氷上性能とロングライフ性能がアップした新型スタッドレス「ブリザック VRX3」をスケートリンクでテスト!/ブリヂストン

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日本の雪道に強いスタッドレスタイヤとして人気のブリヂストン・ブリザックが、第三世代「VRX3」として新登場。氷上性能と、長持ち性能を引き上げた新型スタッドレスを、真夏のスケートリンクでテスト。現行「VRX2」からの進化の度合いはかなりのものだったのだ!

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目次[開く][閉じる]
  1. さらなる進化を遂げたブリザックの新型スタッドレス「VRX3」
  2. ゴムとパターンを改良して確実な性能向上を獲得
  3. 新型ブリザックVRX3とVRX2をスケートリンクで比較テスト
  4. 確実な進化を遂げたブリザックVRX3

さらなる進化を遂げたブリザックの新型スタッドレス「VRX3」

装着率ナンバーワンを誇るブリヂストンのスタッドレスタイヤ「BLIZZAK」(ブリザック)。その現行シリーズが5年ぶりに改良を受け、第三世代である「VRX3」へと進化を果たした。

ブリヂストンがVRX3の開発に置いたメインテーマは、氷上性能の追求。それも「断トツの氷上性能」だという。

ということでテストドライブは、ウインターシーズンもとうに過ぎた5月の下旬に、横浜市内のスケートリングで開催された。

ゴムとパターンを改良して確実な性能向上を獲得

VRX3の改良点は、今回「ゴム」と「パターン」のふたつ。まずはゴムからその進化ぶりを見て行くことにしよう。

発泡ゴムの形状を球から楕円へ

ブリザックといえば「発泡ゴム」。その歴史は1988年に販売を開始した「PM-1O」「PM-20」からと長いが、今回VRXはその最新版であるアクティブ発泡ゴム2の発泡形状を進化させ、氷上の水膜除去性能を向上させてきた。

具体的にはこれまでの球状発砲を楕円発砲に形状変更することで、毛細管現象を引き起こして吸水力を高めたのだという。理論的にはわかっていても、実際この発泡形状を、バランスよくゴム内に攪拌(かくはん)するのは、とても難しいことだと思う。

ゴムの柔らかさを保つ柔軟剤を変更

さらにそのゴムは、新しい柔軟剤を配合することで「効き持ち性能」を向上させた。

前述した通りブリザックは、コンパウンドに気泡を含ませることでその柔らかさを維持し、氷への密着性を高めたタイヤだ。

そして今回はさらにゴムの部分に、オイルよりも分子量の高い新素材を配合。こうすることでゴム分子の間から柔軟剤が抜けにくくなり、ゴムのや柔らかさが維持できるようになった。

水の流れをコントロールして素早く除水

パターンにおいては、各ブロックの除水効果を進化させ、氷面におけるトレッド面の接地性を高めた。その技術としては両サイドのブロックに突起をつけた「L字ブロック」を配置して、水の流れをコントロール。これによってサイプで除水した水を主溝やラグ溝へ優先的に流すことができるようになった。

さらにサイプの先端を塞いだ「端止めサイプ」により、除水と伝播が高度にコントロールすることができるようになったのだという。

新型ブリザックVRX3とVRX2をスケートリンクで比較テスト

こうした効果を試すべく用意されたのは、ふたつのテスト項目だった。

ひとつは直径約9mの定常円旋回。そしてもうひとつは、約15km/hを目安にゼロ発進加速を行い、パイロンからのフルブレーキ。これを前作「VRX2」と乗り比べるというものだった。

スケートリンクの温度設定は、氷がうっすら溶け出すくらいの-2度近辺。ここで筆者は新旧VRXにおける、その堅実な技術の進化を体感することができた。

定常円旋回での比較

常にタイヤにスリップアングルを与えながらクルマを加速させて行く定常円旋回では、まずその接地性の違いを、手のひらで感じ取ることができた。

速度にすればおよそ20km/h近辺、旋回の速度差はわずかに1~2km/hだったが、VRX2が路面をひっかく感じなのに対して、VRX3はトレッド面全体で氷を捉えている感触が強い。ひとことで言うと単純にグリップ力が高い感じだ。

しかしそのグリップの立ち上がり方が、VRX3はリニアかつ穏やかだから、ステアリング操作において安心感が高い。

またトラクションも同様であるため、アクセルで微調節がしやすい。空転したり軌跡が膨らみ過ぎても、切り込みを戻したりアクセルを緩めるだけで、ゆっくり着実にそのラインを修正することができたのであった。

また一定旋回からブレーキを掛けても、VRX3の方がABSの介入が少なく、いち早く止まることができた。

ゼロ発進加速からフル制動での比較

このテストでは、まっすぐ走って止まるだけなのだが、その差が制動距離だけでなく、操作感にもきちんと現れた。

相対比だがVRX3はVRX2よりも空転が少なく、目標となる15km/hまで速度を到達させやすいのだ。そしてここで生まれた余裕によってスピードも維持しやすくなり、ブレーキング時の目標が定めやすくなる。

そう、制動距離は単純なグリップ性能だけでなく、ドライバーの操作に対する余裕の違いによっても大きく変わってくるのだ。

実際の制動距離は、今回計測はされなかった。これは路面状況の変化やドライバーのバラツキなどを考慮してのことだろうが、同じ速度である限り常にVRX3の方が半車身から一車身近く短い距離で止まることができた。場合によっては2km/hほど速度が高くても、同じ位置で止まることが可能であった。

確実な進化を遂げたブリザックVRX3

総じてブリザックVRX3は、氷上路面において確実な進化を遂げていた。

とはいえ両者の差は、圧倒的だとは言えない。そもそもVRX2の性能は十分高く、まだまだ現役感があるからだ。そして作り手が同じなのだから、VRX3がVRX2を圧倒的に引き離すことなど、あり得ないのである。もしあったとすればそれは、単なる技術の出し惜しみだ。

ただ数字的には僅かな差でも、その操作感には大きな違いがある。そしてこれが、運転の際緊張感が高まる雪道では、安心感の差へと確実につながる。

今回は氷上路面だけだったが、雪上も含めたトータルなシチュエーションでブリザックVRX3を試してみたいと思える試乗だった。

[筆者:山田 弘樹/写真:田村 弥]

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山田 弘樹
筆者山田 弘樹

自動車雑誌編集者としてキャリアをスタート。輸入車雑誌 副編集長、アルファ・ロメオ専門誌編集長等を経て、フリーランスのモータージャーナリストに。レース参戦なども積極的に行い、走りに対する評価に定評がある。AJAJ会員。カーオブザイヤー選考委員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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