トヨタの電気自動車戦略は足元からも進んでいた! 街乗り超小型BEV「トヨタ C+pod(シーポッド)」

  • 筆者: 今井 優杏
  • カメラマン:和田 清志・TOYOTA
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トヨタは2021年12月23日、既に2020年12月より法人や自治体向けに限定販売を行っていた超小型BEV(電気自動車)「C+pod(シーポッド)」を、いよいよ一般ユーザーに向けた発売を開始した。全車リース契約での販売となる。とかくEVに対し保守的だと言われているトヨタだが、実は足元から着実に歩みを進めていたのだ。そんなトヨタ C+podにモータージャーナリストの今井 優杏さんがさっそく試乗。その印象をレポートしてくれた。

目次[開く][閉じる]
  1. 2021年最大のインパクト案件は「トヨタ 怒涛のBEV戦略」だった!
  2. 2人乗りの小型BEV「C+pod(シーポッド)」が2021年末、個人ユーザー向けの発売を開始
  3. 味わい濃密! スポーティさは全く無いけれど、これで十分なのだ

2021年最大のインパクト案件は「トヨタ 怒涛のBEV戦略」だった!

2022年が明けたと思ったら、気付けばあっという間に半月が過ぎてしまった。改めて昨年を振り返ってみれば、自動車業界的にはガソリン価格の高騰や、半導体不足でのデリバリー遅れなんかも2021年を象徴する出来事だったように思うが、やっぱりなんといってもこれが一番のディープインパクト案件だったかと思う。

「トヨタのBEV戦略」だ。

※BEV(Battery Electric Vehicle):バッテリーからの電力のみでモーターを駆動させる電気自動車を指す

正直2021年という括りだけではなくて、もう有史以来の世紀の大発表って言っちゃってもいいんじゃないかとも思うほどで、すでに既出の記事も多いからここでは言及を避けるが、いやはや本当にトヨタって凄い←語彙力。

トヨタのBEV戦略は足元からも着実に進んでいた

しかし、トヨタの本当の凄さは、実は記者発表だけにあらずなところなのだ。さてみなさん、アノ発表超小型BEV「C+pod(シーポッド)」をする前から、実はトヨタにはすでにBEVが存在していて、一般発売も行っているって知ってました?

スバルとの協業で発売する予定の「bZ4X(ビーズィーフォーエックス)」(2022年発売予定!)のことじゃない、もう“売ってる”ヤツのことだ。

今回はと、さらに小型の…つまり超・超小型モビリティ「C+walkt(シーウォークティー)」をご紹介したい。

(「C+walkt」は後編にてご紹介する)

2人乗りの小型BEV「C+pod(シーポッド)」が2021年末、個人ユーザー向けの発売を開始

まずは2020年12月25日、まさにちょうど丸一年前に発売されたのは2人乗りの小型EV「C+pod(シーポッド)」だ。

発売開始から一年を経て、実は先日2021年12月23日には個人を含む全ての客を対象に販売開始された、注目のモビリティーだ。

これまでは法人ユーザーや自治体のみに販売を絞られてきたから、一般的な知名度が低いのは仕方ないと言えるのだけれど、今回、販売の門戸が一般客にまで開かれたというのだから、しっかりレポートしたいと思う。なぜならば、すでにかなりの引き合いが来ているのだとか。

なぜか。「C+pod」が非常に小さいからだ。

早くも販売店にはアツい問い合わせが寄せられている!

C+podの試乗車のナンバーは黄色、つまり軽自動車扱いで所持でき、充電は100Vの家庭用電源にも対応(AC100/AC200兼用)。筆者の取材の範囲内で言えば、とくに『もう軽自動車のサイズですらも必要ない、買い物と病院だけ行ける、エコノミーなクルマが欲しい』という、シニア層からの問い合わせが多いのだという。

ボディサイズは全長2490×全幅1290×全高1,550mm。写真を見て欲しいのだが、かなり寸詰まりなルックスだ。街で見かけるとちょっと二度見してしまうような、ヘンテコリンな印象を受ける。

しかしこの寸法のおかげで、最小回転半径はなんと3.9m。もはや曲がれない道はない、通れない小道はない、停められない駐車場はない!というほどの超絶ハンドリングカーでもある。いやむしろ通常のコインパーキングなら縦置き2台停められるのだ。省スペース半端ない。

リチウムイオンバッテリーをシート足元の床下に搭載し、乗った感じもフラットな底床フロアを叶えている。モーターはリアに搭載されている。つまり、鼻がペチャンコなのはそういうことなのだ。

確かに狭いけど…大人2人がキッチリ乗れる室内空間

実際に乗り込んでみると、せ、狭い。助手席に身長180センチの編集部トクダさんが乗ると、なんだかポッと頬が赤らむほどに近い。

それもそのはず、室内幅は1,100mm。しかし、そう考えてみるとタイトとはいえ大の大人がふたり、ガッツリと乗車できるものではあるのだ。インパネには白いパネルを採用してあり、視覚的な圧迫感はなく、ガラスエリアもきちっと開放的。普通のクルマと違うのは、振り返ればすぐそこにリアウィンドウがあること。そう、つまり前を向いて乗っていれば、二人乗りEVだということをつい忘れちゃうくらいに“乗った感じ”の雰囲気は悪くない。

味わい濃密! スポーティさは全く無いけれど、これで十分なのだ

街乗り需要に特化し、最高速度は60km/hに設定

ナンバー付きだから、もちろん公道も走行OKだ。この日は横浜・赤レンガ倉庫のあたりをタラっと流す。最近はEVも各社出揃ってきて、それぞれが電気らしいトルクをウリにしたスポーティーなモノが人気だが、「C+pod」はどこか、ゴルフ場のカートを思わせるような、牧歌的な加速でトコトコと街をゆく。

実は「C+pod」、最高速度が60km/hに設定されている。これは超小型モビリティとしての安全を担保するためでもあるし、小さなバッテリーでなんと最大150kmもの距離を走行するための、省エネのためでもある。最大出力は9.2kW、最大トルクは56Nmと、かなり可愛い。

独特の走りに思わず「ニコニコ」しちゃう

ステアリングフィールは中立をぼかしたやんわりしたもので、サスペンションもタイヤの上に直接乗っているかのような振動を直接お尻に感じるかと思えば、コーナリングではミヨ〜ンとアシが伸び切る感じで、お世辞にもクルマとして最高というわけじゃない。しかし、しかしですよ、な〜んかイイのだ。味がある、とでも言おうか。ハンドルを切りながら、アクセルを踏みながら、ちょっとニコニコしちゃうかんじ。これは全長に対してトレッドが広いからで、ぐぐっと踏ん張りの強い接地感が実にユニークである。

そもそもこんな都市部では、平均60km/hで走行できるくらい道が空いていることは少ないし、もともと「C+pod」がターゲットとして見込んでいる、日本の過疎地や山間部では、このまったりハンドル+サスペンションがおじいちゃんおばあちゃんを助けることもあるだろう。コアターゲットの顔を想像すれば、こういう超小型モビリティが俊敏である必要はないのだ。

…とはいえ、もう少し洗練されてくれればもっと人気が出るかもと思ったのは確かなんだけれども。

急速充電は非対応だが、自宅周辺の行動範囲ならこれで十分以上の性能

ちなみに普通充電の100Vでは約16時間で満充電、200Vでは5時間で満充電になる。急速充電器には対応しておらず、ご近所ぷらっと系のお出かけに使用は限られてしまうけれど、たしかにスーパーと病院、くらいならガソリンもいらないし、つまりガソリンスタンドも行かなくていいから、ウチの実家みたいにガソリンスタンドがボコボコ潰れているような山間部でも、気軽に乗りこなせるクルマということで、活路は多いかと思う。

次回はさらに超小型! 立乗りモビリティ「C+walkt(シーウォークティー)」をご紹介

既に引き合いが多いというトヨタの超小型BEV、これから街で見かける機会も増えていきそうだ。

さて次回は、さらにコンパクトな超小型BEV「C+walkt(シーウォークティー)」に乗ってみた印象をお届けしたい。

[筆者:今井 優杏/撮影:和田 清志・TOYOTA]

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今井 優杏
筆者今井 優杏

自動車ジャーナリストとして、新車や乗用車に関する記事を自動車専門誌、WEBメディア、一般ファッション誌などに寄稿しながら、サーキットやイベント会場ではモータースポーツMCとしてマイクを握り、自動車/ モータースポーツの楽しさ・素晴らしさを伝える活動を精力的に行う。近年、大型自動二輪免許を取得後、自動二輪雑誌に寄稿するなど活動の場を自動二輪にも拡げている。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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