がありません。そこまで自分で調べる時間も、渡米したばかりのときは惜しいでしょう。アメリカで生まれ育ったローカルにとっても、その手間と時間を惜しみたい人は多いようです。

2013年にアメリカで面白いベンチャー企業が立ち上がりました。カリフォルニア州を拠点に全米でサービスを拡大している「beepi」という企業なのですが、売り手と買い手の個人売買の仲立ちをするサービスで、両者の不安をbeepiが解消してくれることが評価されて、いま急成長している企業なのです。

中古車販売マーケットプレイスサービス「beepi」Webサイト

ユーザーがbeepiを利用するメリットを紹介すると、

・beepiが派遣するメカニックが車のコンディションを目視でチェックしていて、客観的な車両評価がわかる。

・良質な車両が多くそろう。beppiは出品基準が高く設定されており、粗悪なコンディションの車両はほとんど掲載されない。

・購入希望の車をbeepiのスタッフが持ってきてくれるので、店舗や売り手のいる場所に出向く必要がなく、買い手の手間が省ける。

・車のコンディションや走行距離を基に適正価格を設定しているので中古車販売店より手頃な値段で購入できる。販売車両の価格交渉はできないが、英語での価格交渉のわずらわしさがない

・購入時に車の試乗はできないものの、購入後10日以内であれば返品完全無料。

以上の5点が挙げられます。

2016年10月時点で全米でのサービス提供地域はハワイ、アラスカを除くすべての州に広がりました。アメリカに転勤・留学する日本人の居住エリアのほとんどがカバーされていると考えていいでしょう。

もうすぐアメリカに行くことが決まっている方、現地での自動車探しが不安な方は「こんなサービスがあるのだな」と見ておいてはいかがでしょうか。メーカーやボディタイプ、年式から希望モデルの価格をあらかじめチェックすることができます。

ちなみに、beepiは日本へ帰国するときに自動車を売るのにも便利です。帰国準備で忙しいときに自動車のことはbeepiに丸ごとお任せできるので他の作業に集中できますよ。